防音室の自作はプラダンや100均で足りる?素材別に効く・効かないを判定
防音室の自作でプラダンやダイソーなど100均の素材は、音漏れを止める遮音にはほぼ効かず、反響を減らす吸音には一部効きます。プラダン・毛布・段ボール・プチプチの判定表、質量則での効果の計算、目的別の組み合わせをまとめました。
防音室の自作でプラダンやダイソーなど100均の素材を使うと、音漏れを止める効果(遮音)はほぼ期待できず、部屋の反響を減らす効果(吸音)には一部効きます。
録音の声をすっきりさせたいなら安い素材でも成り立ちますが、隣や家族への音漏れを減らしたいなら、重さのある素材が必要です。
本記事では、素材ごとに「何に効いて何に効かないか」を判定表にし、質量則での計算、目的別の組み合わせ、自作で失敗しやすい点まで順に示します。
防音室の自作素材の判定表|プラダン・100均・毛布
先に結論を表にします。
| 素材 | 1㎡あたりの重さ(目安) | 遮音(音漏れを止める) | 吸音(反響を減らす) | 向いている使い方 |
|---|---|---|---|---|
| プラダン 2.5mm | 約0.3kg | ほぼ効かない | ほぼ効かない | 吸音材を貼る下地、骨組みの面材 |
| プラダン 5mm | 約0.8kg | ほぼ効かない | ほぼ効かない | 同上(2.5mmより丈夫) |
| 段ボール 1枚 | 約0.5〜0.7kg | ほぼ効かない | わずか | 一時的な囲い、型紙 |
| 段ボール 5枚重ね | 約1.5〜3kg | 高い音に少し効く | わずか | 高い音の漏れを少し減らす |
| 毛布・布団 | 約0.5kg(毛布) | ほぼ効かない | 効く(厚いほど) | 録音の反響対策、壁際のつり下げ |
| プチプチ(気泡緩衝材) | 0.1kg未満 | 効かない | ほぼ効かない | 窓の断熱。防音には使わない |
| フェルト・吸音シート(100均) | 薄いもの | 効かない | 高い音に少し効く | 机まわりの反響、物音の緩和 |
| 隙間テープ(100均) | — | 隙間をふさいで効く | — | ドアの隙間。安くて効果が大きい |
| 遮音シート(ホームセンター) | 約2kg〜 | 効く(重さ次第) | 効かない | 壁・骨組みに貼って音漏れを減らす |
| 石膏ボード 12.5mm(ホームセンター) | 約10.5kg | 効く | 効かない | 自作ブースの壁 |
重さは、メーカーの製品表示と当サイトの概算です。
プラダンは、同じ厚さでも製品で重さが違い、2.5mmで約300g/㎡、5mmで約800g/㎡の表示が見られます。
100均の商品は、品ぞろえと価格が店舗と時期で変わります。
遮音と吸音の違いを30秒で
防音には、まったく別の2つの働きがあります。
- 遮音 : 音を通さない。壁の向こうへの音漏れを減らす。重い素材ほど効く
- 吸音 : 音を跳ね返さない。部屋の中の反響を減らす。柔らかく空気を含む素材が効く
100均の素材の多くは軽いか柔らかいため、効くとしても吸音側です。
「吸音材を貼ったのに隣への音漏れが変わらない」という失敗は、この2つを取り違えたときに起きます。
詳しい違いは、吸音材か遮音材か迷う人へで解説しています。
素材別の検証|ダイソー・プラダン・毛布・段ボール
質量則で計算した遮音の目安
一重の板が音を止める量は、板の重さと音の高さで決まります(質量則)。
| 素材 | 1㎡あたりの重さ | 125Hz(低い声・ベース) | 500Hz(人の声) |
|---|---|---|---|
| プラダン 2.5mm | 約0.3kg | ほぼ0dB | ほぼ0dB |
| プラダン 5mm | 約0.8kg | ほぼ0dB | 約5dB |
| 段ボール 1枚 | 約0.6kg | ほぼ0dB | 約3dB |
| 段ボール 5枚重ね | 約3kg | 約5dB | 約17dB |
