配信用のマイクを選ぶとき、「ダイナミック」と「コンデンサー」どっちがいいか迷いますよね。
実は、あなたの防音環境によって最適なマイクは変わります。高級なコンデンサーマイクを買っても、防音が不十分だと逆に音質が悪くなることもあるんです。
今回は、防音レベル別のマイク選びと、それぞれのメリット・デメリットを徹底解説します。
ダイナミックとコンデンサーの基本的な違い#
ダイナミックマイクとは#
仕組み:物理的な振動で音を拾う
- 頑丈で壊れにくい
- 感度が低め=近い音だけを拾う
- 電源不要(XLR接続時)
- ライブやカラオケで使われるタイプ
代表的なモデル
- SHURE SM58(定番・1万円台)
- SHURE SM7B(配信者に人気・5万円前後)
- Audio-Technica AT2040(コスパ良・1.5万円)
コンデンサーマイクとは#
仕組み:電気的に音を増幅して拾う
- 繊細で高音質
- 感度が高い=遠くの音も拾う
- 電源が必要(ファンタム電源)
- レコーディングスタジオで使われるタイプ
代表的なモデル
- Audio-Technica AT2020(入門・1万円)
- Blue Yeti(USB・配信人気・1.5万円)
- RODE NT1-A(本格派・2.5万円)
防音環境別のマイク選び#
ここが最も重要なポイントです。
【防音なし・簡易防音】ダイナミック一択#
環境の特徴
- 一般的な部屋、防音対策なし
- 簡易防音ブース(だんぼっち等)
- 生活音が普通に聞こえる環境
なぜダイナミックが良いのか
コンデンサーマイクは感度が高すぎて、こんな問題が起きます:
- キーボードのタイプ音が盛大に入る
- マウスクリック音が響く
- 冷蔵庫やエアコンの音を拾う
- 外の車や工事の音まで入る
ダイナミックマイクなら
- 口元に近づけた音だけを拾う
- 背景ノイズを大幅カット
- 多少うるさい環境でもクリアな音質
おすすめマイク
- 予算1.5万円:Audio-Technica AT2040
- 予算3万円:SHURE SM7B(定番中の定番)
- USB接続なら:Samson Q2U(1万円・初心者向け)
【中程度の防音】用途で使い分け#
環境の特徴
- 防音室(D-40〜50程度)
- 防音賃貸の簡易防音室
- 夜間は気を遣うレベル
トーク・ゲーム実況→ダイナミック
理由:
- PCファンやキーボード音がまだ気になる
- マウスクリックが多いゲーム実況には必須
- 声だけをしっかり拾いたい
歌配信・ASMR→コンデンサー
理由:
- 声の繊細なニュアンスを表現したい
- 息遣いや音の質感が重要
- 静かな環境を前提にした配信
【本格防音】コンデンサーの真価を発揮#
環境の特徴
- 防音室(D-50〜60以上)
- 防音賃貸の本格防音仕様
- 環境音がほぼゼロの状態
コンデンサーマイクのメリットが活きる
- 声の質感が圧倒的に良くなる
- 小さな声のニュアンスも拾える
- プロレベルの音質を実現
注意点
- 防音室内の反響(エコー)対策が必要
- 吸音パネルとセットで使うこと
- マイクと壁の距離を適切に取る
おすすめマイク
- 予算2.5万円:RODE NT1-A(超低ノイズ)
- 予算4万円:AKG C214(バランス型)
- USB接続なら:Blue Yeti X(2.5万円・高機能)
マイクの指向性も重要#
マイクの種類だけでなく、「指向性」も防音と大きく関係します。
単一指向性(カーディオイド)#
特徴
- 正面の音だけを拾う
- 背面と側面の音を拾いにくい
メリット
- 背景ノイズが入りにくい
- キーボード・マウスを背面に配置すれば軽減
- ほとんどの配信に最適
推奨環境:防音なし〜中程度の防音
全指向性(オムニ)#
特徴
- 360度すべての音を拾う
メリット
- 自然な音質
- マイクの向きを気にしなくていい
デメリット
- 環境音も全部拾う
- 防音環境がないと使えない
推奨環境:本格防音室のみ
双指向性(フィギュア8)#
特徴
- 正面と背面の音を拾う
- 左右の音は拾わない
用途
- 対談・複数人配信
