「ピアノの練習をしたいけど、近所迷惑が怖い」 防音室を購入する理由のNo.1は、間違いなくピアノです。
しかし、ピアノは「世界で一番防音が難しい楽器の一つ」と言われています。 なぜなら、「音が大きい」上に「床を揺らす(振動)」からです。
この記事では、アップライトピアノとグランドピアノ、それぞれに必要な防音性能(D値)の基準を解説します。
ピアノの音量は「90dB〜100dB」#
まず敵を知りましょう。プロが本気で弾いたピアノの音量は、地下鉄のガード下や犬の遠吠えと同じくらいの騒音レベルです。 これを「静かな図書館(40dB)」レベルまで下げる必要があります。
つまり、**50dB〜60dB分のカット(防音)**が必要になります。
1. アップライトピアノの防音基準#
壁に背を向けて設置する縦型のピアノです。 音は背面(響板)から壁に向かって放出されるため、隣家への影響が大きくなります。
- 推奨D値: Dr-35 〜 Dr-40
- Dr-35の場合: 日中〜夜20時くらいまでの練習ならOK。
- Dr-40の場合: 深夜早朝でない限り、ほぼいつでも練習可能。
- 注意点: 背面から強い音が出るので、防音室の中でも「壁から10cm〜15cm離して」設置数のが鉄則です。
2. グランドピアノの防音基準#
床と平行に弦が張られ、上下に音が広がるピアノです。 音のエネルギーがアップライトよりも強大で、低音の響きも豊かです。
- 推奨D値: Dr-40 (必須)
- Dr-35では?: 不足します。フォルテッシモで弾くと音が漏れて聞こえます。
- Dr-40なら: 一般的な家庭での練習なら十分カバーできます。
- 注意点: サイズが大きいため、防音室自体も広さ(2.0畳以上)が必要です。部屋が狭いと音が飽和して耳が疲れます。
最大の盲点:「カタカタ音(個体伝搬音)」#
D値(壁の防音)ばかり気にしがちですが、ピアノ防音で最もクレームになりやすいのは「振動」です。
- 打鍵音: 鍵盤を叩く「ゴトゴト」という音。
- ペダル操作: 足で踏む「ドンドン」という音。
これらは空気ではなく、ピアノの足 → 床 → 建物の躯体を伝わって、階下や隣の部屋に響きます。これを「個体伝搬音」と呼びます。
対策は「浮き床」しかない#

普通のカーペットを敷いても振動は止まりません。 「防音室そのものが床から浮いている(浮き床構造)」タイプを選ぶことが絶対条件です。 ヤマハやカワイのユニット防音室は標準でこの構造になっていますが、自作や簡易防音室ではここが致命的な弱点になります。
まとめ#
- アップライト: Dr-35でOK、夜やるならDr-40。
- グランド: Dr-40一択。Dr-35だと不安。
- 共通: 「空気の音」だけでなく、「床への振動」を止める浮き床構造が必須。
ピアノは一生の趣味です。一度買えば長く使うものなので、妥協せずにDr-40を選んでおくのが、一番の「安心」になります。
