ゲーム実況をやっていると、「キーボードやマウスのカチカチ音がうるさい」「ホラゲーで叫んだら苦情が来た」なんて経験、ありませんか?
この記事では、ゲーム実況特有の音の問題と、その対策方法をまとめました。部屋全体の防音から、キーボード音の対策まで、実践的な方法を紹介していきます。
ゲーム実況の「音」問題を整理しよう#
まず、ゲーム実況でどんな音が問題になるのか整理しましょう。
ゲーム実況の3大ノイズ#
①声の音(最重要)
- 実況トーク
- リアクション
- 叫び声(ホラゲー、熱狂系)
- 歌(音ゲー実況など)
②操作音(意外と響く)
- キーボードのタイピング音
- マウスのクリック音
- コントローラーのボタン音
- マウスパッドとの摩擦音
③機材音(配信に乗りやすい)
- PCのファン音
- 冷却ファン
- ゲーミングチェアのきしみ音
- 机や床の振動音
これらの音を、それぞれ適切に対策していく必要があります。
ゲームジャンル別の防音レベル#
ゲームのジャンルによって、必要な防音レベルは変わります。
ジャンル | 声量 | 必要D値 | 特徴 |
---|---|---|---|
ホラーゲーム | 大〜特大 | D-55〜65 | 突然の叫び声 |
FPS/バトロワ | 中〜大 | D-50〜60 | 熱中すると大声に |
格闘ゲーム | 中〜大 | D-50〜60 | 連打音も響く |
RPG | 小〜中 | D-45〜50 | 比較的穏やか |
音ゲー | 小〜大 | D-45〜55 | 歌う場合は高め |
パズル・カード | 小〜中 | D-40〜50 | 落ち着いた実況 |
雑談配信 | 小〜中 | D-40〜50 | 声のみの対策 |
あなたがよくプレイするジャンルに合わせて、対策レベルを決めましょう。
部屋全体の防音対策:3つのレベル#
まずは部屋全体の防音から考えていきます。
レベル1:お手軽対策(予算3〜10万円)#
向いている人
- ホラゲーはやらない
- 深夜配信はしない
- まずは簡単な対策から試したい
対策アイテム
防音カーテン(5,000〜20,000円)
- 窓からの音漏れ防止
- 厚手で重いタイプを選ぶ
- 床まで届く長さがベスト
防音マット・カーペット(10,000〜30,000円)
- 椅子の振動を吸収
- 足音の階下への伝達防止
- 厚さ10mm以上推奨
吸音パネル(10,000〜30,000円)
- 壁に貼るタイプ
- 部屋の反響を抑える
- 正面と背面に優先配置
ドア隙間テープ(1,000〜3,000円)
- ドアの隙間を埋める
- 簡単に貼れる
- 遮音効果は限定的だが手軽
メリット
- 低予算で始められる
- 賃貸でもOK
- 自分で設置できる
- 効果を体感しやすい
デメリット
- 防音効果は限定的
- 大声には対応しきれない
- 見た目が気になる場合も
期待できる効果
- キーボード音:10〜20dB軽減
- 普通の声:5〜15dB軽減
- 叫び声:効果薄い
レベル2:本格対策(予算10〜50万円)#
向いている人
- 定期的に配信している
- 時々ホラゲーもやる
- 夜間配信もしたい
対策方法
簡易防音ブース(6〜30万円)
- だんぼっち:6〜15万円
- 海外製ブース:8〜30万円
- Okudake DESK:12万円
防音カーテン強化版(30,000〜50,000円)
- 特殊素材の高性能タイプ
- 遮音等級の高いもの
床・壁の本格防音(50,000〜200,000円)
- 遮音シート複数枚重ね
- 防音マット厚手タイプ
- 専門業者による部分施工
追加設備
- 吸音パネル全面配置
- 防音ドア設置
- 換気扇の防音化
メリット
- 中程度の声なら安心
- 簡易ブースなら移動可能
- 賃貸でも対応できる
- 段階的に強化できる
デメリット
- それなりの費用
- 簡易ブースは暑い
- 長時間配信は疲れる
期待できる効果
- キーボード音:20〜30dB軽減
- 普通の声:15〜25dB軽減
- 叫び声:10〜20dB軽減
レベル3:完全対策(予算100万円以上)#
向いている人
- ゲーム実況が本業
- ホラゲー実況が中心
- 24時間いつでも配信したい
対策方法
ユニット型防音室(98〜200万円)
- ヤマハ セフィーネNS:110万円〜
- カワイ ナサール:98万円〜
- 2畳タイプ推奨(ゲーミングデスク入る)
現場施工型防音(200万円〜)
- 部屋丸ごと防音改修
- D-60以上も可能
- 持ち家限定
