防音室を買おうと思ったとき、一番悩むのがサイズ選びじゃないでしょうか。
「1.5畳で足りるかな?」「2畳は大きすぎる?」「1畳じゃ狭すぎる?」
この記事では、実際の使用感をふまえて、各サイズの最適解を解説します。
サイズ別スペック比較表#
まずは主要サイズの基本スペックを一覧で比較してみましょう。
基本スペック比較#
サイズ | 室内寸法 | 外寸(実際の必要スペース) | 価格帯 | 適した用途 | おすすめ度 |
---|---|---|---|---|---|
0.8畳 | 約80×80cm | 約1.2畳 | 6〜30万円 | 配信・通話 | ★★★☆☆ |
1畳 | 約90×180cm | 約1.8〜2畳 | 80〜120万円 | 弦楽器・配信 | ★★★☆☆ |
1.5畳 | 約120×180cm | 約2.5〜3畳 | 98〜130万円 | ピアノ・管楽器 | ★★★★★ |
2畳 | 約180×180cm | 約3.5〜4畳 | 130〜180万円 | ピアノ・声楽 | ★★★★☆ |
2.5畳 | 約150×240cm | 約4〜5畳 | 180〜220万円 | 管楽器・声楽 | ★★★☆☆ |
3畳以上 | カスタム | 5畳以上 | 250万円〜 | グランドピアノ・ドラム | ★★☆☆☆ |
重量・設置条件比較#
サイズ | 重量 | 床耐荷重 | 搬入難易度 | 組立時間 |
---|---|---|---|---|
0.8畳 | 約80〜120kg | 問題なし | ★☆☆☆☆ | 1〜2時間 |
1畳 | 約400〜500kg | 要確認 | ★★☆☆☆ | 2〜3時間 |
1.5畳 | 約500〜700kg | 要確認 | ★★★☆☆ | 3〜4時間 |
2畳 | 約700〜1,000kg | 要補強検討 | ★★★★☆ | 4〜5時間 |
2.5畳 | 約900〜1,200kg | 補強推奨 | ★★★★★ | 5〜6時間 |
3畳以上 | 1,000kg以上 | 補強必須 | ★★★★★ | 1日〜 |
0.8畳:超コンパクト型#
代表製品#
メーカー | 製品名 | 価格 | 遮音性能 | 特徴 |
---|---|---|---|---|
ヤマハ | だんぼっち | 6〜15万円 | 簡易 | 配信者に大人気 |
東京防音 | Okudake DESK | 12万円 | D-30程度 | デスクと一体型 |
こんな人に最適#
配信者・YouTuber・VTuber
- マイク収録がメイン
- 長時間座って作業
- とにかく安く防音したい
テレワーカー
- Web会議用
- 集中作業スペース
- 家族の生活音をカット
メリット#
- 圧倒的な低価格:10万円前後で購入可能
- 設置が超簡単:1〜2時間で組み立て完了
- 省スペース:ワンルームでも設置できる
- 移動が楽:引っ越し時も持っていける
デメリット#
- 楽器演奏は厳しい:本格的な防音性能はない
- 狭い:立ち上がったり動き回るのは無理
- 圧迫感:閉所が苦手な人はキツイ
- 換気が悪い:夏場は暑い
実際の使用感#
「配信には十分。でも楽器は無理だね」
だんぼっちは配信者界隈では定番アイテムです。声の反響が抑えられて、マイク音質が格段に良くなります。
ただし、あくまで「簡易防音」なので、楽器演奏や大声を出す用途には向きません。
1畳:コンパクト型#
代表製品#
メーカー | 製品名 | 価格 | 遮音性能 | 適した楽器 |
---|---|---|---|---|
ヤマハ | セフィーネNS 1畳 | 80〜120万円 | Dr-40 | バイオリン、フルート |
カワイ | ナサール 1畳 | 75〜110万円 | Dr-40 | 弦楽器、小型管楽器 |
こんな人に最適#
弦楽器奏者
- バイオリン
- ビオラ
- マンドリン
小型管楽器
- フルート
- クラリネット(小音量)
- リコーダー
一人暮らしで部屋が狭い
- 6畳ワンルーム
- 最低限の防音が欲しい
- 予算を抑えたい
メリット#
- 省スペース:6畳部屋でも設置可能
- 比較的安い:1.5畳より20万円ほど安い
- 本格的な防音性能:Dr-40で近隣配慮OK
- 設置が比較的楽:搬入・組立がまだ容易
デメリット#
- ピアノは厳しい:椅子を引くスペースがギリギリ
- 圧迫感がある:楽譜立てを置くと窮屈
- 楽器ケースが置けない:室内に収納スペースなし
- 立って演奏が窮屈:管楽器は姿勢が制限される
実際の使用感#
「バイオリンならギリOK。でもピアノは無理」
