防音室を買ってから「思ってたのと違う…」なんて後悔したくないですよね。実は防音室選びって、用途や環境によって重視すべきポイントが全然違うんです。
この記事では、防音室を選ぶ前にチェックしておきたいポイントを用途別にまとめました。初めて防音室を検討している人も、この記事を読めば自分に合った選び方がわかります。
防音室の選び方|まず決めるべき3つのポイント#
防音室選びで失敗しないためには、カタログを見る前に決めておくべきことがあります。
1. 何のために使うのか明確にする#
「楽器の練習用」「配信用」「テレワーク用」など、使用目的によって必要な防音性能が大きく変わります。
楽器別の必要性能(D値)の目安
- 会話・歌声:D-40~50
- ピアノ:D-50~55
- 管楽器:D-50~55
- ドラム:D-65~70
- 配信・DTM:D-45~60
ドラムのように低音が出る楽器ほど、高い防音性能が必要になります。「とりあえず防音室があればいいや」という選び方だと、後から「音漏れする…」と後悔することも。
2. 設置場所の条件を確認する#
防音室を置く場所の「床の耐荷重」と「設置スペース」は必ずチェックしましょう。
確認すべきポイント
- カタログの「外寸」サイズ(防音室本体+組み立てスペース)
- 床の耐荷重(2畳で約500~1000kg)
- 搬入経路(階段・エレベーター・ドアの幅)
- 周囲に10~20cmの余裕スペース
賃貸物件の場合は、大家さんへの事前相談も忘れずに。無断で設置すると契約違反になる可能性があります。
3. 予算の上限を決める#
防音室の価格帯は幅広いので、最初に予算を決めておくと選択肢が絞りやすくなります。
予算別の選択肢
- 10~50万円:簡易防音ブース(だんぼっち等)
- 50~200万円:本格ユニット型防音室
- 200万円以上:高性能防音室・現場施工
初期費用だけでなく、設置費用(10~30万円)や換気設備、空調設備の費用も考慮に入れておきましょう。
用途別の防音室チェックリスト#
用途によって重視すべきポイントが違うので、自分の使い方に合わせてチェックしてください。
ピアノ・弦楽器の練習用#
必須チェック項目
- 遮音性能がD-50以上ある
- 楽器の搬入経路が確保できる(アップライトピアノは高さ注意)
- 湿度管理ができる(湿度40~60%を保てる換気・空調)
- 音響バランスが良い(吸音材の配置)
- 1.5~2畳以上のスペースがある
見落としがちなポイント
- グランドピアノの場合は天井高3m以上、床荷重対応が必要
- 調律のために定期的に扉を開ける必要があるので、搬入経路の確保は重要
ドラム練習用#
必須チェック項目
- 遮音性能がD-65以上(できればD-70)
- 振動対策が十分(防振マット・浮床構造)
- 低周波対策がされている
- 2.5畳以上の広さがある
- 換気能力が高い(運動量が多いため)
見落としがちなポイント
- ドラムは低音・振動が大きいので、ユニット型より現場施工の方が確実なケースも
- 床への振動伝達を防ぐため、集合住宅では1階への設置が理想的
配信・録音・VTuber用#
必須チェック項目
- 静寂性が高い(外部騒音が入りにくい)
- 音質重視の吸音材配置
- 電源コンセント・通信配線が十分
- 照明の明るさ・色調が調整可能
- エアコンの音が静か(または無音)
見落としがちなポイント
- 配信の場合、見た目も重要なので内装のカスタマイズ性をチェック
- 長時間の配信なら、換気能力と温度管理が快適性に直結
- 遮音性能はD-50~60あれば十分(音漏れより静寂性重視)
テレワーク・Web会議用#
必須チェック項目
- 会話が明瞭に聞こえる音響(過度な吸音は×)
- 快適な作業環境(適切な広さ・換気)
- Web会議の背景として見栄えが良い
- 設置・撤去が比較的簡単
- コスパが良い(D-40~50で十分)
見落としがちなポイント
