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防音賃貸とは?「楽器可」との違い・選び方を解説

·5162 文字·11 分
防音賃貸 防音賃貸 楽器可 違い 物件選び
sasisi344
著者
sasisi344
外の音が気になったりマイクの音質とかを気にするようになったので、防音に関する総合的な情報を集めているうちに、このサイトが生まれました。
目次

音楽活動をしている方なら一度は悩んだことがあるはず、「賃貸で楽器を演奏したいけど、音が漏れないか心配…」という問題。

そんな悩みを解決してくれるのが「防音賃貸」です。でも、普通の「楽器可物件」とは何が違うの?実際どれくらい音が漏れないの?家賃はどのくらい高いの?

この記事では、防音賃貸について知っておきたいことを全部まとめました。

防音賃貸って何?普通の楽器可物件との決定的な違い
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防音賃貸の定義
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防音賃貸とは、専用の防音室が備え付けられた賃貸物件のことです。

一般的な賃貸マンションに後付けで防音室を設置するのではなく、建物の設計段階から防音性能を考慮して作られているのが特徴。つまり、「防音」が標準装備されている物件なんです。

「楽器可」物件との3つの大きな違い
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多くの人が混同しがちなのが、「楽器可物件」と「防音賃貸」の違いです。実はこの2つ、全然別物なんです。

1. 防音性能が圧倒的に違う

  • 楽器可物件: 防音性能D-40~50程度(一般的なマンションと同程度)
  • 防音賃貸: 防音性能D-50~80(専用防音室付き)

この数字、何を意味するかというと、D値が10上がるごとに体感的な音量が約半分になるイメージです。つまり、D-60の防音賃貸なら、D-40の楽器可物件に比べて音漏れが4分の1程度になる計算です。

2. 演奏できる時間帯が全然違う

  • 楽器可物件: 基本的に9時~20時など時間制限あり、夜間・早朝は厳禁
  • 防音賃貸: 24時間演奏OK(物件による)

これ、音楽やってる人にとっては超重要ですよね。仕事終わりの夜にしか練習時間が取れない人や、配信活動をしている人には、24時間使える環境は本当にありがたいです。

3. 近隣トラブルのリスクが段違い

楽器可物件でも、実際には隣人から苦情が来るケースは少なくありません。「楽器可」という表記は「演奏を許可する」というだけで、「音が漏れない」とは別の話なんです。

一方、防音賃貸は専用の防音室があるので、正しく使えば近隣トラブルのリスクはかなり低くなります。

防音賃貸の種類と性能
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性能別の3つのグレード
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防音賃貸にもグレードがあって、大きく3つに分けられます。

プレミアムグレード(D-70~80)

  • 家賃目安: 20~30万円(東京都心)
  • 対応楽器: ドラム、グランドピアノなど大音量楽器もOK
  • ターゲット: プロ音楽家、本格的な配信者

スタンダードグレード(D-60~65)

  • 家賃目安: 15~20万円
  • 対応楽器: アップライトピアノ、管楽器、弦楽器
  • ターゲット: 一般的な音楽愛好家、音大生

ベーシックグレード(D-50~55)

  • 家賃目安: 12~16万円
  • 対応楽器: 軽めの弦楽器、声楽、DTM・配信
  • ターゲット: 学生、初心者、配信者

楽器別に必要な防音性能の目安
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自分が演奏する楽器によって、必要な防音性能が変わってきます。

楽器の種類推奨D値特記事項
ドラムD-65~70低音・振動対策が超重要
グランドピアノD-60以上天井高3m、床荷重にも注意
アップライトピアノD-50~55比較的一般的な防音室でOK
管楽器D-50~55音の指向性を考慮した配置が必要
弦楽器D-50以上音響バランスも重視
声楽D-40~50一般的な防音室で対応可
DTM・配信D-45以上電源・通信環境も要確認

ドラムをやりたい人は、振動対策がされているかも必ずチェックしてください。防音性能が高くても、振動は別問題なので。

全国の防音賃貸物件データ
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地域別の物件数と特徴
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2025年時点で、全国に約287件の防音賃貸物件があります。でも、地域によってかなり偏りがあるんです。

関東エリア(226件・78.7%)

  • 東京が圧倒的に多く、特に音楽大学周辺に集中
  • 平均家賃: 18~25万円
  • 特徴: 選択肢は多いが競争も激しい、待機者6,000人以上

関西エリア(26件・9.1%)

  • 大阪中心に展開、京都・神戸にも少数あり
  • 平均家賃: 14~18万円(関東より20~30%安い)
  • 特徴: 関東に比べて穴場、これから増える可能性あり

九州・沖縄エリア(20件・7.0%)