| 遮音シート | 約2kg | 約1dB | 約13dB |
| 石膏ボード 12.5mm | 約10.5kg | 約15dB | 約27dB |
計算は、一重の板の透過損失を「20×log(重さ×周波数)−47」とした理論上の概算です(当サイトの試算)。
軽すぎる素材では計算式がほぼ0以下になるため「ほぼ0dB」としています。
実際は、継ぎ目や隙間から音が抜けるため、表より効果は小さくなります。
10dB下がると、耳にはおよそ半分の大きさに感じます。
石膏ボード1枚と比べると、プラダンや段ボール1枚は、遮音ではほとんど役に立たないことが分かります。
材料ごとの数値は、防音材のスペック一覧にまとめています。
プラダン|骨組みの「面」としては優秀
プラダン(プラスチック段ボール)は、軽くて丈夫で、カッターで切れるため、自作ブースの面材として人気があります。
ただし、2.5mmで約0.3kg/㎡と軽く、それだけでは音を止められません。
プラダンの役割は、吸音材や遮音シートを貼るための下地と考えてください。
市販の組み立て式防音室にもプラダンを使う製品がありますが、遮音シートや吸音材を組み合わせて性能を出しています。
ダイソーなど100均の素材|「すき間」と「反響」に使う
100均でそろう素材のうち、防音でいちばん効果が大きいのは隙間テープです。
音は空気の通り道から漏れるため、ドアの下や枠の隙間をふさぐだけで、声の漏れ方が変わることがあります。
フェルトや薄い吸音シートは、机まわりの反響や、物を置く音を和らげる程度です。
ジョイントマットは、床に物を落とす音や足音を少し和らげますが、声や楽器の音漏れにはほぼ効きません。
毛布・布団|吸音には効く
毛布や布団は、空気を多く含むため、反響を減らす吸音材として働きます。
一方で軽く、空気も通すため、遮音にはほぼ効きません。
突っ張り棒に厚手の毛布をかけて、マイクの周りを囲むと、録音の声のこもりや部屋の響きが減ります。
布団と段ボールで囲う方法は、布団と段ボールで作る「ひとり用カラオケボックス」で紹介しています。
段ボール|重ねれば高い音に少し効く
段ボール1枚は約0.6kg/㎡で、遮音はほぼ期待できません。
5枚重ねて約3kg/㎡にすると、人の声の高い成分に少し効く計算になります。
ただし、5枚重ねても石膏ボード1枚の重さには届きません。
段ボールの選び方と重ね方は、スーパーの無料段ボールは使えるか?で解説しています。
プチプチ・テント|防音には使わない
プチプチ(気泡緩衝材)は、窓の断熱には役立ちますが、軽すぎて防音の効果はほぼありません。
ワンタッチテントは、布1枚で囲うだけなので、遮音も吸音もほとんど期待できません。
「囲われている安心感」は得られますが、音漏れ対策にはならないと考えてください。
組み合わせで効果を上げる例
目的によって、組み合わせ方が変わります。
| 目的 | 組み合わせ | 費用の目安 | 期待できること |
|---|---|---|---|
| 録音・配信の声をすっきりさせる | 突っ張り棒+厚手の毛布で三方を囲む | 数千円 | 部屋の反響が減り、声がはっきりする |
| ドアから漏れる声を少し減らす | 隙間テープ+ドアに毛布 | 1,000〜3,000円 | 隙間からの漏れが減る |
| 隣への声漏れを減らす | プラダンや木枠+遮音シート+吸音材+隙間テープ | 数万円 | 声の中高音が下がる。低い音は残る |
| 楽器や大声を気にせず出したい | 石膏ボードの自作ブース、または市販の組み立て式防音室 | 10万円前後〜 | 本格的に音漏れを減らせる |
ポイントは、遮音(重い層)と吸音(柔らかい層)を重ねることと、隙間をなくすことです。
重い層だけでは中で音が響き、柔らかい層だけでは音が外へ抜けます。
遮音シートを使うときの重さと骨組みの補強は、遮音シートの重さで自作ブースが崩壊しないためにで解説しています。
自作防音室で失敗しやすい落とし穴
密閉すると息苦しくなる
