「電子ドラムなら、ヘッドホンをすれば無音だからマンションでも大丈夫」
もし楽器店の店員さんにこう言われたとしたら、それは 半分嘘 です。 確かに「叩く打撃音」は静かです。しかし、電子ドラムにはもっと恐ろしい騒音源があります。

それは、あなたがペダルを踏むたびに発生する 「振動(固体音)」 です。 この振動対策をせずにマンションで叩けば、数日で階下から苦情が来るでしょう。今回は、電子ドラマーの救世主であるDIY防振術 「ディスクふにゃふにゃシステム」 について解説します。
電子ドラムの苦情No.1は「キックペダル」。打撃音より怖い固体音#
ドスン!という衝撃は消えない#
バスドラム(キック)を踏む動作を想像してください。 足の裏で力一杯ペダルを踏み込み、ビーターがパッドを叩く。この時、体重と運動エネルギーがすべて床への「衝撃」に変わります。
これは、床の上でジャンプしたり、ハンマーで床を叩いているのと同じです。 この振動はコンクリートを伝って階下の天井を揺らし、「ドスン、ドスン」という不気味な低周波騒音となって響き渡ります。
市販の「防振マット」だけでは不十分#
楽器店で売られている厚さ1cm程度のドラムマット。 これは「床の傷防止」や「滑り止め」には有効ですが、数百キロ相当の衝撃荷重を受け止める防振性能はありません。
振動を止めるには、 床を物理的に浮かせる(Floating Floor) しかないのです。
古の知恵「タイヤふにゃふにゃシステム」とは?#
かつて、ドラマーたちの間で伝説となったDIY手法があります。 通称「タイヤふにゃふにゃシステム」です。
- 構造 : 古タイヤのチューブを何個も並べ、その上にコンパネ(合板)を乗せ、ドラムを置く。
- 原理 : 空気の力で完全に床から浮いているため、振動絶縁性が極めて高い。
- 欠点 : チューブの空気圧管理が大変、ゴム臭い、製作難易度が高い。
効果は絶大でしたが、手間がかかりすぎるのが難点でした。そこで登場したのが、現代版の進化系です。
現代の主流「ディスクふにゃふにゃシステム」とその作り方#
タイヤの代わりに、フィットネス用の 「バランスディスク」 を使う方法です。 これならAmazonなどで手軽に入手でき、空気管理も楽で、臭いもしません。
必要な材料(ホームセンターで揃います)#
- バランスディスク : 4〜6個(ドラムセットの広さに応じて)
- コンパネ(合板) : 厚さ12mm以上を2枚(重ねて使うと強度UP)
- 風呂マット : ジョイントマットでも可。ディスクと板の間に挟んで安定させる。
作り方(3ステップ)#
- 設置 : バランスディスクを四隅と中央に配置します。
- 積層 : その上に風呂マットを敷き、さらにコンパネを乗せます。これで「浮いたステージ」が完成です。
- 設置 : ステージの上に電子ドラムを組み立てます。
驚異の効果#
このステージの上でドラムを叩くと、ステージ全体が「ぐらぐら」「ふわふわ」と揺れます。 この 「揺れ」こそが、振動エネルギーを吸収している証拠 です。
床に伝わるはずだった衝撃を、バランスディスクの空気が受け止め、熱に変えて逃してくれます。これにより、階下への振動伝達率は劇的に(数十dBレベルで)低下します。
まとめ:ドラムの静音はDIYで勝ち取れ!#
マンションで電子ドラムを叩く権利は、お金で買うものではなく、知恵とDIYで勝ち取るものです。
- キックペダル : 最大の敵。マット1枚では防げない。
- 浮き床 : 床から物理的に絶縁するしかない。
- ディスクふにゃふにゃ : コスパ最強の現代的解決策。
「苦情が来てから対策する」のではなく、「対策してから叩き始める」。 これが集合住宅で音楽を楽しむための最低限のマナーです。今週末、ホームセンターへ行きましょう。
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