  • 福岡市に集中
  • 平均家賃: 11~15万円(関東より40~50%安い)
  • 特徴: 地方都市の中では選択肢多め、コスパ良好

東京以外に住んでる人は、選択肢が限られるのが現実です。ただ、その分家賃は安いので、地方在住の方にはメリットもあります。

音楽大学周辺は激戦区
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特に注目なのが、**東京音楽大学周辺(中目黒・代官山エリア)**です。

  • 徒歩圏内に約15件の防音賃貸が集中
  • 平均家賃: 22万円(全国最高水準)
  • 入居待ち: 6~12ヶ月も珍しくない
  • 入居者の60%が音大生

音大に通うなら理想的な環境ですが、その分競争も激しいです。早めの物件探しが必須ですね。

防音賃貸の家賃相場と初期費用
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一般賃貸と比べてどれくらい高い?
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正直に言います。防音賃貸は高いです。でも、その理由を知れば納得できるはず。

エリア一般賃貸防音賃貸差額プレミアム率
東京都心15万円22万円+7万円47%
東京近郊12万円16万円+4万円33%
大阪市内10万円14万円+4万円40%
福岡市内8万円11万円+3万円38%

平均すると、一般賃貸より30~50%ほど高いという感じです。

なぜこんなに高いの?
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家賃が高い理由は主に4つあります。

  1. 建設費が1.5~2倍かかる(防音構造のため)
  2. 特殊な設備費(防音ドア、二重窓、防振床など)
  3. 希少性(供給が少なく需要が多い)
  4. メンテナンス費(特殊設備の維持管理)

つまり、大家さんも最初から高額投資してるので、家賃が高くなるのは仕方ないんですよね。

初期費用の比較:防音賃貸 vs 一般賃貸+防音室
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「高い家賃払うくらいなら、安い普通の賃貸借りて防音室を買った方がいいんじゃない?」

そう思う人もいるでしょう。実際、どっちが得なのか計算してみました。

項目防音賃貸一般賃貸+防音室
敷金・礼金月額2~3ヶ月分月額1~2ヶ月分
防音室購入費なし80~400万円
設置工事費なし50~100万円
初年度総額200~300万円350~600万円

初期費用は防音賃貸の方が圧倒的に安いです。

居住年数別のおすすめ

  • 1~5年: 防音賃貸が断然お得(総コスト150万円安い)
  • 6~7年: ほぼ同じ
  • 8年以上: 一般賃貸+防音室の方が経済的

つまり、長く住む予定がないなら防音賃貸一択です。

防音賃貸の選び方・チェックポイント
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内見で絶対確認すべき5つのこと
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物件選びで失敗しないために、内見では必ずこれらをチェックしてください。

1. 実際の防音性能を体感する

カタログスペックだけじゃなくて、実際に音を出させてもらいましょう。できれば自分の楽器を持ち込んで試奏するのがベスト。

外から音がどう聞こえるか、家族や友人に確認してもらうのも重要です。

2. 防音室のサイズと使い勝手

  • 防音室の広さは十分か(1.5畳、2畳など)
  • 楽器を置いて演奏できるスペースがあるか
  • 譜面台や機材も置けるか
  • 天井高は十分か(特にピアノの場合)

カタログの「2畳」って、実際に見るとかなり狭く感じることもあります。必ず現物確認を。

3. 換気・空調設備

防音室は密閉性が高いので、換気がめちゃくちゃ重要です。

  • 専用換気扇はあるか
  • エアコンは付いているか(防音室専用が理想)
  • 夏場の暑さ対策は大丈夫か
  • 湿度管理はできるか(楽器保護のため)

実際、換気不足で夏場に熱中症寸前になったという話も聞きます。要注意ポイントです。

4. 搬入経路と床荷重

特に大型楽器を使う人は必須チェック。

  • グランドピアノが入る搬入経路があるか
  • エレベーターのサイズは十分か
  • 階段の幅や踊り場は大丈夫か
  • 床の耐荷重は十分か(グランドピアノは400kg以上)

せっかく契約したのに楽器が入らないとか、最悪すぎますからね。

5. 契約条件と使用ルール

  • 演奏可能な時間帯(24時間OKか、制限があるか)
  • 演奏できる楽器の種類
  • 音量制限はあるか
  • 退去時の原状回復範囲
  • 契約期間と更新条件

特に「24時間演奏可能」と書いてあっても、実際には「非常識な時間帯は避けて」みたいな暗黙のルールがあることも。しっかり確認しましょう。

立地選びのコツ
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音楽系学生の場合

学校までの距離が最重要です。大型楽器を毎日運ぶことを考えると、徒歩15分以内が理想。

時間価値も考慮すると、実は徒歩10~15分の「中距離」物件が最もコスパが良いというデータもあります。駅近すぎると家賃が跳ね上がるので。

社会人の場合

職場へのアクセスとのバランスですね。テレワーク中心なら、多少都心から離れても地方の物件を選ぶのもアリ。家賃も安くなりますし。

主な防音賃貸運営会社
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リブラン(業界最大手)
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  • 物件数: 37棟・約900戸
  • 待機者: 6,000人以上
  • 歴史: 35年の実績
  • 特徴: 業界No.1の認知度と信頼性、立地の良さ
  • 弱み: 競争率が非常に高い

