住宅リフォーム市場で、内窓・二重窓の注目度が再び高まっています。とくに外部騒音の低減と断熱性能の同時向上という「二重価値化」が評価され、2025年の国内出荷本数は前年比112%(日本サッシ協会・月次統計)と堅調に推移しています。
本レポートでは、防音リフォーム文脈での内窓・二重窓の市場トレンド、主要プレーヤーの製品動向、補助金制度の活用方法、導入効果をまとめてお届けします。
内窓・二重窓市場の最新動向#
導入率と需要セグメント#
- 国土交通省「住宅リフォーム実態調査2024」によると、首都圏マンションでの内窓設置率は22.4%。うち**防音目的の導入が46%**を占め、断熱(38%)、防犯(11%)を上回りました。
- 2025年上半期の販売構成を見ると、**遮音等級T-2以上の高遮音モデルが全体の31%**を占め、2023年比+9ポイント。テレワーク普及で、交通騒音・近隣騒音対策のニーズが顕在化しています。
- 住宅リフォーム市場全体では「省エネ×防音」の複合リフォームが伸びており、二重窓は断熱改修パッケージの中核商材として位置づけられています。
住宅省エネ基準改正の影響#
2025年4月施行の改正建築基準法で、既存住宅の省エネ性能表示が強化されます。省エネ評価項目に「開口部性能」が組み込まれたことで、内窓の導入は資産価値評価の加点対象になりました。
- 国交省試算:内窓を全窓に設置した場合、一次エネルギー消費量は平均8〜12%削減。
- 東京都環境局「静穏化住宅モデル2024」:主要道路沿いマンションで室内騒音を平均12dB低減(窓閉鎖時)。
防音+断熱の二重価値化#
二重窓を導入する家庭は、以下の2軸で導入価値を評価しています。
| 価値軸 | 期待効果 | 主要KPI |
|---|---|---|
| 防音価値 | 交通騒音・生活騒音の低減 | 室内騒音レベル(dB)、遮音等級T-2/T-3 |
| 断熱価値 | 冷暖房費削減・結露防止 | 年間電気料金、室内表面温度、UA値改善 |
二重価値の訴求ポイント#
- 遮音性能:二重窓構造と気密性により、特定周波数帯で10〜15dBの抑制。新幹線・高速道路沿いで体感差が出やすい。
- 省エネ性能:Low-E複層ガラスを組み合わせると、熱貫流率は2.33→1.7W/㎡Kまで改善(YKK AP試験値)。
- 結露対策:窓際温度が上がることで結露発生頻度が半減し、カビ・ダニ抑制にも寄与。
主要メーカー動向:高遮音モデル比較#
2025年現在、YKK APとLIXILが高遮音モデルで市場をリードしています。代表製品のスペックを比較しました。
| メーカー | 製品名 | 遮音性能 | 断熱性能 | 価格帯(1.8m×1.8m想定) | 特徴 |
|---|---|---|---|---|---|
| YKK AP | プラマードU ハイグレード遮音 | T-3(35等級) | Low-E複層ガラス U値1.7 | 17〜20万円 | 内側開閉で施工が容易。マンション共用部工事不要。 |
| LIXIL | インプラス for Renovation Silence | T-2(30等級) | アルゴンガス入り複層ガラス | 16〜19万円 | 樹脂フレームで気密性確保。防音・断熱のバランス設計。 |
| 三協アルミ | プラメイクEⅡ | T-2 | 一般複層ガラス | 14〜17万円 | 短納期対応。地方工務店ネットワークを強化。 |
製品トレンド#
- YKK APは2025年7月から、標準オプションとしてアコースティックスペーサーを導入。低周波域(250Hz以下)の遮音性能を2dB向上。
- LIXILは、音響設計コンサルティングサービスを住宅会社向けに提供し、防音リフォーム商品の体験型ショールームを拡充中。
価格と補助金情報#
住宅省エネ2025支援策(こどもエコすまい次世代)#
- 交付額:内窓設置 2.2万円/箇所(防音+断熱仕様)。最大20箇所まで申請可能。
- 要件:既存住宅、複層ガラス仕様、施工業者登録。
- 申請期間:2025年4月〜予算上限到達まで(先着順)。
地方自治体の補助例#
- 東京都:静穏化住宅整備事業で、道路交通騒音対策として上限60万円を補助。
- 神奈川県川崎市:防音改修助成で、窓改修費の1/3(上限30万円)を支援。テレワーク対応住宅の需要増に合わせて予算倍増。
施工コスト目安#
- 70㎡の分譲マンション(窓8箇所)での標準施工費用は約120〜150万円。補助金を活用すると実質負担は90万円前後。
- 標準工期は**1日(約6時間)**で完了。住みながら施工可能な点が支持されています。
都市部マンションでの導入効果事例#
事例1:東急田園都市線沿い(川崎市・築15年)#
- Before:LDKの室内騒音 48dB(窓際)、冬季の窓際体感温度16℃。
- After:室内騒音 35dBまで低下。暖房設定温度を1℃下げても体感温度が維持され、年間電気料金は約1.8万円削減。
事例2:都内音楽大学近隣(練馬区・築20年)#
- ピアノ練習時の外部音漏れが気になっていた世帯。内窓+吸音カーテンを導入し、外部騒音レベルは10dB低減。
- 近隣からの苦情がゼロになり、防音室を増設せずに済んだことで投資回収期間は約4.2年と試算。
今後の市場展望と課題#
成長予測#
- 富士経済「建材市場2025」によると、内窓市場規模は2024年の1,250億円から2027年に1,580億円へ拡大。年平均成長率7.8%。
- テレワーク定着や騒音規制の強化で、防音ニーズは継続的に伸びる見通し。特に遮音等級T-3以上のプレミアムモデルが市場の25%を占めると予測されています。
課題と対応策#
課題1:施工人材の不足
解決策:メーカー主導の施工研修。YKK APは2025年からオンライン講習を拡充し、地域工務店の施工支援を強化。課題2:マンション管理規約の制約
解決策:共用部工事を伴わない内窓工法を周知。管理組合向け説明資料の提供が進んでいます。課題3:低周波音対策の限界
解決策:インナーサッシ+壁面吸音材の複合提案。住宅音響診断サービスとセットで販売するケースが増加。
まとめ:防音リフォームは住宅価値を上げる投資に#
内窓・二重窓の導入は、防音性能の向上だけでなく、省エネ・快適性・資産価値向上を同時に実現する、いま最も投資対効果の高いリフォームです。
- 騒音トラブルが増える都市部で、遮音等級T-2/T-3の需要が拡大。
- 住宅省エネ補助金の継続で、費用負担を抑えながら導入できる環境が整備。
- 主要メーカーは遮音強化モデルとサービス連携で差別化を図り、施工サポートも充実。
静かな住環境を求める家庭、テレワークで集中したいビジネスパーソン、音楽練習を安心して続けたい方にとって、内窓リフォームは「住宅価値を高める防音投資」として今後も注目が続きます。
