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防音賃貸の遮音性能D値とは?物件選びの指標

·3883 文字·8 分
防音賃貸 遮音性能 D値 物件選び 性能指標
sasisi344
著者
sasisi344
外の音が気になったりマイクの音質とかを気にするようになったので、防音に関する総合的な情報を集めているうちに、このサイトが生まれました。
目次

防音賃貸を探していると、「D-50」とか「D-65」とか、よくわからない数字が出てきますよね。

これ、実はめちゃくちゃ重要な指標なんです。この数字を理解せずに物件を選ぶと、入居してから「全然防音じゃないじゃん!」ってなる可能性も…。

今回は、防音賃貸選びで絶対に知っておきたい「D値」について、初心者でもわかるように徹底解説します。

D値とは?遮音性能を表す日本の基準
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D値(ディーち)は、壁や床がどれだけ音を遮断できるかを表す日本独自の指標です。

正式には「遮音等級」といって、数字が大きいほど防音性能が高くなります。

D値の基本ルール
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  • 数字が大きい = 防音性能が高い
  • D-50からD-80くらいまでが一般的
  • 5刻みで表示される(D-40、D-45、D-50…)

例えば、D-60の部屋はD-50の部屋より防音性能が高い、ということですね。

一般住宅とどれくらい違う?
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比較するとこんな感じです。

建物タイプ遮音性能音の聞こえ方
木造アパートD-35程度隣の話し声が聞こえる
普通のマンションD-40~45大きな音や生活音が聞こえる
防音マンションD-50~60楽器の音が大幅に軽減
高性能防音賃貸D-65~80ほぼ完全に音を遮断

一般的な賃貸がD-40前後なのに対して、防音賃貸はD-50以上。この差が大きいんですよね。

D値別に見る音の聞こえ方
#

具体的に、D値によってどれくらい音が変わるのか見ていきましょう。

D-40~45:楽器可レベル(最低限)
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音の聞こえ方

  • ピアノの音が隣室に聞こえる
  • 大きな声や笑い声もわりと伝わる
  • ドラムは厳しい

こんな物件

  • 一般的な「楽器可マンション」
  • 簡易的な防音処理をした物件
  • 遮音材を追加した程度

向いている用途

  • 小音量での練習
  • アコースティックギター
  • 電子ピアノ(音量控えめ)

正直、これを「防音賃貸」と呼ぶのは厳しいレベルです。時間帯をかなり気にする必要があります。

D-50~55:音楽愛好家向け標準レベル
#

音の聞こえ方

  • ピアノの音がかなり軽減される
  • 隣室では「何か音がしてる」程度
  • 歌声や管楽器も練習可能

こんな物件

  • 一般的な防音賃貸の標準グレード
  • ヤマハやカワイの防音室設置物件
  • 音楽系学生向け物件

向いている用途

  • ピアノ練習(アップライト)
  • バイオリン、フルートなど弦・管楽器
  • 歌の練習
  • 配信活動

住環境別の推奨度

  • 戸建住宅地:◎(近隣との距離があれば十分)
  • 一般マンション:○(時間帯配慮は必要)
  • 住宅密集地:△(やや不安あり)

このレベルなら、昼間の練習は問題なくできますね。

D-60~65:プロフェッショナルレベル
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音の聞こえ方

  • 隣室ではほとんど音が聞こえない
  • 廊下を歩いていても気づかないレベル
  • 大音量での演奏も可能

こんな物件

  • 高級防音賃貸
  • 音楽大学周辺の専門物件
  • リブランやミュージションの上位グレード

向いている用途

  • グランドピアノ
  • 管楽器(サックス、トランペット)
  • 本格的なレコーディング
  • プロの音楽活動

住環境別の推奨度

  • 戸建住宅地:◎
  • 一般マンション:◎
  • 住宅密集地:○
  • 商業・工業地域:◎

このレベルになると、深夜以外はかなり自由に演奏できます。

D-70~80:スタジオ・放送局レベル
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音の聞こえ方

  • 隣室では完全に無音
  • ドラムの大音量も外に漏れない
  • 24時間いつでも演奏可能

こんな物件

  • 超高級防音賃貸
  • ドラム専用設計の物件
  • 放送局・スタジオ仕様

向いている用途

  • ドラム(アコースティック)
  • バンド練習
  • 大音量での配信・録音
  • プロの音楽制作

特徴

  • 家賃は最も高い(都心で25~35万円)
  • 物件数が極端に少ない
  • 振動対策も完璧

正直、ここまでのレベルは一般人にはオーバースペックかも。でもドラマーには必須ですね。

楽器別に必要なD値の目安
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自分が演奏する楽器によって、必要なD値が変わってきます。

ピアノ
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タイプ必要D値理由
電子ピアノD-40~45音量調整可能
アップライトピアノD-50~55中音量の楽器
グランドピアノD-60以上大音量・低音域

グランドピアノは音量だけでなく、低音の響きも大きいので、高い性能が必要です。

管楽器
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楽器必要D値理由
フルート・リコーダーD-45~50比較的小音量
クラリネット・オーボエD-50~55中音量
サックス・トランペットD-55~60大音量・鋭い音
トロンボーン・チューバD-55~60大音量・低音域

管楽器は音の指向性が強いので、窓の方向にも注意が必要です。

弦楽器
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楽器必要D値理由
バイオリン・ビオラD-50~55高音域が響く
チェロ・コントラバスD-55~60低音域が響く
アコースティックギターD-45~50比較的小音量
エレキギター(アンプ使用)D-55~60アンプ音量次第

弦楽器は音響バランスも重要なので、吸音材の配置も考える必要があります。

ドラム
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タイプ必要D値理由
電子ドラムD-45~50振動対策が主
アコースティックD-65~70大音量・振動大

