結論 : ダイソーの「吸音フェルト」を壁に貼っても、部屋の外への音漏れは防げません。ただし、相手に届く「自分の声」は劇的に良くなります。
夜遅くのFPSゲームやDiscordでのボイスチャット。親や家族から「声がうるさい!」と怒られ、お小遣いの範囲で解決しようと100均に駆け込む方は多いでしょう。
そこで真っ先に候補に挙がるのが、ダイソーなどの 吸音フェルト を壁に貼る対策です。総額3,000円程度で壁一面を覆えそうですが、果たして本当に効果はあるのでしょうか?
音響のプロ視点から、その実力を解説します。
なぜ吸音フェルトで音漏れは防げないのか?#
結論から言えば、フェルトには「音を塞ぐ力」が物理的に備わっていないからです。
防音の絶対ルール「質量則」#
音(空気の振動)をせき止めるには、物理的な「重さ」が必要です。重い物質ほど、音の力に耐えて振動を跳ね返すことができます。これを音響物理学で 質量則 と呼びます。
フェルトやスポンジのような軽くて空気を多く含む素材は、音と一緒に揺れてしまいます。そのため、音をそのまま壁の向こう側へと通過させてしまうのです。
吸音と遮音は全く別物#
パッケージに書かれている 吸音 という言葉に騙されてはいけません。
- 吸音(きゅうおん) : 部屋の中の声の反射やエコーを減らすこと。
- 遮音(しゃおん) : 部屋の外へ音が突き抜けるのを防ぐこと。
家族からのクレームを防ぐために必要なのは 遮音 ですが、100均のフェルトにはその力が圧倒的に不足しています。
マイク音質の向上には神コスパ#
では、吸音フェルトを買うのは完全に無駄遣いなのでしょうか? 実は 配信者やゲーマーとして声のクオリティを上げる 目的においては、非常に有効です。
反響音が消えて声がクリアに#
壁にフェルトを貼ることで、部屋の中で声が跳ね返る現象(反響)を抑えられます。 結果として、マイクに余計な響きが入らなくなり、VC相手や視聴者にとって あなたの声がラジオDJのようにクリアに聞こえる ようになります。
家族への音漏れを本気で防ぐには?#
お小遣いの範囲で音漏れを本気で減らしたいなら、壁にフェルトを貼る前にやるべき対策があります。
それが ドアの隙間埋め です。
音は水と同じで、数mmの隙間があるだけでそこから漏れ出します。特に日本の住宅は、換気のためにドアの下に隙間(アンダーカット)があります。まずはここを 隙間テープ で徹底的に塞ぐことが、最も安く効果が出る防音の第一歩です。
