メインコンテンツへスキップ
  1. すべての記事/

防音のプロが教えるD値の嘘と本当|カタログスペックだけで選ぶと失敗する理由

·3092 文字·7 分
防音室 D値 遮音等級 防音性能 防音室 選び方 技術解説
sasisi344
著者
sasisi344
外の音が気になったりマイクの音質とかを気にするようになったので、防音に関する総合的な情報を集めているうちに、このサイトが生まれました。
目次

「D-50とD-60って、どれくらい違うんですか?」

防音室の購入を検討する際、誰もが気にする「D値」。カタログには「D-50」「D-60」と数値が並びますが、その実態を正しく理解している人は少数です。

D値は、防音性能を示す日本の指標ですが、カタログの数値だけを見て判断すると、「思ったより音が漏れる」と感じることがあります。

この記事では、防音のプロが「D値の嘘と本当」を解説します。カタログスペックの裏側を知ることで、自分に本当に必要な防音室を選べるようになります。


D値とは|日本独自の遮音等級
#

D値の定義
#

D値(遮音等級)は、日本建築学会が定めた遮音性能の指標です。正式には「遮音等級D」と呼ばれ、壁や床の遮音性能を数値化したものです。

基本ルール:

  • 数値が大きいほど遮音性能が高い
  • D-10刻みで表記されることが多い
  • 500Hz帯域での減衰量を基準とする
D値遮音レベル適用用途隣室での聞こえ方
D-30配信・通話小さく聞こえる
D-40ピアノ(小音量)かすかに聞こえる
D-50ピアノ・管楽器ほぼ聞こえない
D-60非常に高ドラム・大音量完全に遮音
D-70+最高プロスタジオ完全遮音

なぜD値が重要なのか
#

防音室を選ぶ際、D値は「近隣トラブルを避けられるか」の目安になります。

しかし、D値だけを見て判断すると失敗するケースが多いのも事実です。


D値の「嘘」|カタログの数値が示さないこと
#

嘘1: D-50とD-60の差は「体感では小さい」
#

カタログを見ると、D-50とD-60は「10の差」に見えます。しかし実際は:

D-50とD-60の体感差

  • D-50: 隣室で「かすかにピアノの音が聞こえる」
  • D-60: 隣室で「ほぼ無音」

この差は大きいように思えますが、日常生活の環境音(エアコン、換気扇)にマスキングされるため、静かな環境でなければ差を感じにくいのです。

[!TIP] プロの視点:「D-50で十分なケースが8割。D-60は住宅密集地やドラムなど大音量楽器の場合のみ」

嘘2: 測定環境は「理想的な条件」
#

カタログのD値は、JIS規格に基づく理想的な測定環境で得られた数値です。

理想的な測定環境:

  • 防音室が完全に密閉されている
  • 床・壁・天井に隙間がない
  • 換気扇・ドアの気密性が完璧
  • 振動伝播がゼロ

しかし実際の設置環境では:

実際の設置環境影響
ドアの隙間D値が5〜10低下
換気扇の音漏れD値が10〜15低下
床の振動伝播低音域で性能低下

つまり、カタログD-50の防音室でも、実際の設置環境ではD-40〜45程度になることがあります。

嘘3: 全周波数で同じ性能ではない
#

D値は500Hz帯域を基準にしていますが、実際の音は様々な周波数を含みます。

周波数別の遮音性能(イメージ):

周波数帯音の種類D-50の実性能
125Hz(低音)ドラムのバスドラムD-35相当
500Hz(中音)ピアノの中音域D-50
2000Hz(高音)シンバル、声D-55相当

低音域ほど遮音が難しく、ドラムやベースなどの低音楽器は、カタログ値よりも音漏れしやすいのが現実です。


D値の「本当」|正しく理解すべきポイント
#

本当1: D値は「相対的な目安」
#

D値は、絶対的な性能保証ではなく、相対的な目安です。

住環境別の推奨D値:

住環境推奨D値理由
戸建住宅地D-40〜50近隣との距離があり、環境音も多い
一般マンションD-50〜60隣室に直接接しているため高い性能が必要
住宅密集地D-60〜70近隣との距離が近く、厳格な防音が必要
商業・工業地域D-40〜50周囲の騒音でマスキング効果あり

ポイント: 住環境が静かなほど、高いD値が必要になります。逆に、環境音が多い場所では、D-50でも十分なケースが多いのです。

本当2: 「体感」が最も重要
#

カタログ値よりも、実際にショールームで体感することが最も重要です。

ショールームで確認すべきポイント:

  1. 室内で音を出してみる(可能であれば楽器や声を出す)
  2. 室外で音漏れを確認する(付き添いの人に外で聞いてもらう)
  3. 換気扇を動かした状態でチェック(音漏れの最大要因)

[!IMPORTANT] ヤマハ、カワイ、大和楽器など主要メーカーはショールームで実機体験が可能です。購入前に必ず体感しましょう。

本当3: 予算との兼ね合いが現実的
#

D値を10上げると、価格が20〜30万円上昇します。

価格帯の目安(1.5畳サイズ):