- 簡易ブースタイプでも十分な場合が多い
- デスクワーク中心なので、椅子の高さと天井高のバランスに注意
失敗しないための確認ポイント#
実際に購入する前に、以下のポイントも必ずチェックしましょう。
設置前の確認事項#
物理的な制約
- 搬入経路の幅・高さ(階段、エレベーター、玄関ドア)
- 設置場所の床の水平・強度
- 周辺の家具配置・生活動線への影響
- 賃貸の場合、大家さんの書面許可
環境面の確認
- 近隣住民の生活パターン(音を出せる時間帯)
- 住環境に応じた防音性能の選択(戸建て・マンション・住宅密集地)
- エアコン・換気設備の設置可否
契約前の確認事項#
性能保証
- 防音性能の保証内容(数値保証があるか)
- 施工品質の保証(施工不良時の対応)
- アフターサービスの内容
費用の内訳
- 本体価格に含まれるもの
- 別途必要な費用(設置費、換気設備、オプション)
- 撤去費用(将来的に引っ越す場合)
実物確認
- ショールームで実際の音漏れを確認
- 内部の広さ・使い勝手を体感
- 換気運転時の騒音レベル
予算別おすすめの選択肢#
予算に応じた現実的な選択肢をまとめました。
予算10~50万円:簡易防音ブース#
代表的な製品
- だんぼっち(6~15万円)
- Okudake DESK(12万円)
- 海外製簡易ブース(8~30万円)
向いている用途
- 配信・通話
- テレワーク
- 軽い歌の練習
注意点
- 本格的な楽器練習には不向き
- 遮音性能は限定的(近隣への配慮は必要)
予算50~200万円:本格ユニット型#
代表的な製品
- ヤマハ セフィーネNS(110~180万円)
- カワイ ナサール(98~150万円)
- ナガワ SOUND ROOM(80~120万円)
向いている用途
- ピアノ・弦楽器・管楽器の練習
- 本格的な配信・録音
- 音楽教室
注意点
- 設置費用が別途10~30万円
- 搬入経路の確保が必要
予算200万円以上:高性能・カスタム仕様#
選択肢
- 大型ユニット型(200~500万円)
- 現場施工型(300万円~)
- 完全カスタム(応相談)
向いている用途
- ドラム練習
- プロの録音スタジオ
- グランドピアノ対応
- 特殊な用途
注意点
- 専門業者との詳細な打ち合わせが必要
- 施工期間が1~3ヶ月程度
よくある失敗パターンと対策#
実際にあった失敗例から学びましょう。
失敗1:思ったより音が漏れた#
原因
- 必要な防音性能を過小評価していた
- 住環境(マンション・密集地)を考慮していなかった
対策
- 用途に応じたD値を事前に確認
- ショールームで実際の防音性能を確認
- 専門家による現地調査を依頼
失敗2:部屋に入らない・搬入できない#
原因
- 外寸サイズの確認不足
- 搬入経路(階段・ドアの幅)を考慮していなかった
対策
- カタログの「外寸」「必要設置寸法」を必ず確認
- 搬入経路の寸法を事前測定
- 設置業者に現地確認を依頼
失敗3:暑くて使えない#
原因
- 換気設備・空調設備の検討不足
- 夏場の温度上昇を想定していなかった
対策
- 換気設備は必須オプションとして予算に組み込む
- エアコン設置またはダクト配管を検討
- 使用前後の換気習慣をつける
まとめ:自分に合った防音室を選ぼう#
防音室選びで大切なのは、用途・環境・予算のバランスです。
選び方の基本ステップ
- 用途を明確にする(必要な防音性能を把握)
- 設置場所の条件を確認する(サイズ・耐荷重・搬入経路)
- 予算を決める(本体+設置+オプション)
- ショールームで実物確認
- 専門業者に相談・見積もり
焦って決めずに、しっかり情報収集してから選べば、失敗のリスクは大きく減らせます。特に高額な買い物なので、ショールームでの実物確認と専門家への相談は必ずしておきましょう。
あなたにぴったりの防音室が見つかって、思う存分音楽や創作活動を楽しめますように!