「プレイングに集中したいのに、防音室の中が暑すぎて汗だく。ファンがうなり声を上げて、マイクにノイズが入ってしまう……」
長時間のゲーム実況やライブ配信を行うストリーマーにとって、夏の防音ブースはまさに地獄です。壁掛けエアコンが設置できない「簡易防音室(1畳〜1.5畳程度)」を使っている場合、唯一の救世主となるのが 「スポットクーラー(ポータブルクーラー)」 です。
しかし、スポットクーラーをただ防音室の中に持ち込んで電源を入れるだけでは、逆に部屋が暑くなるという地獄 を見ることになります。 本記事では、配信のクオリティと防音性能を落とすことなく、スポットクーラーを「正しく」設置するためのガイドラインを解説します。
1. なぜ「そのまま置く」と失敗するのか?#
スポットクーラーは、前面から「冷風」を出しますが、それと同時に背面から大量の 「熱風(排熱)」 を放出します。 防音室のような密閉空間でこれを稼働させると、冷風の量よりも排熱の量の方が勝ってしまい、結果的に室温は上昇し続けます。
さらに、スポットクーラーは本体内に強力なコンプレッサーを内蔵しているため、「稼働音(ブーンという重低音)」が非常に大きく、そのままでは配信用のマイクが確実にノイズを拾ってしまいます。
2. 究極の正解:クーラー本体は「外」、冷風だけを「中」へ#
稼働音と排熱の問題を同時に解決する唯一の方法、それは 「スポットクーラー本体を防音室の外に置き、冷風だけをダクトで中に引き込む」 というスタイルです。
必要なもの#
- スポットクーラー本体 : アイリスオーヤマやナカトミなど、冷風の吹き出し口にダクト(ホース)が取り付けられるタイプを選びます。
- フレキシブルダクト(アルミ製など) : 冷風を運ぶためのホースです。
- 断熱材(ダクトカバー) : 冷気を運ぶダクトの表面に結露が発生しないよう、ダクトをグラスウールや専用の保温チューブで巻きます。
設置ステップ#
- 本体の配置 : 防音室の外(なるべくエアコンの効いた涼しい部屋)にスポットクーラーを設置します。
- 冷気ダクトの引き込み : スポットクーラーの「冷風口」にダクトを繋ぎ、防音室の「給気口(または換気扇の穴等)」から室内に引き込みます。
- 隙間埋め : ダクトを通した穴の隙間から音が漏れないよう、粘土状のパテ(エアコンパテ)などでしっかりと隙間を埋めます。

3. マイクに風切り音を乗せない工夫#
冷風が直接顔やマイクに当たると、「ボボボ……」という強烈な風切り音(ポップノイズ)が乗ってしまいます。
- 風向きコントロール : 引き込んだダクトの先端にルーバー(風向き調整板)を自作して取り付けるか、風が壁に当たってから循環するようにダクトの向きを調整します。
- プラグインによる処理 : もし微小なコンプレッサー音がダクトを通じて響いてくる場合は、OBS Studioや配信ソフトの「ノイズ抑制フィルター(NVIDIA Broadcastなど)」を併用して、環境音だけをカットします。
4. 注意点:防音室内の「気圧」コントロール#
スポットクーラーで外の空気を大量に中に押し込むと、防音室内の気圧が上がり(正圧)、ドアが開きにくくなったり、隙間から予期せぬ音漏れが発生したりします。
「入れた空気と同じ量だけ、別の場所から空気を抜く」 のが換気の大原則です。 防音室にもともと付いている「換気扇(排気)」を必ず回し、空気の出口を確保しておいてください。
まとめ:快適な配信環境は「熱の隔離」から#
- スポットクーラーを「防音室の中」に置くのは絶対NG。
- 本体は「外」に置き、ダクトで「冷風のみ」を中に引き込む。
- 隙間をパテで埋め、排気用換気扇を回して気圧バランスを保つ。
このセッティングを完成させれば、壁掛けエアコンがなくても、真夏の最中に長時間のレイドバトルや叫び声の出るホラーゲーム実況を快適にこなすことができます。今すぐ「熱の隔離」を実行し、最高の配信パフォーマンスを維持しましょう。

