「やっと見つけた『楽器可』のマンション。これで毎日チェロが弾ける!」
そう思って入居した一週間後、管理会社から一本の電話が。 「階下の方から、重低音が響くと苦情が来ています」
実は、賃貸物件における「楽器可」において、チェロはピアノ以上に警戒すべき楽器 なのです。 今回は、その理由と物件選びのポイントを解説します。

「楽器可」=「何でも弾いていい」ではない現実#
規約の「種類」を確認せよ#
賃貸の募集図面に「楽器可(相談)」と書いてあっても、詳細な規約(細則)を見ると以下のような制限があることが一般的です。
- ピアノのみ可: アップライトピアノはOKだが、他の楽器は要相談。
- 管楽器不可: 音圧が高いサックスやトランペットはNG。
- 弦楽器の制限: バイオリンはOKだが、低音楽器(チェロ・コントラバス)はNGまたは時間制限あり。
なぜチェロは嫌われるのか?#
音量(dB)だけで言えば、チェロはグランドピアノよりも小さい楽器です。 しかし、マンション構造においてチェロは最悪の特性を持っています。
それは 「エンドピン」 です。
ピアノは4本の脚で重量を分散していますが、チェロは演奏時の振動エネルギーを、鋭利なエンドピン1点に集中させて床に突き刺します。 これは、電動ドリルで床を振動させているのと同じ ようなものです。 この「固体伝搬音」は、コンクリートを伝って階下だけでなく、斜め下の部屋にまで「ブーン」という不快な重低音として響きます。
チェロ奏者が賃貸選びで確認すべき3つのポイント#
では、どのような物件なら安心して弾けるのでしょうか?
- 「重低温・弦楽器可」の明記: 仲介業者を通じて、「チェロです」とはっきり伝え、過去にチェロ奏者の入居実績があるか確認しましょう。
- 1階または角部屋: 階下が地面である「1階」は、エンドピン振動のリスクが大幅に減ります。また、隣接住戸が少ない角部屋も有利です。
- 床の構造: 「防音フローリング(L-45など)」が入っているか、あるいはスラブ厚が十分(200mm以上)あるRC造を選びましょう。木造・軽量鉄骨は基本的にNGです。
入居後にトラブルにならないための「防衛策」#
運良く入居できたとしても、対策は必須です。
- 防振エンドピンストッパー: 床に直接刺すのは論外です。厚手の防振ゴムが付いたストッパーを使用してください。
- 浮き床(防振ステージ): ストッパーの下にさらに一枚、防振用のボードやマットを敷き、床との縁を切りましょう。
- 挨拶まわり: 入居時の挨拶で、「チェロを弾きます。もしうるさかったらすぐに仰ってください」と伝えておくことで、相手の許容度が大きく変わります。
まとめ:許可と対策の両輪で守る#
チェロは美しい音色の楽器ですが、日本の集合住宅においてその重低音は「凶器」になり得ます。
「楽器可だから大丈夫」と思い込まず、「チェロという特殊な振動源を持ち込む」 という意識を持って、物件選びと床対策を行ってください。 それが、あなたとご近所さんの平和な生活を守る唯一の方法です。
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