結論:「卵パック防音」の遮音効果(音漏れを防ぐ効果)はゼロです。完全な都市伝説であり、多大な労力に対して得られるものは「衛生面のリスク」だけです。
昔からネットや雑誌などで語り継がれてきた「卵パック防音」という都市伝説をご存知でしょうか?
「スーパーで卵の空きパックを大量にもらってきて、壁一面に貼りつければ、まるでプロの音楽スタジオのようなデコボコ防音壁になる!」という夢のようなDIYテクニックです。
一見それっぽく聞こえますが、音響学のプロ視点から、その「本当の効果」と「やばいリスク」をガチ検証します。
1. なぜ「卵パック防音」は効果ゼロなのか?#
まず、結論として「遮音(隣の部屋に音が漏れるのを防ぐこと)」は100%不可能です。
音楽スタジオの壁がヒント(でも勘違い)#
この都市伝説の元ネタは、プロの音楽スタジオや録音ブースの壁に見られる「凸凹した吸音スポンジ(プロファイル吸音材)」です。見た目が卵パックにそっくりなため、「あれを代用すればいいじゃん!」と広まったと考えられます。
質量則による残酷な真実#
防音(音を遮断すること)には、絶対的なルールである「質量則(重いものほど音を止める力が強い)」が存在します。
卵パックはどう見ても「紙」や「薄いプラスチック」で出来ており、極めて軽量です。音のエネルギー(空気の振動)がぶつかった瞬間、卵パックは簡単に一緒に揺れてしまい、音をそのまま裏の壁へと通してしまいます。
つまり、壁材としての「重さ」が全く足りないのです。
2. 実は「少しだけ」効果がある部分(吸音・調音)#
「効果ゼロと言った直後に矛盾してる!」と思うかもしれませんが、プロとして正確に伝えると、**「音漏れは1mmも防げないが、部屋の中の音の響き(反響・エコー)を少しだけ散らす効果(調音)」**は、わずかですが存在します。
音の乱反射(ディフューザー効果)#
表面がデコボコしているため、声などの高音が卵パックにぶつかると、音がいろんな方向へ「乱反射(散乱)」します。 これにより、お風呂場のような響き(フラッターエコー)がほんの少し和らぐ効果(調音・吸音)は、理論上「ゼロではない」と言えます。
しかし、そのわずかな効果のために「部屋の壁一面を卵の空き箱で埋め尽くす」のは、明らかに割に合いません。
3. 【警告】絶対にやってはいけない「衛生・虫問題」#
音響的な効果うんぬんの前に、卵パックを壁に大量に貼る最大のデメリットが**「衛生面」**です。
- サルモネラ菌や汚れの残留: スーパーでもらった空きパックには、微細な卵のカスや見えない雑菌(サルモネラ菌など)が付着している可能性があります。
- ゴキブリや害虫の温床に: 紙製の卵パックは、湿気を吸いやすく、保温性もあります。さらにデコボコとした暗い隙間が無数にできるため、**チャバネゴキブリやダニにとって「これ以上ない最高のタワーマンション」**を与えているようなものです。
まとめ:卵パックを集めるヒマがあるなら#
卵パック防音は、「お金をかけずにスタジオっぽくしたい」という願望が生み出した都市伝説です。
もしあなたが「マイクの反響(エコー)をなんとかしたい」のであれば、Amazonで数千円で売られている専用の「吸音ウレタンフォーム」を1セット買い、マイクの裏の壁に数枚貼るほうが、卵パックを100個集めるより何千倍も効果的で衛生的です。
