「メーカー製は高いから、自分で作って安く済ませたい!」 DIYが得意な方なら、一度は考える「自作防音室」。
ネット上には「5万円で作れた!」という動画もありますが、楽器練習に使えるレベルの性能(Dr-30〜35)を目指すなら、5万円では石膏ボードと木材を買って終わりです。
この記事では、そこそこの性能を持つ「1.5畳サイズ」の防音室を自作する場合の、リアルな材料費シミュレーションを公開します。
衝撃の現実:材料費だけで「15万円〜20万円」#
まともな防音性能(重さと気密)を確保しようとすると、材料は膨大な量になります。
【試算】1.5畳防音室(Dr-30目標)の材料費内訳#
※価格はホームセンター等の標準的な相場です。
- 骨組み(2×4材など): 約 30,000円
- 重量を支えるため、しっかりした柱が必要です。
- 遮音材(石膏ボード 12.5mm × 2重): 約 40,000円
- 壁・天井・床すべてを2重貼りにしないと音は止まりません。約30〜40枚必要。
- 遮音シート: 約 20,000円
- サンダムなどの高比重シート。ロールで数本必要です。
- 吸音材(グラスウール・ロックウール): 約 30,000円
- 壁の中に充填する断熱・吸音材。これが無いと太鼓現象で音が響きます。
- 防音ドア(自作または既製品): 約 30,000円〜
- 一番の難関。既製品を買うとここだけで5万〜10万。自作でもグレモンハンドルやパッキン等の部材費がかかります。
- 換気扇(ロスナイ等): 約 20,000円
- 窒息しないために必須。穴を開ける工具も必要。
- その他(ビス、コーキング、床材): 約 10,000円
合計:約 180,000円 〜
これにプラスして、電動ドライバーや丸ノコなどの「工具代」、材料を運ぶ「レンタカー代」、廃材を捨てる「処分費」がかかります。 トータルで20万円〜25万円は見込んでおくべきです。

お金以外の「見えないコスト」#
20万円で防音室ができるなら、メーカー製(100万円)より断然安い!と思いますよね。 しかし、ここからがDIYの真の恐ろしさです。
1. 製作期間:休日のすべてが消える#
設計図を書き、買い出しに行き、カットし、組み立てる。 慣れている人でも土日フルに使って1ヶ月〜2ヶ月はかかります。その間の「自分の時給」を考えたことはありますか?
2. 性能保証:完成するまで分からない#
苦労して作り上げても、「思ったより音が漏れる…」となる可能性が高いです。特にドアの隙間処理はプロでも難しく、素人DIYではここから音がダダ漏れになります。 メーカー製のような「Dr-35保証」はありません。すべて自己責任です。
3. 解体・処分:捨てるときが地獄#
自作防音室は「巨大な粗大ゴミ」の集合体です。 もし引っ越しすることになったら、解体して軽トラ数台分の産業廃棄物として処分せねばならず、数万円〜10万円の処分費がかかることもあります。 中古市場で売れるメーカー製とは真逆の「負債」になるリスクがあります。
結論:自作は安さのためでなく「趣味」でやるもの#
「とにかく安く済ませたい」という動機でDIYを始めると、途中で挫折するか、中途半端な性能のゴミを作って終わる確率が高いです。
「作る工程そのものを楽しめる人」 「部屋の形状に合わせてミリ単位でカスタマイズしたい人」
こういう人にとって、自作防音室は最高のプロジェクトになります。 「安く済ませたい」だけなら、中古のユニット防音室を探してローンを組む方が、時間も性能も資産価値も確実です。