ドラムは音だけでなく、振動対策も必須。D値が高くても、振動が伝わると苦情の原因になります。

声楽・配信
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用途必要D値理由
歌の練習(趣味)D-45~50声量次第
声楽(本格的)D-50~55発声練習含む
配信(トーク中心)D-40~45比較的小音量
配信(歌・ゲーム実況)D-50~60音質重視

配信の場合、音質の良さも重要なので、D値だけでなく吸音性能もチェックしましょう。

D値以外にもチェックすべき防音性能
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実は、D値だけ見ていても不十分なんです。他にも重要な指標があります。

1. 振動対策(特にドラム)
#

D値は「空気を伝わる音」の遮断性能。でも、ドラムの振動は床を伝わるので、別の対策が必要です。

チェックポイント

  • 浮床構造になっているか
  • 防振ゴムやバネが使われているか
  • 床の厚さと材質
  • 下階への振動伝達測定値

ドラマーの方は、D値が高くても振動対策がなければNGです。

2. 低周波対策
#

低音(ベース、チューバ、ピアノの低音など)は、通常の防音では止めにくいんですよね。

低音に強い物件の特徴

  • 壁が厚い(20cm以上)
  • 二重壁構造
  • 低音専用の吸音材使用
  • 空気層が広い

D値が同じでも、低音対策の有無で体感が全然違います。

3. 窓・ドアの防音性能
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壁がどんなに優れていても、窓やドアが弱ければ意味がありません。

理想的な仕様

  • :二重サッシ、防音ガラス
  • ドア:防音ドア(重厚なタイプ)
  • 換気口:消音ダクト付き
  • エアコン:防音対策済み配管

特に窓は、普通のサッシだと音がダダ漏れになります。

4. 隣室との距離
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D値が同じでも、隣室との距離が遠い方が有利です。

理想的な設計

  • 隣室と接する壁が少ない角部屋
  • 廊下や収納を挟んで隣室と離れている
  • 上下階の間取りがズレている(真下に寝室がないなど)

間取り図を見て、隣室配置も確認しましょう。

物件選びで失敗しないためのチェックリスト
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実際に物件を見る時は、このリストを活用してください。

契約前の必須確認事項
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□ D値が明記されているか

  • 契約書や物件資料に具体的な数値
  • 「防音仕様」だけでは不十分
  • できれば測定データも確認

□ 測定方法が明確か

  • JIS規格に基づく測定か
  • 実験室データか現場測定か
  • 測定時期(築年数による劣化考慮)

□ 自分の楽器に対応しているか

  • 必要D値を満たしているか
  • 楽器の種類が許可されているか
  • 音量制限はないか

□ 振動・低音対策があるか

  • 浮床構造の有無
  • 低周波対策の有無
  • ドラム可の場合は特に重要

□ 窓・ドアの仕様確認

  • 二重サッシか
  • 防音ドアか
  • 換気口の消音対策

内見時にチェックすべきポイント
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□ 実際に音を出してみる

  • 許可を取って楽器を試奏
  • 隣室や廊下での聞こえ方確認
  • 可能なら外からも確認

□ 壁を叩いて厚みを確認

  • コンコンと叩いてみる
  • 軽い音 = 薄い壁
  • 重い音 = 厚い壁

□ 隣室の音が聞こえるか

  • 静かにして耳を澄ませる
  • 隣人が在宅なら参考になる
  • 生活音が聞こえる = 音漏れしやすい

□ 共用部分の音環境

  • 廊下の足音
  • エレベーターの音
  • 外からの騒音レベル

よくある誤解とトラブル
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D値について、よくある勘違いを解説します。

誤解1:「D-50なら絶対に音が漏れない」
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正解:D-50は「音が大幅に軽減される」レベル

D値は完全に音を遮断する指標ではありません。D-50でも、大音量で演奏すれば隣室に少しは聞こえます。

特に低音や振動は、D値だけでは判断できません。

誤解2:「カタログ値がD-60だから安心」
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正解:測定条件によって性能が変わる

  • 実験室測定:理想的な条件での最大値
  • 現場測定:実際の部屋での実測値

実験室データは、現場より5~10高く出ることも。契約前に測定条件を確認しましょう。

誤解3:「D値が高ければ音質も良い」
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正解:遮音と音響は別物

D値は「外に音を漏らさない」性能。でも、部屋の中での「音の響き」とは別です。

音楽を楽しむには、適度な吸音材配置も重要。D値が高くても、音がデッドすぎると演奏しづらいこともあります。

誤解4:「防音賃貸ならドラムもOK」
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正解:ドラムは別途確認が必須

D値が高くても、ドラムNGの物件は多いです。理由は振動対策の有無。

ドラムを叩きたい方は、「ドラム可」の明記と振動対策の確認が絶対必要です。

まとめ:D値を理解して最適な物件を選ぼう
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防音賃貸選びで、D値は最も重要な指標の一つです。

重要ポイント

  • D-50~55:音楽愛好家向け標準レベル
  • D-60~65:プロレベル、大音量OK
  • D-70以上:ドラム・スタジオレベル
  • 楽器によって必要なD値が違う
  • D値だけでなく、振動・低音対策も重要

物件選びのステップ

  1. 自分の楽器に必要なD値を確認
  2. 契約書でD値の記載をチェック
  3. 振動・低音対策の有無を確認
  4. 内見で実際に音を出してみる
  5. 隣室の音環境も確認

D値を正しく理解すれば、入居後の「こんなはずじゃなかった!」を防げます。

あなたにピッタリの防音賃貸が見つかりますように!

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