- 向かい合って座る形式
推奨環境:中程度〜本格防音
マイクの距離と防音の関係#
近距離収音(5〜15cm)#
特徴
- ダイナミックマイクの基本スタイル
- 口元にマイクを近づける
メリット
- 声が大きく明瞭に録れる
- 環境音の影響を最小限に
- 防音が不十分でも使える
デメリット
- 「ボフッ」というリップノイズ
- ポップガードが必須
- 見た目が配信画面に入る
中距離収音(20〜40cm)#
特徴
- コンデンサーマイクの理想的な距離
- 顔の前、デスク上に設置
メリット
- 自然な声の質感
- 顔がはっきり見える(カメラ配信)
- 適度な距離感
デメリット
- ある程度の防音環境が必要
- キーボード音が入りやすい
推奨環境:D-45以上の防音
遠距離収音(50cm以上)#
特徴
- 高感度コンデンサーで可能
- ほぼ見えない位置に設置
メリット
- 画面に映らない
- 動きの自由度が高い
デメリット
- 本格的な防音室が必須
- 環境音を完全に遮断する必要
推奨環境:D-55以上の防音
予算・環境別のおすすめセット#
【予算2万円・防音なし】#
マイク本体
- Audio-Technica AT2040:15,000円
周辺機器
- オーディオインターフェース:5,000円
- マイクスタンド:3,000円
- ポップガード:1,000円
合計:24,000円
【予算5万円・簡易防音】#
マイク本体
- SHURE SM7B:50,000円
周辺機器
- オーディオインターフェース:15,000円
- マイクアーム:8,000円
- ポップガード:2,000円
合計:75,000円
※SM7Bは音量が小さいのでゲインが高いインターフェースが必要
【予算10万円・本格防音】#
マイク本体
- RODE NT1-A:25,000円
周辺機器
- 高品質オーディオIF:40,000円
- プロ用マイクスタンド:15,000円
- ショックマウント付属
- ポップガード:3,000円
- 吸音パネルセット:15,000円
合計:98,000円
マイクだけでは解決しない問題#
防音室の反響対策は必須#
高級コンデンサーマイクを買っても、部屋の音響が悪いと:
- エコー(反響)が酷い
- こもった音質になる
- せっかくの高音質が台無し
必ず吸音対策とセットで考える
- 吸音パネルを壁に貼る
- カーペット・カーテンで反響を抑える
- 家具や本棚で音を整える
ノイズゲートは必須#
どんなマイクでも、ノイズゲート設定は重要です。
設定のコツ
- OBSやDiscordのノイズゲート機能
- しきい値を調整して環境音をカット
- ただし切りすぎると声が途切れる
おすすめツール
- RTX Voice(NVIDIA GPU)
- Krisp(有料だが高性能)
- OBS標準フィルター(無料)
よくある質問#
Q. USBマイクとXLRマイク、どっちがいい?
A. 初心者ならUSBが手軽です。XLRは音質が良く拡張性もありますが、オーディオインターフェースが必要で費用がかかります。
Q. 配信者に人気のBlue Yetiは?
A. 高感度なので、防音環境がないとキーボード音を盛大に拾います。静かな環境で歌配信やASMRをするなら優秀です。
Q. ダイナミックは音質が悪い?
A. そんなことはありません。SM7Bなど配信者に人気のモデルは、適切な環境なら非常に高音質です。むしろ防音なし環境では、ダイナミックの方がクリアに聞こえます。
まとめ:環境に合ったマイクを選ぼう#
マイク選びの鉄則をおさらいします。
選び方の基本
- まず自分の防音環境を把握する
- 環境に合ったマイクタイプを選ぶ
- 指向性と距離を考慮する
- 吸音対策とセットで考える
環境別まとめ
- 防音なし:ダイナミック一択
- 簡易〜中程度の防音:用途でダイナミックorコンデンサー
- 本格防音:コンデンサーで高音質を追求
「高いマイク=良い音」ではなく、「環境に合ったマイク=良い音」です。
まずは自分の部屋の防音レベルを確認してから、最適なマイクを選んでくださいね!