メリット
- どんなゲームでも安心
- 24時間配信可能
- 高い防音性能
- 音質も良い
デメリット
- 高額な初期投資
- 設置スペース必要
- 賃貸は要許可
- 維持費もかかる
期待できる効果
- キーボード音:30dB以上軽減
- 普通の声:25〜35dB軽減
- 叫び声:20〜30dB軽減
キーボード・マウス音の対策#
ゲーム実況では、意外とキーボード・マウスの音が問題になります。
キーボード音を抑える方法#
①静音キーボードに変更
メカニカル軸の選択
- 赤軸:静音性◎、打鍵感△
- 静音赤軸:静音性◎◎、打鍵感○
- 銀軸:静音性◎、打鍵感○
- 青軸・緑軸:避ける(カチカチうるさい)
メンブレン・パンタグラフ
- より静かな選択肢
- タイピング感は好み分かれる
価格帯
- エントリー:5,000〜10,000円
- ミドル:10,000〜20,000円
- ハイエンド:20,000円以上
②打ち方を工夫する
静音タイピングのコツ
- キーを底まで叩かない
- 指の重みで押す感覚
- リリース時もゆっくり
- 手首を浮かせすぎない
慣れるまで時間がかかりますが、意識するだけでも音は減ります。
③防音グッズを使う
キーボード用防音マット(1,000〜3,000円)
- キーボードの下に敷く
- 振動を吸収
- 滑り止め効果も
デスクマット(3,000〜8,000円)
- 大きめのマット
- キーボード・マウス両方カバー
- 高級感も出る
④ソフトウェアで音を消す
OBS・配信ソフトでのフィルター設定
- ノイズゲート設定
- ノイズ抑制フィルター
- 特定周波数カット
これは根本解決ではありませんが、配信に乗る音は大幅に減らせます。
マウス音を抑える方法#
①静音マウスに変更
おすすめ静音ゲーミングマウス
- ロジクール G304(静音スイッチ)
- Razer DeathAdder V2 Pro(静音クリック)
- 価格:5,000〜15,000円
通常のゲーミングマウスよりクリック音が50〜90%削減されています。
②マウスパッドで振動吸収
柔らかめの布製マウスパッド(2,000〜5,000円)
- ソフトタイプ
- 厚さ3mm以上
- 大型サイズ推奨
デスク全体を覆うサイズ
- 振動がデスクに伝わるのを防ぐ
- 作業スペースも快適に
③クリック強度の調整
ゲーミングマウスによっては、クリック強度を調整できるものもあります。ソフトウェアで確認してみましょう。
叫び声・大声対策#
ホラゲー実況など、叫び声が出るゲームの対策です。
声の音量をコントロールする#
①マイク設定で入力レベル調整
配信ソフトでの設定
- 入力ゲインを下げる
- コンプレッサーを使う
- リミッターで最大音量制限
これで配信上の音量は抑えられますが、実際の声の大きさは変わらないので、防音対策も必要です。
②声の出し方を工夫
静かに叫ぶテクニック
- 声を喉から出さず腹から出す
- 高音より低音を意識
- 口を大きく開けない
- 実は「演技」と割り切る
プロの声優さんは、叫びの演技でも実際はそこまで大きな声を出していません。練習すれば身につきます。
③時間帯を考える
どうしても大声が出る場合は:
- 日中(10時〜18時)に配信する
- 深夜・早朝は避ける
- 週末の日中を活用
近隣への配慮として、時間帯の工夫も大切です。
防音室内での工夫#
防音室を導入している場合でも、さらに工夫できます。
追加の吸音材配置
- 正面の壁(声が直撃する場所)
- 天井(上への音の伝達防止)
- コーナー(低音対策)
防音性能の検証
- 実際に叫んでみて外で聞いてもらう
- 騒音計アプリで測定
- 必要に応じて追加対策
PC・機材のノイズ対策#
配信に乗る「ノイズ」の対策も重要です。
PCファン音を抑える#
ゲーミングPCは高性能なため、ファン音が大きくなりがちです。
①PCの配置を工夫
防音室の外に出す
- 最も効果的
- HDMIケーブル・USBケーブルで延長
- 発熱も室内に影響しない
机の下に置く
- デスクトップの音を遮る
- ただし吸気に注意
②冷却を最適化
ソフトウェアで管理
- ファン速度カーブの調整
- 不要時は低回転に
- 配信中は静音モード
ハードウェア改善
- 静音ファンに交換
- 水冷システム導入
- ケース内のエアフロー改善
③防音ケースを使う
PC用防音ボックス(10,000〜30,000円)
- PCを覆う防音ケース
- 冷却とのバランス注意
- DIYでも作成可能