1畳サイズは本当に最低限の広さです。座って演奏する弦楽器なら問題ありませんが、ピアノは椅子を引くだけで精一杯。
立って演奏する管楽器も、体を動かす余裕がほとんどありません。
1.5畳:最もバランスが良い【おすすめ】#
代表製品#
メーカー | 製品名 | 価格 | 遮音性能 | 適した楽器 |
---|---|---|---|---|
ヤマハ | セフィーネNS 1.5畳 | 110万円〜 | Dr-40 | ピアノ、弦楽器、管楽器 |
カワイ | ナサール 1.5畳 | 98万円〜 | Dr-40 | ピアノ、弦楽器、管楽器 |
ナガワ | SOUND ROOM小型 | 80〜120万円 | D-45〜50 | 業務用途にも |
こんな人に最適#
ピアノ演奏者
- アップライトピアノ
- 電子ピアノ
- 毎日練習したい
管楽器(小〜中型)
- フルート
- クラリネット
- サックス(アルト)
弦楽器全般
- バイオリン
- ビオラ
- チェロ
バランス重視派
- 価格と広さの良いとこ取り
- 迷ったらコレ
メリット#
- 万能サイズ:ほとんどの楽器に対応
- コスパ最強:価格と性能のバランス◎
- 圧迫感が少ない:適度な余裕がある
- 人気No.1:売れ筋で実績豊富
- 中古も豊富:需要が多いので中古も探しやすい
デメリット#
- グランドピアノは無理:アップライト限定
- トランペットは狭い:大型管楽器は厳しい
- 複数人は無理:二重奏は難しい
- 部屋の3畳は占有:外寸で約3畳必要
実際の使用感#
「ピアノも弦も管も、だいたいイケる万能サイズ」
防音室選びで迷ったら、まず1.5畳を検討すべきです。
ピアノ椅子を引いても余裕があり、管楽器も立って演奏できます。楽譜や楽器ケースを置くスペースも確保できて、実用性が高いです。
価格も100万円前後と、頑張れば手が届く範囲。コスパで選ぶならカワイのナサール(98万円〜)が最強です。
2畳:ゆったり快適型#
代表製品#
メーカー | 製品名 | 価格 | 遮音性能 | 適した楽器 |
---|---|---|---|---|
ヤマハ | セフィーネNS 2畳 | 130万円〜 | Dr-40 | ピアノ、管楽器、声楽 |
カワイ | ナサール 2畳 | 120万円〜 | Dr-40 | ピアノ、管楽器、声楽 |
ヤマハ | アビテックスAMC | 150万円〜 | Dr-40〜45 | プロ仕様 |
こんな人に最適#
- ピアノをゆったり弾きたい
- 大きく動く曲を弾く
- 楽譜を広げたい
- 長時間練習する
- 管楽器(大型)
- トランペット
- トロンボーン
- サックス(テナー・バリトン)
- 声楽・歌
- 発声練習
- オペラ・合唱
- 体を動かす
- 複数楽器を置きたい
- ギター+アンプ
- キーボード複数台
- DTM機材が多い
メリット#
- ゆとりの広さ:動き回っても余裕
- 圧迫感ゼロ:閉塞感がほとんどない
- 収納も確保:楽器ケース・楽譜棚を置ける
- 長時間快適:疲れにくい
- 複数楽器OK:楽器を複数設置可能
デメリット#
- 価格が高い:1.5畳より30万円高い
- 設置スペース大:外寸で4畳必要
- 重い:床補強を検討すべき
- 搬入が大変:解体搬入になる場合も
- オーバースペックも:用途によっては広すぎ
実際の使用感#
「快適すぎてもう1.5畳には戻れない」
2畳の最大のメリットは「ストレスフリー」です。
1.5畳だと「ちょっと狭いかな」と感じる瞬間がありますが、2畳なら余裕。楽譜を広げたり、楽器ケースを開けたまま置いたり、自由度が高いです。
ただし、価格差が30万円あるので、予算とスペースに余裕があるならという感じですね。
2.5畳〜3畳:プレミアム型#
代表製品#
メーカー | 製品名 | 価格 | 遮音性能 | 適した用途 |
---|---|---|---|---|
ヤマハ | セフィーネNS 2.5畳 | 180万円〜 | Dr-40 | 声楽、大型管楽器 |
ヤマハ | アビテックス AFE | 200〜350万円 | Dr-40〜50 | カスタム仕様 |
ヤマハ | アビテックス大型 | 300〜500万円 | D-50〜60 | グランドピアノ |
こんな人に最適#
グランドピアノ
- 本格的なクラシックピアノ
- 音楽大学の学生
- プロピアニスト
音楽教室を開きたい
- 先生と生徒で使用
- レッスン室として
- 複数人での合奏
本格的な声楽
- オペラ歌手
- 合唱団員
- 音大声楽科
プロ・セミプロ
- 録音・配信が仕事
- 最高の音響環境が必要
- 予算に余裕がある
メリット#
- 最高の快適性:広々とした空間
