VTuber活動を始めたいけど、家族や近隣への声の問題が気になる…そんな悩みを持っている方は多いのではないでしょうか。
この記事では、VTuber活動に特化した防音対策の基礎知識をまとめました。声の大きさに合わせた防音レベルの選び方から、機材配置のコツまで、初心者向けにわかりやすく解説していきます。
VTuberに必要な防音レベルって?#
まず、VTuber活動でどれくらいの防音性能が必要なのかを知っておきましょう。
配信スタイル別の必要防音レベル#
VTuberの配信スタイルによって、必要な防音性能は大きく変わります。
①静かめの配信(D-40〜45)
- 雑談、お絵描き配信
- 深夜のささやき声配信
- ASMR(環境音重視)
- 読み聞かせ、朗読
このタイプなら簡易的な防音対策でもOKです。
②普通の声量配信(D-45〜50)
- 通常のゲーム実況
- 歌枠(小〜中音量)
- トーク配信全般
- コラボ配信
最も多いのがこのタイプ。ユニット型防音室の導入を検討するレベルです。
③大きな声の配信(D-50〜60)
- ホラゲー実況(叫び声あり)
- 熱狂系ゲーム実況
- 歌枠(大音量)
- 大声を出す企画配信
本格的な防音対策が必要です。
④音質重視配信(D-60以上)
- プロレベルの歌枠
- ASMR(音質特化)
- バイノーラル収録
- 楽器演奏
完全な静寂環境が求められます。
住環境による違いも重要#
あなたの住んでいる環境によっても対策は変わります。
住環境 | 推奨D値 | 配慮ポイント |
---|---|---|
戸建て(郊外) | D-40〜50 | 家族への配慮中心 |
戸建て(住宅地) | D-50〜60 | 近隣への配慮必要 |
マンション | D-50〜60 | 隣室・上下階への配慮 |
住宅密集地 | D-60〜70 | 厳格な対策必須 |
防音賃貸 | 対策不要 | 24時間配信OK |
VTuber向け防音対策:3つのレベル#
予算と必要性に合わせて、3つのレベルから選びましょう。
レベル1:簡易対策(予算5〜20万円)#
向いている人
- VTuber活動を始めたばかり
- 深夜の静かめ配信が中心
- まずは手軽に試したい
おすすめ製品・方法
だんぼっち(6〜15万円)
- 組み立て式の段ボール製ブース
- 1〜2時間程度の配信向き
- 実際に使用しているVTuber:レヴィ・エリファさんなど
- デスクトップPC、モニター1枚が入る程度
吸音・遮音グッズ併用
- 防音カーテン(5,000〜20,000円)
- 吸音パネル(10,000〜30,000円)
- 防音マット(5,000〜15,000円)
- 隙間テープ(1,000〜3,000円)
メリット
- 低予算で始められる
- 組み立て・撤去が簡単
- 賃貸でも設置可能
- 失敗してもダメージ小
デメリット
- 防音性能は限定的
- 長時間は暑い・窮屈
- 大声の配信には不向き
- 機材を置くスペースが狭い
レベル2:本格対策(予算50〜150万円)#
向いている人
- 定期的に配信している
- 収益化できている
- 長時間配信が多い
- 音質にこだわりたい
おすすめ製品
ヤマハ セフィーネNS 1.5畳(110万円〜)
- 防音性能:Dr-40
- 換気・照明完備
- 1.5畳タイプが人気
- デスク、椅子、機材一式が入る
カワイ ナサール 1.5畳(98万円〜)
- 防音性能:Dr-40
- ヤマハより約10万円安い
- コスパ重視ならこちら
追加設備
- 小型除湿器(10,000〜30,000円)
- サーキュレーター(5,000〜15,000円)
- 吸音パネル追加(20,000〜50,000円)
- LED照明改善(10,000〜30,000円)
メリット
- 高い防音性能
- 換気設備で快適
- 長時間配信も安心
- 移設・売却も可能
- 音響環境が良好
デメリット
- 初期費用が高額
- 設置に3〜4畳分のスペース必要
- 賃貸は事前許可必須
- 組み立てに専門業者必要
レベル3:完全対策(予算150万円以上)#
向いている人
- VTuber事務所所属
- 法人として活動
- 複数人での使用
