配信を始めてみたら「声がこもる」「エコーがかかる」「生活音が入っちゃう」…こんな音質の悩み、ありませんか?
実は、配信の音質を左右するのはマイクの性能だけじゃないんです。部屋の「音響環境」を整えることで、驚くほどクリアな音になります。
今回は、遮音と吸音の違いから、具体的な反響・こもり対策まで、配信者向けの音質改善術をまとめました。
遮音と吸音は何が違うの?#
まず基本から。「遮音」と「吸音」は全く別の役割を持っています。
遮音(しゃおん)とは#
音を外に漏らさない・外から入れない技術
- 壁や扉で音を反射・遮断する
- 重く密度の高い材料を使う
- 近隣への配慮、外部の騒音対策
- 例:防音室、防音ドア、遮音シート
配信での役割
- 生活音(ドアの開閉、足音、話し声)を防ぐ
- 外の騒音(車の音、工事音)を遮断する
- 深夜配信でも近隣に迷惑をかけない
吸音(きゅうおん)とは#
音を吸収して反響を抑える技術
- 柔らかい素材で音エネルギーを吸収
- 部屋の中の音を整える
- 音質の向上、クリアさの改善
- 例:吸音パネル、ウレタンフォーム、カーテン
配信での役割
- 声の反響(エコー)を減らす
- こもった音質を改善する
- マイクが拾う音をクリアにする
配信の音質改善には「吸音」が超重要! 遮音だけでは声がクリアになりません。
配信音質が悪くなる3つの原因#
1. 反響(エコー・残響)#
症状
- 声が何度も跳ね返って響く
- セリフの語尾が重なって聞こえる
- 「わんわん」「ぼわんぼわん」した音
原因
- 壁・床・天井が硬い素材(コンクリート、フローリング)
- 部屋に何もない(家具が少ない)
- 防音室の中が「箱」状態
2. こもり(低音の膨らみ)#
症状
- 声がくぐもって聞こえる
- 低音だけが強調される
- 聞き取りにくい音質
原因
- 狭い空間での定在波(特定の周波数が増幅)
- 吸音材が足りない、または偏っている
- マイクと壁の距離が近すぎる
3. ノイズ(環境音)#
症状
- 生活音が入る(足音、ドアの音)
- 外の騒音が聞こえる(車、工事)
- エアコンやPCファンの音が入る
原因
- 遮音性能が不足している
- 設備の騒音対策ができていない
- マイクの指向性設定が適切でない
簡単にできる吸音対策5選#
高額な防音室がなくても、吸音対策なら比較的簡単にできます。
1. 吸音パネルを壁に貼る#
効果:★★★★★
市販の吸音パネルを壁に貼るだけで、反響が劇的に改善します。
おすすめの配置
- マイクの正面と背面の壁に優先的に
- 天井にも貼れるとさらに効果的
- 全面に貼らなくても、50%くらいで十分
価格目安
- 30×30cmパネル12枚セット:3,000〜5,000円
- 50×50cmパネル6枚セット:5,000〜8,000円
賃貸でも両面テープや画びょうで取り付けOKなタイプが多いです。
2. 厚手のカーテンを使う#
効果:★★★☆☆
意外と効果が高いのがカーテン。窓からの音漏れ・侵入も防げます。
ポイント
- 遮光・遮音カーテンを選ぶ
- 床までしっかり届く長さに
- ヒダを多めにすると吸音効果UP
壁側に飾りとしてカーテンを垂らすだけでも吸音効果があります。
3. ラグやカーペットを敷く#
効果:★★★★☆
床の反響を抑えるのに効果的。特にフローリングの部屋は必須です。
選び方
- 厚手の素材(毛足が長いもの)
- できるだけ広い面積をカバー
- 防音カーペットならさらに良い
足音の遮音にもなるので、一石二鳥です。
4. 家具や本棚を配置する#
効果:★★★☆☆
意外と見落としがちですが、家具は吸音材の代わりになります。
効果的な配置
- 本棚を壁際に置く(本が吸音材になる)
