「高いコンデンサーマイクを買ったのに、エアコンの音やキーボードの打鍵音まで拾ってしまって、逆に音質が悪くなった…」
配信活動を始めたばかりの人が、必ずと言っていいほどぶつかる音の沼がこれです。
かつての僕もそうでした。「有名ストリーマーが使っているから」という理由だけで高級マイクを買い、部屋の反響音(リバーブ)まで綺麗に拾ってしまい絶望しました。
今回は、まだ防音室を持っていないあなたのために、機材選びと設定だけで「防音室レベルのクリアな音声」を作るための泥臭いテクニックを共有します。
お金をかけて防音工事をする前に、まずはこの設定を試してみてください。
結論:防音室がないなら「高いコンデンサーマイク」は罠#
憧れの配信者が使っているピカピカのコンデンサーマイク。確かに音質は最高ですが、実は諸刃の剣です。
感度が良すぎるという弱点#
コンデンサーマイクは、空気中の微細な振動までキャッチするように作られています。 つまり、あなたの声だけでなく、以下のような「聞かれたくない音」まで高解像度で拾ってしまいます。
- エアコンやPCファンの「サーッ」という音
- 隣の部屋のテレビ音
- 外を走る車の走行音
- 部屋の中で響く自分の声(反響音)
防音室のような「完全な静寂」があってこそ、コンデンサーマイクはその真価を発揮します。 生活音があふれる普通の部屋では、むしろオーバースペックなのです。
救世主は「ダイナミックマイク」と「単一指向性」#
では、普通の部屋で戦う我々は何を選べばいいのか。
正解は単一指向性のダイナミックマイクです。
必要な音だけを拾う鈍感力#
ダイナミックマイク(ライブハウスでよく見るタイプ)は、構造的に「近くの大きな音」しか拾いません。 これは「感度が悪い」とも言えますが、雑音だらけの環境では最強のノイズキャンセリング機能になります。
- SHURE SM58: 世界標準のボーカルマイク。頑丈で余計な音を拾わない。
- SHURE MV7+: USB接続できる配信特化型。専用アプリの補正が神レベル。
これらのマイクは、自分の口元以外の音を物理的にカットしてくれる頼もしい相棒です。
「口元3cm」が最強の防音対策#
マイクを買ったら、そのまま机に置いていませんか? それがノイズの原因です。
物理法則「逆二乗の法則」を味方につける#
音は距離が離れると、その2乗に比例して小さくなります。 逆に言えば、マイクを音源(口元)に近づければ近づけるほど、相対的に周囲のノイズは小さくなります。
- **マイクアーム(必須アイテム)**を導入する。
- マイクを口元3cm〜5cmの距離まで近づける。
- マイクの入力ゲイン(感度)をギリギリまで下げる。
この「オンマイク設定」にするだけで、後ろで鳴っている生活音は魔法のように消えます。 マイクが画面に映るのを嫌がる人もいますが、音質を優先するならマイクは口元に寄せるのが鉄則です。
ソフトウェアで仕上げる「デジタルの壁」#
ハードウェアで物理的にノイズを減らしたら、仕上げはソフトウェアです。 配信ソフト「OBS Studio」には、無料で使える優秀なフィルタ機能が標準搭載されています。
ノイズゲート:無音時の静寂を作る#
ノイズゲートは、「一定の音量以下の音をカットする」機能です。
- 喋っている時: ゲートが開いて声を通す。
- 黙っている時: ゲートが閉じて、エアコンやファンの音をゼロにする。
これを設定するだけで、喋っていない瞬間の「シーン…」というプロっぽい静寂が手に入ります。
AIノイズ除去の活用#
最近はNVIDIA BroadcastなどのAIノイズ除去も強力です。 キーボードを叩く「カタカタ音」や、ポテチを食べる音ですら消してくれます。
ただし、掛けすぎると声質がロボットのように劣化するので、あくまで「リミッター」として薄く掛けるのがコツです。
まとめ:機材の値段より使いこなしで音は変わる#
「いいマイクを使えば音が良くなる」というのは幻想です。 自分の環境に合ったマイクを選び、正しくセッティングすることこそが、高音質への近道です。
- ダイナミックマイクを選ぶ。
- マイクアームで口元に寄せる。
- ノイズゲートで無音を作る。
この3ステップなら、数万円の投資で「防音室で撮ったの?」と聞かれるレベルの音質が手に入ります。
もし、それでも深夜の「叫び声」や「歌声」が漏れるのが心配なら、その時は初めて本格的な防音室(だんぼっち等)を検討するタイミングです。 まずは今ある環境で、限界まで音質を高めてみましょう!
関連記事#
- [実例紹介]: だんぼっちで歌ってみたを作るための改造ガイド
- [基礎知識]: 防音室がない環境で録音する時の吸音テクニック
- [比較記事]: 配信向け防音室の選び方とおすすめ製品