- プロレベルの音質必須
対策方法
大型ユニット型(180〜350万円)
- ヤマハ セフィーネNS 2.5畳以上
- 防音性能:Dr-40〜50
- エアコン設置可能
- 複数モニター、機材完備可能
現場施工型(200万円〜)
- 部屋丸ごと防音改修
- 防音性能:D-60以上も可能
- 完全カスタマイズ
- 持ち家限定
メリット
- 最高レベルの防音性能
- 広々とした作業空間
- どんな配信スタイルもOK
- 複数人でも使用可能
デメリット
- 高額な初期投資
- 工事期間が必要(現場施工の場合)
- 賃貸では基本不可
- 維持費もかかる
VTuber特有の注意点#
VTuber活動には、一般的な配信とは違う特有のポイントがあります。
トラッキング機材の配置#
VTuberはモーショントラッキングやフェイストラッキングを使うため、機材配置が重要です。
必要なスペース
- Webカメラの設置位置
- 全身トラッキングの場合は立ち作業スペース
- 複数カメラの場合は角度確保
- 照明の位置
防音室を選ぶ際は、トラッキングに必要な距離を確保できるサイズを選びましょう。
推奨サイズ
- 顔トラッキングのみ:1.5畳でもOK
- 上半身トラッキング:2畳以上推奨
- 全身トラッキング:2.5畳以上必要
照明環境の整備#
トラッキング精度を上げるには、適切な照明が必須です。
照明のポイント
- 正面からの照明(顔を明るく)
- 背景照明(グリーンバック用)
- 色温度は統一(5000K〜6500K推奨)
- LEDリングライトが便利
防音室内は暗くなりがちなので、照明計画も重要です。ユニット型防音室には標準で照明がついていますが、トラッキング用には追加照明が必要になることが多いです。
長時間配信対策#
VTuberは長時間配信も多いため、快適性の確保が重要です。
必須対策
- 換気設備:1時間ごとに5分の換気休憩
- 温度管理:24〜26℃を保つ
- 湿度管理:50〜60%が理想
- 水分補給:こまめに水分を取る
特に夏場は熱中症のリスクがあるので、温湿度計を設置して常にチェックしましょう。
機材の放熱対策#
防音室内は熱がこもりやすく、PCなどの機材も熱を発します。
対策方法
- PCは外に出す(可能なら)
- サーキュレーターで空気を循環
- 排熱ファンを追加
- 定期的な換気
高性能なゲーミングPCを使っている場合は特に注意が必要です。
理想的な部屋レイアウト#
防音室内のレイアウトも重要です。限られたスペースを最大限活用しましょう。
1.5畳タイプの配置例#
基本レイアウト
[壁面]
背景(グリーンバック)
↓
[Webカメラ]
↓
[モニター]
↓
[デスク・機材]
↓
[椅子]
↓
[あなた]
配置のコツ
- 背面の壁を背景として活用
- カメラは目線の高さ
- モニターはカメラの下
- マイクは口元から10〜15cm
- 手の動きを妨げない配置
機材配置の優先順位#
限られたスペースでは、優先順位をつけて配置しましょう。
優先度:高
- メインモニター
- トラッキング用Webカメラ
- マイク
- キーボード・マウス
- オーディオインターフェース
優先度:中 6. サブモニター 7. 照明機器 8. ドリンクホルダー 9. 配線整理グッズ
優先度:低(外に出せるもの) 10. PC本体 11. ルーター 12. 外付けHDD 13. スイッチングハブ
PC本体は発熱も大きいので、可能なら防音室の外に出すのがおすすめです。延長ケーブルやHDMIケーブルで接続すれば問題ありません。
配線の整理術#
狭い空間では配線がごちゃごちゃになりがちです。
配線整理のコツ
- ケーブルタイで束ねる
- 配線モールを使う
- 床下配線を活用
- 無線化できるものは無線に
- 電源タップは壁掛けに
配信中に足を引っ掛けてケーブルが抜けた…なんてトラブルを防ぐためにも、配線整理は重要です。
音響環境を良くする工夫#
防音だけでなく、「良い音で配信する」ための工夫も大切です。
吸音材の追加#
防音室内は音が反響しやすいため、吸音材を追加すると音質が向上します。
設置場所の優先順位
