押入れを防音室にDIYできるか、悩んでいませんか?
夜に録音すると「虫・風・車の音」が入る、ASMR録音でリスナーに環境音を指摘された、賃貸だから本格防音は無理でも何とかしたい…。部屋にスペースがない中で、「押入れで録音できる?」という発想は自然なものです。
結論からお伝えすると、押入れを完全な防音室にするのは現実的ではありませんが、ASMR録音に特化した「吸音ブース」として活用するなら、最もコスパの良い選択肢の一つです。
この記事では、押入れを防音室にDIYする可能性と注意点、具体的な作り方、本格防音室との違い、よりスマートな選択肢まで、実践的な情報を詳しく解説します。
押入れを録音ブースにしたい人が増えている背景#
押入れを録音ブースとして活用したいというニーズが高まっている背景には、いくつかの理由があります。
現代住宅でも押入れは一定数残っている#
押入れは、古民家リノベーションや和室のある家では普通に存在する収納形式です。また、ワンルームから地方の賃貸物件まで、まだまだ多くの住宅で見られる収納形式でもあります。
特に一人暮らしの賃貸物件では、押入れは「使っていないスペース」として放置されていることが多く、これを有効活用したいという発想が生まれやすいのです。
小型ブースとして押入れは理にかなっている#
押入れを録音ブースとして使うことには、実は理にかなった側面があります。
狭い空間は録音で有利
狭い空間は、音の反響が減るため、録音環境としては有利に働きます。特にASMR録音のような「微細な音を拾う」用途では、室内の反響を抑えることが重要です。
視線が遮られるため集中しやすい
押入れの中に入ることで、視覚的な刺激が遮られ、録音に集中しやすい環境を作ることができます。これは、配信や録音作業において重要な要素です。
低コストで「個室感」が作れる
押入れは既存の構造を活用できるため、新たに防音室を購入する(80万円以上)よりも、はるかに低コストで「個室感」のある録音スペースを作ることができます。
押入れDIY防音室の現実(知っておくべき課題)#
押入れを防音室として使うことには、いくつかの現実的な課題があります。これらを理解した上で、適切な用途を選ぶことが重要です。
押入れは防音向きではない理由#
押入れを完全な防音室にするには、以下のような構造的な課題があります。
2段構造で壁・床が薄く音が抜けやすい
押入れは一般的に2段構造になっており、壁や床が薄い構造です。このため、音が抜けやすく、完全な遮音を実現するのは困難です。特に低音域の遮音は、構造的な制約から難しいのが現実です。
換気がほぼゼロ → 熱がこもる
押入れは換気口がほとんどないため、密閉空間として使うと熱がこもりやすくなります。長時間の録音作業では、息苦しさや機材の故障リスクが高まります。
遮音材(石膏ボード等)を入れると重量が過剰
本格的な遮音を実現しようとすると、石膏ボードや遮音シートなどの重い材料が必要になります。しかし、押入れの構造はそれほど重い荷重に耐えられるようには設計されていないため、構造的な負荷が大きくなりすぎるリスクがあります。
ただし「ASMR録音」なら最もコスパよく使える#
押入れを完全な防音室にするのは難しいものの、ASMR録音に特化した用途であれば、最もコスパの良い選択肢の一つです。
囁き声は「遮音より吸音」でクオリティが上がる
ASMR録音では、外からの音を完全に遮断するよりも、室内の反響を抑える「吸音」の方が重要です。囁き声のような微細な音を録音する場合、室内の反響が音質を大きく左右するため、狭い空間で吸音処理を施すことで、十分なクオリティを実現できます。
外音より"室内反響"の方が大敵
ASMR録音において、外からの環境音よりも、室内の反響音の方が音質に与える影響が大きい場合があります。押入れのような狭い空間は、反響を抑えやすいという利点があります。
遮音を極めるより「ノイズを拾わない空気を作る」方が実用的
完全な遮音を実現するよりも、録音環境内のノイズを最小限に抑える「空気を作る」ことの方が、ASMR録音では実用的です。押入れを吸音処理することで、この「ノイズを拾わない空気」を作ることができます。
具体的な作り方|押入れをASMR向けミニ録音室にする手順#
押入れをASMR録音に特化したミニ録音室にする具体的な手順を解説します。ここでは、遮音ではなく「吸音主体」で安全・リーズナブルに実現する方法を紹介します。
① 空間を必ず「一つの箱」として使う#
押入れを録音ブースとして使う際は、上段・下段の区切りは撤去せず、空間を一つの箱として使うことが重要です。
無理に解体せず、「中に吸音空間をつくる」だけで十分です。押入れの構造を壊すと、賃貸物件では原状回復の問題が発生する可能性があるため、既存の構造を活かすことが安全で実用的です。
② 壁・天井・扉の"反射面"を吸音パネルで覆う#
押入れ内の反射面を吸音パネルで覆うことで、室内反響を大幅に減らすことができます。
おすすめ構成
- 吸音材(厚さ3〜5cm)を壁面に貼る:押入れの壁面全体に吸音材を貼ることで、音の反射を抑えます。市販の吸音パネルやウレタンスポンジを使用します。