ミュージション
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  • 物件数: 中堅規模
  • 特徴: 木造でD-80を実現する独自技術
  • 強み: 音楽特化型、専門性の高さ
  • 弱み: 物件数が限定的

その他の運営会社
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ソナーレ、東京建物など、複数の運営会社があります。それぞれ特色があるので、複数社を比較検討するのがおすすめです。

防音賃貸のメリット・デメリット
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メリット
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1. 時間を気にせず演奏できる

これが最大のメリット。仕事や学校の後、深夜でも早朝でも、好きな時に練習できるって最高じゃないですか。

2. 近隣トラブルの心配がほぼない

楽器可物件だと「音が気になる」という苦情が来ることもありますが、防音賃貸ならその心配はほぼゼロ。精神的にめちゃくちゃラクです。

3. 初期費用が安い

自分で防音室を買うより、圧倒的に初期費用を抑えられます。特に5年以内の居住なら経済的メリット大。

4. プロ仕様の環境

本格的な防音・音響環境で練習できるので、上達も早いかも。レコーディングや配信活動にも最適です。

デメリット
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1. 家賃が高い

これは避けられません。一般賃貸より月3~7万円高いです。

2. 物件の選択肢が少ない

特に地方だと、ほとんど選択肢がないことも。東京でさえ287件しかなく、常に満室状態です。

3. 立地が限られる

都心の好立地にあることは少なく、音楽大学周辺など特定エリアに集中しています。

4. 防音室が狭い

多くの防音賃貸の防音室は1.5~2畳程度。大型楽器や機材が多い人には手狭かもしれません。

入居までの流れと注意点
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1. 物件探し(余裕を持って)
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人気物件は入居待ち6ヶ月~1年も珍しくありません。特に音大周辺は激戦区。

引っ越し予定の半年~1年前から探し始めるのが理想です。

2. 内見予約
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防音賃貸は一般の賃貸サイトにあまり載っていないので、専門の運営会社に直接問い合わせましょう。

3. 入居審査
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一般的な賃貸より審査が厳しめです。

  • 収入証明(家賃の3倍以上の月収が目安)
  • 職業・勤務先情報
  • 連帯保証人(または保証会社利用)
  • 音楽活動の内容確認

音大生の場合、親御さんの収入証明が必要になることがほとんど。

4. 契約・初期費用の支払い
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  • 敷金: 2~3ヶ月分
  • 礼金: 1~2ヶ月分
  • 仲介手数料: 1ヶ月分
  • 前家賃: 1ヶ月分
  • 火災保険など

合計で家賃の5~7ヶ月分を初期費用として見込んでおきましょう。

5. 入居・利用開始
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入居後も、運営会社からの使用ルールをしっかり守ることが大切です。他の入居者もいるので、マナーは守りましょう。

よくある質問
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Q1: 本当に24時間演奏できるの?

物件によります。多くの防音賃貸は24時間OKですが、契約前に必ず確認を。また、「非常識な時間は避ける」という暗黙のマナーもあります。

Q2: 友人とバンド練習できる?

これも物件次第。複数人での利用がOKか、事前確認が必須です。人数制限がある場合も。

Q3: 配信活動に使える?

はい、むしろ配信者向けの需要が増えています。電源やネット環境も確認しておきましょう。

Q4: ペットも飼える?

防音性能とペット可は別問題です。ペット可物件かどうか別途確認が必要。

Q5: 途中で退去したい場合は?

一般的な賃貸と同じく、契約内容によります。2年契約が多いですが、中途解約の条件を確認しておきましょう。

まとめ:防音賃貸はこんな人におすすめ
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防音賃貸が向いている人はこんな感じです。

✅ 音大生や音楽の専門学校生 ✅ 楽器演奏を本格的に学びたい人 ✅ 配信活動をしている・始めたい人 ✅ プロの音楽家、音楽講師 ✅ 5年以内の居住を考えている人 ✅ 時間を気にせず演奏したい人

逆に、こんな人は一般賃貸+防音室の購入も検討してみてください。

❌ 8年以上同じ場所に住む予定 ❌ できるだけ家賃を抑えたい ❌ もっと広い防音空間が欲しい ❌ 自分好みにカスタマイズしたい


防音賃貸は確かに家賃は高いけど、「時間を気にせず演奏できる」という価値はお金に代えられません。

音楽活動を本気でやりたいなら、環境への投資は必要経費。あなたの音楽ライフが、理想の環境で充実したものになることを願っています!

物件探しは早めに動くのがコツ。気になったら、まずは問い合わせてみましょう。

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