「郊外の安い古民家を買って、気兼ねなく叫べる配信スタジオにしたい!」 そんな夢を持つストリーマーや配信者の方が増えています。
確かに古民家は広くて安いですが、配信環境として使うには致命的な弱点があります。それは**「隙間が多くて音が漏れる」「床が重さに耐えられない」**ということです。
この記事では、古民家リノベーションで配信部屋を作るための費用と、絶対に気をつけるべき注意点を、2つのパターンで試算・解説します。
パターン別・費用シミュレーション#
配信活動(ゲーム実況、雑談、歌枠など)を行う場合、深夜の叫び声や機材の音を考慮し、Dr-35〜Dr-40(ピアノや大声が聞こえなくなるレベル)以上の性能が必要です。
プランA:【部分対策】ユニット型防音室を置く(コックピット化)#
広い土間や部屋の一部に、組み立て式の防音室(YAMAHAアビテックスなど)を「ポン」と置く方法です。 最も確実で、コストも抑えられます。
- 防音室本体(新品・2.0畳〜2.5畳想定): 約120万〜200万円
- 0.8畳(約70万円〜)では配信機材とデスクを置くには狭すぎます。配信環境としては最低でも1.5畳、できれば2.0畳以上が推奨されます。
- エアコン設置費: 約10万〜20万円
- 防音室内は密閉されるため、専用エアコンが必須です。
- 床の補強工事: 約10万〜30万円
- ここが重要です!防音室は数百キロの重量があるため、古民家の老朽化した床では抜ける危険があります。根太(ねだ)の補強工事が必須です。
👉 合計見込み:約140万〜250万円
プランB:【本格改装】部屋ごと防音リフォームする(スタジオ化)#
6畳などの和室を洋室化し、部屋全体を防音構造(ルーム・イン・ルーム)にする方法です。 広々と使えますが、費用は跳ね上がります。
- 防音工事費(6畳・Dr-40想定): 約250万〜400万円
- プロ仕様の施工(浮き床構造や防振壁など)を行う場合です。
- 内窓・サッシ交換: 約10万〜30万円(1箇所)
- 古民家の窓は隙間風が入るレベルで気密性が低いため、内窓(二重窓)の設置が不可欠です。ここは補助金で抑えられます。
- 電気・ネット配線工事: 約20万〜50万円
- 配信には高速回線(CAT6A以上)と、PC・照明・空調を支える電気容量(アンペア変更)が必要です。
👉 合計見込み:約300万〜500万円

古民家リノベ特有の「3つの落とし穴」#
予算さえあれば解決する…と思いきや、古民家ならではの物理的な課題があります。
1. 「隙間」と気密性の問題#
古民家は「通気性」を重視して作られています。つまり音漏れ放題です。
防音室を置いても、その外側の母屋自体の遮音性がゼロに近いため、深夜に大声を出すと意外と外まで聞こえてしまうことがあります。 少なくとも「雨戸を閉める」「窓を二重にする」などの対策はセットで必要です。
2. 床の耐荷重と振動対策#
木造住宅、特に古い建物は、一点に数百キロの重さがかかることを想定していません。 無補強で防音室を置くと、徐々に床が沈み、家全体が傾く原因になります。 また、「ドンドン」という足音や振動(固体伝搬音)が柱を伝って響きやすいため、防振ゴムなどで浮き床にする対策も重要です。
3. 換気と空調(酸欠・熱の恐怖)#
防音室は「巨大な密閉箱」です。 古民家自体は涼しくても、防音室の中はPCの排熱と人の熱気でサウナ状態になります。 1畳程度の防音室で換気を忘れると、数時間で酸欠のリスクもあります。 必ず「防音室専用の換気扇(ロスナイなど)」と「エアコン」を稼働させてください。
使える補助金をフル活用しよう#
少しでも費用を抑えるために、以下の制度は必ずチェックしてください。
- 先進的窓リノベ事業(環境省)
- 古民家の窓を「内窓設置」で二重にする際、工事費の約50%が補助されます。防音・断熱の両方で効果絶大です。
- 小規模事業者持続化補助金
- もしあなたが配信を「事業(個人事業主)」として行っているなら、スタジオ整備費として最大50万〜200万円の補助を受けられる可能性があります。
結論:まずは「床」と「窓」から#
いきなり部屋ごとリフォームするのはリスクが高いです。 おすすめは、「プランA(ユニット防音室)」をベースにしつつ、その部屋の「床補強」と「窓の二重化」を行うハイブリッド方式です。
これなら総額200万円前後で、近隣を気にせず叫べる「自分だけの配信基地」が手に入ります。 まずは、地元の工務店に「床の強度」を見てもらうことから始めてみてはいかがでしょうか?
