最近、VTuberやゲーム実況、ポッドキャストなど、自宅で配信活動をする人が増えていますよね。でも、生活音や外の騒音が入ってしまって困っている方も多いのではないでしょうか。
この記事では、配信者向けの防音室の作り方と、快適な収録環境を整えるポイントをまとめました。予算や環境に合わせた選択肢を紹介していくので、ぜひ参考にしてみてください。
配信に必要な防音性能ってどのくらい?#
配信用の防音室を作る前に、まずどれくらいの防音性能が必要なのかを知っておきましょう。
配信用途なら D-45〜D-60 が目安#
防音性能は「D値」という数値で表されます。数字が大きいほど高性能ですが、配信の場合は以下が目安となります:
- D-40〜45:簡易的な配信ブース、通話メイン
- D-45〜50:ゲーム実況、トーク配信
- D-50〜60:ASMR、歌配信など音質重視
- D-60以上:プロレベルの収録環境
楽器演奏(D-50〜70必要)に比べると、配信は比較的低めの防音性能でも対応できます。そのため、コストを抑えやすいのが特徴です。
住環境で必要性能は変わる#
あなたの住環境によっても必要な防音性能は変わってきます:
- 戸建て住宅地:D-40〜50(近隣との距離がある)
- 一般マンション:D-50〜60(隣室への配慮が必要)
- 住宅密集地:D-60〜70(厳格な対策が必要)
周囲の環境騒音が大きい場所なら、逆に防音性能を抑えても問題ないケースもあります。
配信向け防音室の作り方:3つの選択肢#
防音室を導入する方法は、大きく分けて3つあります。それぞれメリット・デメリットがあるので、自分に合った方法を選びましょう。
①簡易防音ブース(予算10〜50万円)#
おすすめな人
- 初めて防音対策する人
- 賃貸で大がかりな工事ができない人
- まずは手軽に試したい人
代表的な製品
- だんぼっち(6〜15万円):組み立て式の段ボール製ブース
- Okudake DESK(12万円):デスクと一体型
- 海外製簡易ブース(8〜30万円):様々なタイプあり
メリット
- 低予算で導入できる
- 組み立て・移動が簡単
- 賃貸でも設置可能
デメリット
- 防音性能は限定的(D-30程度)
- 長時間の使用は暑い
- 本格的な収録には不向き
だんぼっちは配信者の間でも人気で、VTuberのレヴィ・エリファさんなども使用していることで知られています。
②ユニット型防音室(予算50〜300万円)#
おすすめな人
- 本格的に配信活動している人
- 音質にこだわりたい人
- 長時間の収録が多い人
代表的な製品
- ヤマハ セフィーネNS(110万円〜):Dr-40、1.5〜2.5畳
- カワイ ナサール(98万円〜):Dr-40、ヤマハより約10万円安い
- ナガワ SOUND ROOM(80〜120万円):業務用仕様
メリット
- 高い防音性能(D-45〜50)
- 換気・空調設備が充実
- 音響バランスが良い
- 移設・売却も可能
デメリット
- 初期費用が高額
- 設置スペースに余裕が必要(外寸で3〜4畳必要)
- 賃貸の場合は事前許可必須
ユニット型は工事不要で設置でき、引っ越しの際も移設できるのが大きなメリットです。中古市場もあるので、新品の40〜70%程度で購入できる場合もあります。
③現場施工型(予算100万円〜)#
おすすめな人
- 持ち家で長期的に使う予定の人
- 完全にカスタマイズしたい人
- 複数の用途で使いたい人
施工内容
- 部屋の一室を防音改修
- 壁・床・天井に防音材を施工
- 換気・空調設備も同時設置
メリット
- 完全カスタマイズ可能
- 既存の部屋をそのまま活用
- 高い防音性能(D-60以上も可能)
デメリット
- 工事費用が高額
- 工期がかかる(1〜2ヶ月)
- 賃貸では基本的に不可
- 引っ越し時に持っていけない
快適な配信環境を作るための必須設備#
防音室を導入したら、次は快適に配信できる環境を整えましょう。
換気設備は絶対に必要#
防音室は密閉性が高いため、換気設備がないと熱や湿気がこもってしまいます。
必須アイテム
- 防音換気扇:防音性能を保ちながら換気
- 温湿度計:環境モニタリング用
推奨環境
- 温度:24〜26℃(夏)、20〜22℃(冬)
- 湿度:50〜60%