すき間をしっかりふさいだ自作ブースは、小さいほど早く空気が悪くなります。
内容積が約1.4㎥(幅90cm×奥行き80cm×高さ2m)のブースに1人で入り、換気がまったくないとすると、CO2は数分で1,000ppm(換気不足の目安)を超え、約20分で5,000ppm(事務所の室内で超えてはいけない上限)、1時間で約14,000ppmに達する計算です(当サイトの試算)。
実際の自作ブースは隙間から空気が出入りするためここまで上がらないことが多いものの、換気扇か吸気口を必ず付け、中で眠らないようにしてください。
防音室のCO2の上がり方と換気の考え方は、防音室は酸欠になる?CO2の上がり方で試算しています。
結露とカビ
吐く息の水分がこもり、プラダンや遮音シートの内側に結露が出ることがあります。
毛布や段ボールは湿気を吸い、カビの原因になります。
使ったあとはドアを開けて空気を入れ替え、ときどき素材を干してください。
火災
プラダン・段ボール・毛布・ウレタンの吸音材は、どれも燃える素材です。
- 中で電気ストーブなど熱の出る機器を使わない
- コンセントや電源タップを素材で覆わない
- 照明は熱の少ないLEDにする
賃貸の壁と床の傷
壁に両面テープで素材を貼ると、はがすときに壁紙が破れることがあります。
突っ張り棒や自立する骨組みで囲い、壁に直接貼らない方法を選ぶと、退去時の原状回復で困りにくくなります。
自作で起きた失敗の例は、防音パネルの罠|DIY失敗例から学ぶ遮音と吸音にまとめています。
ホームセンター資材へのステップアップ
100均の素材で「録音の声が良くなった」なら、目的は達しています。
「隣への音漏れが減らない」なら、ホームセンターの資材に進む段階です。
- クローゼットを使う : 扉と壁がすでにあり、内側に吸音材を貼るだけで録音ブースになる
- 木枠で作る : 木材の骨組みに、石膏ボードや遮音シートと吸音材を重ねる
- 費用を先に見積もる : 重い素材ほど材料費と運ぶ手間が増える
クローゼットを使う方法は、防音室を自作する方法|クローゼットDIYで紹介しています。
木枠で作るブースの寸法例は、自作防音ブースの作り方をご覧ください。
材料費の内訳は、自作防音室の費用内訳で計算しています。
安く効かせるコツ全般は、DIY防音のコツにまとめています。
よくある質問
プラダンだけで防音室は作れますか?
プラダンだけでは、音漏れを止める防音室にはなりません。
2.5mmで約0.3kg/㎡と軽く、遮音の効果はほぼ0dBの計算です。
遮音シートや吸音材を貼る下地として使ってください。
ダイソーの素材で防音室は作れますか?
ダイソーなど100均の素材で作れるのは、反響を減らす「吸音ブース」までです。
隙間テープはドアの音漏れ対策に効果がありますが、隣への音漏れを本格的に減らすには、重い素材が必要です。
毛布で防音はできますか?
毛布は反響を減らす吸音には効きますが、音漏れを止める遮音にはほぼ効きません。
録音の声をすっきりさせる目的なら、厚手の毛布で囲う方法は安くて効果的です。
簡単に作れる自作防音室はありますか?
録音の反響対策なら、突っ張り棒と厚手の毛布で三方を囲む方法がいちばん簡単です。
音漏れまで減らしたいなら、クローゼットを使う方法が、手間と効果のつり合いが取りやすい選択です。
まとめ|目的が「吸音」なら100均でも、「遮音」なら重さが要る
- プラダン・段ボール1枚 : 軽すぎて遮音はほぼ0dB。下地や骨組みとして使う
- 毛布・布団 : 吸音には効く。録音の反響対策に向く
- 100均の隙間テープ : 安くて効果が大きい。まずドアの隙間から
- プチプチ・テント : 防音には使わない
- 音漏れを減らしたい : 遮音シートや石膏ボードなど重い層と、吸音材を重ね、隙間をなくす
- 安全 : 換気を付け、中で眠らない。燃える素材の近くで熱の出る機器を使わない
次の一手として、自作と市販の組み立て式のどちらが安く済むかを比べたい方は、格安防音室の比較をご覧ください。