- クッションやぬいぐるみを置く
- ソファやベッドも吸音効果あり
「ガランとした部屋」より「適度に物がある部屋」の方が音質が良くなります。
5. 段ボールや卓上防音ブースを活用#
効果:★★★★☆
超低予算で試したいなら、段ボールでマイク周りを囲うだけでも変わります。
DIY方法
- マイクの背面と左右に段ボールを立てる
- 内側にタオルや吸音材を貼る
- 「だんぼっち」的な簡易ブースを自作
市販の卓上防音ブース(1〜3万円)も手軽で効果的です。
防音室の反響を抑えるコツ#
防音室を使っていても「音がこもる」「反響する」という悩みは多いです。
防音室特有の問題#
なぜ反響しやすいのか
- 密閉された狭い空間
- 壁が硬い素材(遮音材)で囲まれている
- 吸音処理が不十分なことが多い
解決策
- 吸音パネルを追加:壁の30〜50%に貼る
- マイクの位置を工夫:壁から30cm以上離す
- 防音室内に小物を置く:クッション、ぬいぐるみなど
- 換気のときに調整:こもり感が強いときは少し扉を開ける(配信中はNG)
防音室は「遮音」には優れていても、「吸音」は別途対策が必要です。
マイク設定で音質を改善する#
物理的な対策に加えて、マイク側の設定も重要です。
マイクの指向性を活用#
単一指向性(カーディオイド)
- 正面の音だけを拾う
- 背面の反響やノイズを軽減
- トーク配信、ゲーム実況向き
全指向性(オムニ)
- 周囲360度の音を拾う
- 部屋の音響が良くないと逆効果
- ASMR、雑談配信向き(環境次第)
ノイズゲートとコンプレッサー#
ノイズゲート
- 小さな音(環境音)をカットする
- しきい値を調整して生活音を消す
コンプレッサー
- 声の音量を均一にする
- 急な大声や小声の差を減らす
OBS StudioやDiscord、配信ソフトにも機能があるので活用しましょう。
予算別の音質改善プラン#
【予算1万円】最小限の対策#
- 吸音パネル12枚セット:5,000円
- 厚手カーテン:3,000円
- 防音カーペット:2,000円
合計:10,000円
【予算3万円】しっかり対策#
- 吸音パネル(壁・天井用):15,000円
- 防音カーテン:8,000円
- 防音カーペット:5,000円
- 卓上防音ブース:2,000円
合計:30,000円
【予算10万円】本格的な環境#
- 吸音パネル一式:30,000円
- 防音カーテン(遮音タイプ):15,000円
- 防音カーペット(高品質):10,000円
- 簡易防音ブース(だんぼっち等):45,000円
合計:100,000円
よくある質問#
Q. 吸音材を貼りすぎるとダメ?
A. 貼りすぎると逆に「デッド(音が死んだ状態)」になって、不自然な音質になります。壁の50〜70%くらいが目安です。
Q. 賃貸でも吸音対策できる?
A. できます!両面テープや画びょうで取り付けられる吸音パネルがほとんどです。退去時に跡が残らないタイプを選びましょう。
Q. エアコンの音が気になる場合は?
A. 配信中だけエアコンを止めるか、静音モードに設定。もしくは指向性マイクを使ってエアコンと反対方向に設置すると軽減できます。
まとめ:配信音質は「環境」が9割#
高級マイクを買っても、部屋の音響が悪ければ意味がありません。
音質改善の3ステップ
- 遮音:外部の音を遮断する(防音室or静かな環境)
- 吸音:反響・こもりを抑える(吸音パネル、カーペット)
- 設定:マイクの指向性やノイズゲートを調整
特に「吸音」は比較的安価で、効果も実感しやすいので、まずはここから始めてみてください。
視聴者に「聞きやすい!」と言われる配信を目指しましょう!