- フェルト or 防音カーテンで扉裏を覆う:押入れの扉の内側にフェルトや防音カーテンを貼ることで、扉からの音の反射を抑えます。
- 床はラグ or EVAマットで反射を抑える:床面にラグやEVAマットを敷くことで、床からの音の反射を抑えます。
この構成により、室内反響は8〜9割減らすことができ、囁き声や近接マイクでの録音には十分な音質を実現できます。
③ 低予算派のミニマル構成#
予算を抑えたい場合のミニマル構成は以下の通りです。
- 100均フェルト × 数枚:押入れの壁面に貼る基本的な吸音材として使用
- 市販吸音パネル × 6〜12枚:より効果的な吸音処理のために使用
- USBファン(熱対策):換気対策として使用
この構成で、合計9,000〜15,000円程度で押入れをASMR録音用のミニ録音室にすることができます。
④ マイク位置で音質が劇的に変わる#
押入れ内でのマイク位置は、音質に大きな影響を与えます。
バイノーラル/コンデンサーマイクは"顔と壁を近づけすぎない"
壁に近づきすぎると、壁からの反射音がマイクに入りやすくなります。マイクは壁から20〜30cm離すことを推奨します。
口から10〜15cmの距離で囁き専用ポジションを作る
ASMR録音では、口からマイクまでの距離が重要です。10〜15cm程度の距離で、囁き専用のポジションを作ることで、最適な音質を実現できます。
押入れを本格防音室にしようとすると危険がある#
押入れを完全な防音室にしようとすると、構造的な問題や安全性の問題が発生する可能性があります。
重量問題(遮音材は重い)#
本格的な遮音を実現しようとすると、石膏ボード、遮音シート、二重壁などの重い材料が必要になります。しかし、押入れの構造はそれほど重い荷重に耐えられるようには設計されていないため、構造的な負荷が大きくなりすぎるリスクがあります。
特に賃貸物件の場合、構造を損傷させると原状回復の費用が高額になる可能性があります。
換気問題#
押入れを完全に密閉して遮音を実現しようとすると、換気の問題が発生します。
密閉空間で数分で息苦しくなる
押入れは元々換気口がほとんどないため、完全に密閉すると数分で息苦しくなります。長時間の録音作業には適していません。
熱のこもりはASMR機材の故障原因にも
換気がないと、機材から発生する熱がこもり、ASMR録音に使用するマイクやオーディオインターフェースなどの機材の故障リスクが高まります。
👉 結論:押入れは"防音室"ではなく"吸音ブース"として使うのが最適。ASMRはその条件と最も相性が良い。
押入れDIY以外のもっとスマートな選択肢#
押入れを改造する以外にも、よりスマートな選択肢があります。初心者におすすめ順に紹介します。
選択肢①:押入れの前に「簡易吸音ブース」を置く#
押入れを改造するよりも、押入れの前に簡易吸音ブースを置く方が、換気と安全性の面で優れています。
だんぼっち
ヤマハの「だんぼっち」は、6〜15万円程度で購入できる簡易防音ブースです。組み立て式で、押入れ改造よりも換気と安全性が格段に優れています。
組み立て式吸音ブース(1〜3万円)
海外製の組み立て式吸音ブースも、1〜3万円程度で購入できます。押入れ改造より換気と安全性が優れているため、初心者にはおすすめです。
選択肢②:押入れを「機材収納」にして部屋側を吸音処理#
押入れを改造するのではなく、押入れを「機材収納」として活用し、部屋側の壁だけを吸音処理する方法もあります。
よく使う方法
- 押入れは"防音素材の収納庫"にする:押入れ内に防音素材を収納しておき、必要に応じて取り出して使用
- デスク周辺の壁だけを吸音処理:録音を行うデスク周辺の壁だけに吸音パネルを貼る
この方法なら、固定費が少なく、撤去も簡単です。賃貸物件でも実現しやすい方法です。
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選択肢③:部屋の一角に"吸音カーテン Booth"を作る#
部屋の一角にワイヤーと防音カーテンを使って、簡易的な録音ブースを作る方法もあります。
ワイヤー+防音カーテン
天井からワイヤーを張り、防音カーテンを吊るすことで、囲うだけで十分な録音スペースを作ることができます。押入れ改造よりも換気が良く、撤去も簡単です。
まとめ:押入れは「ASMR特化ブース」にすると一番うまくいく#
押入れを防音室にDIYする可能性と注意点、具体的な作り方、よりスマートな選択肢まで解説してきました。
押入れをASMR録音に特化したブースとして使うなら、最もコスパの良い選択肢の一つです。完全防音は現実的ではありませんが、吸音空間としては優秀で、狭さがASMR録音のクオリティに直結します。
必要なのは遮音ではなく「反響を消すこと」であり、小規模・短時間の録音なら最も低コストで成立します。
押入れを改造する場合は、構造を壊さず、吸音処理を中心に行うことが重要です。また、押入れ改造以外にも、簡易吸音ブースや部屋側の吸音処理など、よりスマートな選択肢も検討してみてください。
あなたの録音環境に最適な方法を見つけて、質の高いASMRコンテンツを作成していきましょう。
