ゲーム実況者が防音室を導入して最初にぶつかる壁。 それは「音」の問題ではありません。 「灼熱地獄」 と 「配線不能」 です。
RTX 4090を積んだゲーミングPC、3枚のモニター、そして本気で叫ぶ実況者の熱量。 これらが密閉された0.8畳〜1.5畳の空間に詰め込まれると、室温は 「冬場でも30度超え」 になります。
そして、LANケーブル、HDMI×3、電源コード、USBハブ…。 これらを全て通せる「穴」が、標準の防音室には足りません。
この記事では、ゲーム実況者が防音室で「生き残る」ための、排熱と配線の完全攻略メソッドを解説します。
なぜゲーム実況用防音室は「サウナ」と化すのか #
まずは敵を知ることです。 なぜ、あなたの防音室はサウナになるのでしょうか?
ハイスペックPC+モニター3枚の発熱量は「暖房器具」並み #
ゲーミングPCの消費電力は、高負荷時で 「600W〜800W」 にも達します。 これは、小型の電気ストーブ(弱運転)を、狭い部屋の中で焚いているのと同じ状態です。
さらにモニター3枚からの発熱が加わります。 これだけの熱源を、断熱材(ウレタンやグラスウール)で囲まれた防音室に入れることは、魔法瓶の中に熱湯を注ぎ続けるようなものです。
密閉空間での「酸欠」と「熱暴走」のリスク #
防音室は気密性が高いため、換気をしないとすぐにCO2濃度が上がります。 ゲームに集中して酸欠になり、頭痛や吐き気で倒れる実況者も少なくありません。
PCにとっても過酷です。 室温が40度を超えると、CPUやGPUは熱暴走を防ぐために性能を落とします(サーマルスロットリング)。 「配信がカクつく」「フレームレートが落ちる」 原因は、実は防音室の暑さにあることが多いのです。
多くの防音室が「ゲーマーの配線量」を想定していない罠 #
一般的な防音室の通線穴(ケーブルを通す穴)は、直径3cm〜5cm程度が1〜2箇所あるだけです。 これは、ピアノの照明やエアコン用電源を想定しているからです。
しかし、ゲーム実況者のケーブル量は異常です。
- 電源タップ(太い)
- LANケーブル(CAT6A以上推奨)
- HDMIケーブル × 2〜3本
- マイクケーブル(XLR)
- USBハブのアップリンクケーブル
- WebカメラのUSBケーブル
これらを無理やり通そうとして、断線させたり、隙間が開いて音漏れしたりするケースが多発しています。
絶叫しても涼しい!防音室の「排熱・空調」極意 #
では、どうすれば快適に配信できるのでしょうか。 答えは 「強制排熱」 と 「PCの外部設置」 です。
エアコン導入が最強だが…「室外機なし」の選択肢は? #
予算とスペースが許すなら、 「エアコンの取り付け」 が最強の解決策です。 ヤマハのアビテックス(1.5畳〜)などは、エアコン取り付けに対応しています。
しかし、賃貸や部屋の構造上、室外機が置けない場合もあります。 その場合の選択肢は2つです。
- スポットクーラー : 排熱ダクトを室外に出す必要がありますが、これだけでは防音室内の温度は下がりきりません(排熱ダクト自体が熱源になるため)。
- 窓用エアコン : 防音室の壁を加工して取り付ける猛者もいますが、振動音が大きく、マイクにノイズが乗るため配信には向きません。
サーキュレーターと換気扇で作る「強制エアフロー」構築法 #
エアコンなしで戦うなら、 「空気の流れ(エアフロー)」 を作るしかありません。
- 吸気(下から) : 防音室のドア下や吸気口付近にサーキュレーターを置き、冷たい空気を強制的に送り込みます。
- 排気(上から) : 換気扇を「強」運転にし、天井付近に溜まった熱気を吸い出します。
重要なのは 「PCに直接風を当てない」 ことです。 PCの吸気ファンに向けて冷気を送るようにサーキュレーターを配置し、PC内部を冷やしてから排気させるのがコツです。
PC本体を「防音室の外」に出すという逆転の発想 #