D値価格帯主要製品
D-4080〜120万円カワイ ナサール LITE
D-50120〜180万円ヤマハ セフィーネNS、カワイ ナサール
D-60180〜250万円ヤマハ アビテックス
D-70+250万円〜カスタムオーダー

現実的な判断:

  • 「D-60が欲しいけど予算が…」→ D-50 + 防音マット・カーテンで対処
  • 「完璧な防音が必要」→ 予算を確保してD-60以上を選択

よくある誤解と正しい知識
#

誤解1: 「D-50なら深夜も演奏できる」
#

× 誤解: D-50の防音室なら、深夜でも近隣に迷惑をかけない
○ 正解: D-50でも、住環境や楽器の音量によっては深夜演奏は難しい

理由:

  • 深夜の静かな環境では、わずかな音漏れも目立つ
  • 低音楽器(ドラム、ベース)はD-50でも音漏れしやすい
  • マンションの場合、床・天井からの振動伝播がある

誤解2: 「D値が高いほど良い」
#

× 誤解: とにかく高いD値を選べば安心
○ 正解: 自分の用途と住環境に合ったD値を選ぶ

理由:

  • D-70の防音室は非常に高額(250万円〜)
  • 配信やWeb会議ならD-30〜40で十分
  • 戸建住宅地ならD-50で十分なケースが多い

誤解3: 「カタログ値=実際の性能」
#

× 誤解: カタログのD値通りの性能が得られる
○ 正解: 設置環境によって実性能は変動する

実性能に影響する要因:

  • ドア・換気扇の気密性
  • 床の振動伝播
  • 設置精度(隙間の有無)
  • 経年劣化(ゴムパッキンの硬化)

プロが教える:D値との正しい付き合い方
#

ステップ1: 自分の用途を明確にする
#

用途別の推奨D値:

用途推奨D値理由
Web会議・配信D-30〜40生活音レベルの遮音で十分
ピアノ・声楽D-40〜50隣室でかすかに聞こえる程度
管楽器D-50〜60高音域の音漏れ対策
ドラムD-60〜70低音・振動対策が必須

ステップ2: 住環境を評価する
#

住環境チェックリスト:

  • 戸建か集合住宅か
  • 隣家との距離は?
  • 周囲の環境音は大きいか
  • 演奏時間帯は?(昼間 or 深夜)

例:

  • 戸建住宅地 + ピアノ + 昼間演奏 → D-40で十分
  • マンション + ドラム + 深夜演奏 → D-70が必要

ステップ3: 予算とのバランスを取る
#

予算別の選択肢:

予算選択肢妥協点
80〜120万円D-40クラス演奏時間を制限する
120〜180万円D-50クラス最も一般的な選択
180〜250万円D-60クラスドラムやプロ用途向け
250万円〜D-70+カスタム完全遮音が必要な場合

まとめ|D値はあくまで「目安」
#

D値の「嘘」と「本当」をまとめると:

D値の嘘(カタログが示さないこと):

  • D-50とD-60の体感差は環境音にマスキングされやすい
  • 測定環境は理想的で、実際の設置環境では性能が低下する
  • 全周波数で均一な性能ではなく、低音域は漏れやすい

D値の本当(正しい理解):

  • D値は相対的な目安であり、住環境で必要な値が変わる
  • カタログ値よりも実際の体感が最も重要
  • 予算とのバランスを考え、現実的な選択をする

最終アドバイス:

  1. ショールームで必ず体感する
  2. 自分の用途と住環境を正確に評価する
  3. カタログ値だけでなく、設置環境や経年劣化も考慮する

D値は重要な指標ですが、それだけで防音室を選ぶと失敗します。この記事で解説した「裏側」を理解して、後悔しない防音室選びをしてください。


関連記事
#

関連記事

遮音性能Dr等級(D値)の目安|Dr-30/35/40の違いを体感で解説
·1186 文字·3 分
防音室 Dr等級 D値 遮音性能 防音基準
遮音性能D値ガイド|D-30〜65の防音レベル早見表まとめ
·1236 文字·3 分
防音室 Dr等級 遮音性能 D値 防音基準
防音室の効果はどれくらい?楽器・話し声の減衰レベル
·1525 文字·4 分
防音室 防音室の効果 遮音性能 Dr等級 D値 音漏れ
予算別防音室選び方ガイド|50万円・100万円・200万円で選ぶ方法
·3009 文字·7 分
防音室 防音室 値段 防音室 価格 防音室 予算 防音室 50万円 防音室 100万円 防音室 200万円 防音室 選び方 防音室 安い
ピアノ防音室の選び方|アップライト・グランド別に必要な「広さ」と「D値」
·1576 文字·4 分
防音室 防音室 ピアノ 防音室 選び方 グランドピアノ アップライトピアノ 床補強
防音室のある暮らし|ピアノ講師が語る導入前後のリアルな変化
·3931 文字·8 分
防音室 防音室 体験談 ピアノ 防音室 マンション 防音室 防音室 生活 ユーザーインタビュー