その他の機材音対策#
ゲーミングチェアのきしみ音
- 定期的に注油
- ビスの締め直し
- 静音キャスターに交換
デスクの振動
- 防振パッドを脚に設置
- 重量のあるデスクを選ぶ
- 壁から離して設置
コントローラー
- ボタンの摩耗チェック
- 過度な力を入れない
- 必要に応じて交換
予算別おすすめ対策プラン#
実際にどう対策を進めるか、予算別にまとめます。
予算5万円:基本対策プラン#
防音対策(3万円)
- 防音カーテン:10,000円
- 防音マット:15,000円
- 吸音パネル(4枚):5,000円
機材対策(2万円)
- 静音キーボード:10,000円
- 静音マウス:5,000円
- マウスパッド:3,000円
- 隙間テープ:2,000円
向いている人
- RPG・パズル系中心
- 深夜配信しない
- 集合住宅の日中配信
期待効果
- キーボード音:かなり軽減
- 普通の実況:近隣に聞こえにくく
- 叫び声:効果限定的
予算20万円:中級対策プラン#
防音対策(15万円)
- だんぼっち:100,000円
- 防音カーテン強化:30,000円
- 吸音パネル追加:20,000円
機材対策(3万円)
- 高級静音キーボード:15,000円
- 高級静音マウス:10,000円
- デスクマット大型:5,000円
環境整備(2万円)
- 小型除湿器:10,000円
- サーキュレーター:5,000円
- 温湿度計:3,000円
- LED照明:2,000円
向いている人
- 毎日配信している
- たまにホラゲーもやる
- 夜間配信もしたい
期待効果
- キーボード音:ほぼ消える
- 普通の実況:十分安心
- 叫び声:ある程度抑えられる
予算100万円:本格対策プラン#
防音対策(98万円)
- ユニット型防音室:980,000円
- カワイ ナサール 2畳タイプ
機材・環境(10万円)
- プロ仕様キーボード:30,000円
- ゲーミングマウス高級機:20,000円
- 吸音パネル追加:30,000円
- 照明機材:20,000円
その他(予備費)
- 設置費用
- 配線材料
- 予期せぬ追加費用
向いている人
- ゲーム実況が本業
- ホラゲー実況メイン
- 24時間いつでも配信
期待効果
- すべての音:大幅に軽減
- どんなゲームでも安心
- 深夜でも配信可能
実況スタイル別:最適な対策#
あなたの実況スタイルに合わせた対策を選びましょう。
ホラゲー実況者#
優先順位
- 部屋全体の防音(D-55以上)
- 叫び声対策の練習
- 時間帯の工夫
最低予算:20万円〜
- だんぼっちでは不十分な可能性
- ユニット型が理想
FPS・バトロワ実況者#
優先順位
- キーボード・マウスの静音化
- 熱中時の声量コントロール
- 中程度の防音(D-50前後)
最低予算:10万円〜
- 静音デバイス重視
- 簡易防音で対応可能
RPG・まったり系実況者#
優先順位
- 基本的な防音
- 長時間配信の快適性
- 見た目の良さ
最低予算:5万円〜
- 防音グッズの組み合わせ
- 見た目も意識した配置
音ゲー実況者#
優先順位
- 歌う場合は高めの防音
- リズム音の対策
- 音質重視の環境
最低予算:15万円〜
- 歌枠ありならユニット型推奨
- マイク・音響環境が重要
まとめ:段階的に対策を進めよう#
ゲーム実況の防音対策、いかがでしたか?
対策の進め方
STEP1:現状把握
- どんなゲームをやるか
- どれくらいの声を出すか
- 配信時間帯は?
- 住環境は?
STEP2:優先順位をつける
- 声の防音(最優先)
- キーボード・マウス音
- PC・機材音
- 快適性(温度・湿度)
STEP3:予算に合わせて実行
- まず5万円の基本対策から
- 効果を見ながら追加
- 最終的にユニット型を検討
STEP4:検証と改善
- 実際に配信して確認
- 家族や近隣の反応チェック
- 必要に応じて追加対策
段階的な投資がおすすめ
いきなり100万円の防音室を買う必要はありません。まずは:
- 静音デバイス(2〜3万円)
- 防音グッズ(3〜5万円)
- 簡易ブース(10〜20万円)
- 本格防音室(100万円〜)
という順番で、段階的に投資していくのが賢い選択です。
最後に大切なこと
防音対策も大事ですが、一番大切なのは「配信を楽しむこと」です。完璧を目指しすぎず、できる範囲から始めて、少しずつ環境を良くしていきましょう。
楽しいゲーム実況ライフを!