最も効果的なのは、熱源である 「PC本体を防音室の外に出す」 ことです。
- メリット : 室温上昇を劇的に抑えられる。PCのファンノイズがマイクに入らない。
- デメリット : 長いケーブル(HDMI、USB延長)が必要になる。ディスクの入れ替えが面倒。
5m〜10mの高品質な光ファイバーHDMIケーブルと、電源付きUSBハブを用意すれば、PCが外にあっても遅延なくプレイ可能です。これが現時点での 「ゲーム実況防音の最適解」 です。
10本のケーブルをどう通す?「配線地獄」からの脱出 #
PCを外に出すにしても、中に置くにしても、ケーブルを通す穴の問題は残ります。
LAN・HDMI・電源…「通線穴」の限界と拡張テクニック #
既存の穴に入りきらない場合、以下の方法を試してください。
- コネクタをバラす : 電源タップのプラグなどは大きすぎて通りません。一度分解して通してから再組み立てする(※電気工事士の資格が必要な場合あり)か、タップ側でプラグが着脱できる製品を選びましょう。
- フラットケーブルを使う : LANケーブルやHDMIケーブルは、きしめん状の「フラットタイプ」を使いましょう。隙間を通しやすく、重ねても厚みが出ません。
ノイズを乗せない「電源と信号線の分離」鉄則 #
全てのケーブルを1つの穴に詰め込むと、電源ケーブルからのノイズがLANケーブルやマイクケーブルに乗ることがあります。
- 穴A : 電源ケーブルのみ
- 穴B : LAN、HDMI、USB、オーディオ
このように、 「電源系」と「信号系」 で穴を分けるのが鉄則です。穴が足りない場合は、オプションで通線穴を追加するか、ロスナイ換気扇の隙間などを活用しましょう。
足元スッキリ!モールと結束バンドの魔術 #
狭い防音室内でケーブルが床に散乱していると、足で引っ掛けて断線させたり、椅子のキャスターで踏んでしまったりします。
- 壁沿いにモール : ケーブルは壁に貼り付けるモールで収納し、床を這わせない。
- デスク裏に固定 : 余ったケーブルは結束バンドでデスクの裏や脚に固定し、空中に浮かせましょう。
実況者が選ぶべき「熱と配線に強い」防音室 #
最後に、ゲーマー視点で選ぶべき防音室の基準です。
ヤマハ・カワイのエアコン取付可モデル #
長時間配信をするなら、迷わず 「エアコンが付けられるモデル(1.5畳以上)」 を選びましょう。 初期投資は高くなりますが、夏場の配信休止や体調不良のリスクを考えれば安いものです。
自作・簡易ブースでの排熱ダクト改造DIY #
「だんぼっち」などの段ボール・軽量防音室の場合、カッターで穴を開けて 「排熱ダクト」 を自作するユーザーが多いです。 PCケースの排気ファンにダクトを直結し、そのまま防音室の外へ熱気を排出する改造です。 防音性能は落ちますが、熱対策としては効果絶大です。
ゲーミング防音室を謳う製品の真偽 #
最近は「ゲーミング防音室」として、黒い内装やLED照明がついた製品も増えています。 しかし、重要なのは見た目ではなく 「換気能力」と「通線穴の数」 です。
購入前に必ずスペック表を見て、「換気扇の風量」や「ケーブル配線口のサイズ」を確認してください。
まとめ:快適な環境こそが「神回」を生む #
汗だくで意識が朦朧としている中で、面白いトークは生まれません。 ノイズまみれの音声では、視聴者はすぐに離脱します。
- 排熱 : 可能ならエアコン、無理なら「PC外出し」+「強力エアフロー」。
- 配線 : 電源と信号を分離し、フラットケーブルを駆使してスマートに通す。
- 環境 : 自分が快適であることが、最高のパフォーマンス(神回)に繋がる。
防音室は「ただの箱」ではありません。あなたの配信を支える「基地」です。 妥協せず、最強の環境を構築してください。
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