- 正面の壁:声が直接当たる場所
- 背面の壁:反射音対策
- 天井:上からの反響対策
- 左右の壁:音の広がり対策
- コーナー:低音がこもりやすい
全面に貼る必要はありません。予算に合わせて優先度の高い場所から設置しましょう。
おすすめ吸音材
- ウレタン吸音パネル(安価)
- 布製吸音パネル(見た目良し)
- 木製ディフューザー(高級感)
マイクの選び方と使い方#
VTuberの声の質は、マイク選びで大きく変わります。
VTuber向けおすすめマイク
コンデンサーマイク
- 音質:★★★★★
- 繊細な声を拾える
- 環境音も拾いやすい
- 防音環境必須
ダイナミックマイク
- 音質:★★★★☆
- 環境音を拾いにくい
- 防音が弱くてもOK
- 声量が必要
USBマイク
- 音質:★★★☆☆
- 設定が簡単
- 初心者向け
- コスパ良し
マイクの基本設定
- 距離:口元から10〜15cm
- 角度:少し下から
- ポップガードは必須
- ショックマウント推奨
ノイズ対策#
せっかく防音室を作っても、機材や設備のノイズが入ってしまっては意味がありません。
主なノイズ源
- PCのファン音
- エアコン・換気扇
- 蛍光灯のノイズ
- 電源からのノイズ
- 外の交通音・生活音
対策方法
- PCは可能な限り外に出す
- 換気は配信前後に(配信中は切る)
- LED照明に変更
- ノイズフィルター付き電源タップ
- マイクの指向性を活用
ソフトウェアでのノイズキャンセリングも有効ですが、物理的に音を減らす方が音質は良くなります。
予算別おすすめプラン#
最後に、予算別のおすすめプランをまとめます。
予算10万円:スタート応援プラン#
メイン投資
- だんぼっち(6〜10万円)
追加アイテム
- 防音カーテン
- 簡易吸音材
- USBマイク(別予算)
向いている人
- VTuber始めたて
- 週1〜2回の配信
- 短時間配信中心
- 静かめの配信スタイル
予算30万円:快適配信プラン#
メイン投資
- だんぼっち(15万円)
- 除湿器・サーキュレーター(3万円)
- 吸音パネルセット(5万円)
- 照明機材(3万円)
- 防音カーテン・マット(4万円)
向いている人
- 定期配信している
- 2〜3時間配信
- まだ収益化前後
- 音質も気にしたい
予算100万円:本格活動プラン#
メイン投資
- ヤマハ/カワイ 1.5畳(98〜110万円)
追加投資(別予算)
- 吸音パネル追加
- 照明機材充実
- 高品質マイク
向いている人
- 収益化済み
- 毎日配信
- 4時間以上の長時間配信
- 歌枠もやる
予算200万円:プロ仕様プラン#
メイン投資
- ヤマハ セフィーネNS 2.5畳(180万円〜)
- エアコン設置工事(20万円)
追加投資
- プロ仕様吸音処理
- 照明機材プロ仕様
- 高級マイク・オーディオIF
向いている人
- 事務所所属
- VTuberが本業
- コラボ配信も多い
- 最高の音質が必要
まとめ:まずは自分のスタイルを知ろう#
VTuber向けの防音対策、いかがでしたか?
選び方のステップ
- 配信スタイルを確認(声の大きさ、時間帯)
- 住環境をチェック(戸建てorマンション)
- 予算を決める(10万〜200万円)
- 必要な機材スペースを計算(トラッキング環境)
- 長時間配信の有無(換気・空調の重要度)
初心者におすすめの始め方
まずは簡易的な対策から始めて、活動が軌道に乗ってから本格的な防音室を導入するのがおすすめです。
- STEP1:防音カーテン・マット(2〜3万円)
- STEP2:だんぼっち導入(6〜15万円)
- STEP3:ユニット型防音室(100万円前後)
だんぼっちは中古市場もあるので、新品の50〜60%程度で買えることもあります。試しに使ってみて、必要なら本格的な防音室にステップアップしましょう。
防音賃貸という選択肢も
もし引っ越しを検討しているなら、防音賃貸マンションも選択肢に入れてみてください。初期費用は抑えられる上に、24時間好きな時に配信できる環境が手に入ります。
快適な配信環境を整えて、楽しいVTuber活動を続けてくださいね!