特に夏場は熱中症のリスクもあるので、必ず換気設備を設置してください。配信前5分、1時間ごとに5分、配信後10分の換気を習慣にすると良いです。
空調設備で快適性アップ#
選択肢
- エアコン設置:最も効果的だが工事が必要
- ダクト配管:室外エアコンから配管
- 除湿器:梅雨・夏季の湿度管理
- サーキュレーター:空気の循環
予算が許すなら小型エアコンの設置がおすすめです。難しい場合は、除湿器とサーキュレーターの組み合わせでもかなり改善されます。
電源・配線計画も忘れずに#
配信では複数の機材を使うため、電源計画も重要です。
チェックポイント
- コンセント数は十分か(最低4〜6口)
- 延長コードの配線ルート
- ブレーカー容量の確認
- ネット回線の引き込み
配信機材、照明、空調などで電力を使うので、ブレーカーが落ちないよう事前に確認しておきましょう。
音響環境を整えるコツ#
防音だけでなく、「良い音」で配信するための工夫も大切です。
吸音材で反響を抑える#
防音室内は音が反響しやすいため、吸音材を追加すると音質が向上します。
設置場所
- 壁面(特に正面と背面)
- 天井
- コーナー部分(低音対策)
おすすめ素材
- 吸音パネル
- ウレタンスポンジ
- グラスウール製吸音材
市販の吸音パネルは見た目も良く、簡単に貼れるのでおすすめです。
マイク位置と距離の調整#
どんなに良い防音室でも、マイクの使い方次第で音質は変わります。
基本のポイント
- マイクと口の距離:10〜15cm
- ポップガード使用で破裂音を防ぐ
- マイクスタンドで固定(ノイズ防止)
ASMRなど繊細な音を拾いたい場合は、防音性能だけでなく「無響室に近い静寂さ」が求められるため、D-60以上の性能が推奨されます。
賃貸でも諦めない!防音対策の工夫#
賃貸住宅だと大がかりな工事はできませんが、工夫次第で防音対策はできます。
簡易防音グッズの活用#
おすすめアイテム
- 防音カーテン:窓からの音漏れ対策
- 遮音シート:壁に貼るタイプ
- 防音マット:床の振動対策
- 隙間テープ:ドアの隙間を埋める
これらを組み合わせるだけでも、ある程度の防音効果が得られます。
防音賃貸マンションという選択肢#
最近は配信者向けの防音賃貸マンションも増えています。
防音賃貸のメリット
- 最初から防音設備完備(D-60〜80)
- 24時間配信可能
- 近隣トラブルの心配なし
- 初期費用を抑えられる
デメリット
- 家賃が一般賃貸より10〜50%高い
- 物件数が少ない(待機者多数)
- 主に東京・大阪などの都市部に集中
長期的に配信活動を続けるなら、防音賃貸への引っ越しも検討する価値があります。
予算別おすすめプラン#
最後に、予算別のおすすめプランをまとめます。
予算10万円以内:入門編#
- だんぼっち(6〜15万円)
- 防音カーテン・マット
- 簡易吸音材
向いている人:配信を始めたばかりの人、通話メイン
予算30〜50万円:本格スタート編#
- 海外製簡易ブース(20〜30万円)
- 小型除湿器・サーキュレーター
- 吸音パネルセット
- 防音カーテン強化
向いている人:定期的に配信している人、音質にこだわりたい人
予算100万円前後:プロ仕様編#
- ヤマハ/カワイのユニット型(98〜130万円)
- 換気設備・空調完備
- 本格的な吸音処理
- 電源・配線最適化
向いている人:配信で収益を得ている人、長時間収録が多い人
予算200万円以上:完全カスタム編#
- 大型ユニット型または現場施工
- エアコン設置
- 最高レベルの防音性能(D-60以上)
- プロ仕様の音響設計
向いている人:法人として活動している人、複数人での使用
まとめ:自分に合った防音室を選ぼう#
配信向けの防音室は、予算や住環境、配信スタイルによって最適な選択肢が変わります。
選び方のポイント
- 必要な防音性能を見極める(配信用途ならD-45〜60)
- 予算と相談する(10万円〜300万円まで幅広い)
- 住環境を考慮する(賃貸か持ち家か)
- 換気・空調は妥協しない(快適性に直結)
- 将来の拡張性も考える(移設可能性など)
最初は簡易ブースから始めて、配信活動が軌道に乗ったらユニット型にアップグレードするのも良い選択です。中古市場もあるので、だんぼっちは新品の50〜60%程度で売却できることもあります。
快適な収録環境を整えて、質の高い配信を楽しんでくださいね!