- プロ仕様:音響環境も調整可能
- 複数人対応:レッスンや合奏も
- グランドピアノOK:大型楽器も設置可能
- ステータス:所有満足度が高い
デメリット#
- 価格が非常に高い:200万円以上
- 巨大スペース必要:5畳以上占有
- 搬入困難:クレーン作業が必要な場合も
- 床補強必須:重量が1トン超え
- 賃貸では無理:持ち家前提
実際の使用感#
「音楽を生業にするならこのクラス」
このサイズは完全にプロ・セミプロ向けです。
音楽教室を開いたり、グランドピアノを置いたり、本格的に音楽で食べていく人の選択肢。趣味レベルならオーバースペックですね。
サイズ選びの決定版チャート#
予算別おすすめサイズ#
予算 | おすすめサイズ | 理由 | 主な用途 |
---|---|---|---|
10万円前後 | 0.8畳 | 配信・通話専用なら十分 | 配信、テレワーク |
〜100万円 | 1畳 or 1.5畳 | 弦楽器なら1畳、ピアノなら無理して1.5畳 | 弦楽器、小型管楽器 |
100〜150万円 | 1.5畳 | 最もバランスが良い。迷ったらコレ | ピアノ、管楽器全般 |
150〜200万円 | 2畳 | ゆとり重視。長時間快適に使える | ピアノ、声楽、大型管楽器 |
200万円以上 | 2.5畳〜 | プロ仕様。仕事で使うレベル | グランドピアノ、音楽教室 |
楽器別おすすめサイズ#
楽器 | 最小サイズ | 推奨サイズ | 理想サイズ | 理由 |
---|---|---|---|---|
バイオリン | 1畳 | 1.5畳 | 2畳 | 座って演奏するので省スペース |
チェロ | 1.5畳 | 1.5畳 | 2畳 | 楽器が大きいので最低1.5畳 |
フルート | 1畳 | 1.5畳 | 2畳 | 立奏なら1.5畳は欲しい |
クラリネット | 1畳 | 1.5畳 | 2畳 | 楽器の組立スペース考慮 |
サックス | 1.5畳 | 2畳 | 2.5畳 | 大音量なので広めが快適 |
トランペット | 1.5畳 | 2畳 | 2.5畳 | 大きく動くので広さ必須 |
アップライトピアノ | 1.5畳 | 1.5畳 | 2畳 | 1.5畳でギリギリOK |
グランドピアノ | 3畳 | 3畳〜 | カスタム | 小型でも3畳は必要 |
ドラム | - | - | カスタム | ユニット型では厳しい |
ギター+アンプ | 1.5畳 | 2畳 | 2畳 | 機材が多いので広めが良い |
DTM制作 | 1畳 | 1.5畳 | 2畳 | 機材量による |
歌・声楽 | 1.5畳 | 2畳 | 2.5畳 | 体を動かすので広さ重要 |
部屋の広さ別おすすめサイズ#
設置する部屋 | おすすめサイズ | 残りスペース | 生活への影響 |
---|---|---|---|
6畳ワンルーム | 0.8〜1畳 | 4〜5畳 | かなり圧迫される |
8畳ワンルーム | 1〜1.5畳 | 5〜6畳 | やや圧迫感あり |
10畳1K | 1.5〜2畳 | 6〜7畳 | 生活に支障なし |
12畳リビング | 2〜2.5畳 | 8〜9畳 | 余裕あり |
15畳以上 | 2.5畳〜 | 10畳以上 | 快適 |
用途別おすすめサイズ#
用途 | おすすめサイズ | 重視ポイント | 予算目安 |
---|---|---|---|
配信・実況 | 0.8畳 | コスパ、設置簡単 | 10万円 |
テレワーク | 0.8〜1畳 | 集中環境、省スペース | 10〜80万円 |
趣味の楽器練習 | 1.5畳 | バランス、コスパ | 100万円 |
本格的な楽器練習 | 2畳 | 快適性、長時間使用 | 130〜180万円 |
音楽教室 | 2.5畳〜 | 複数人対応 | 200万円〜 |
プロ演奏家 | 3畳〜 | 最高の環境 | 300万円〜 |
録音・配信業 | 1.5〜2.5畳 | 音質、機材設置 | 100〜250万円 |
よくある失敗パターン#
実際に防音室を買った人の失敗例から学びましょう。
失敗1:「安いから」と1畳を選んだ#
ケース
- ピアノ練習用に1畳を購入
- 20万円の価格差をケチった
結果
- 椅子を引くのが窮屈
- 楽譜を広げられない
- 結局1.5畳に買い替え
教訓 ピアノは最低1.5畳。価格差20万円は大きいけど、後悔する方が損です。
失敗2:「広い方がいい」と2畳を選んだ#
ケース
- 弦楽器用に2畳を購入
- 余裕を持たせたかった
結果
- 部屋が狭くなりすぎた
- 冷暖房の効きが悪い
- 1.5畳で十分だった
教訓 広ければいいってもんじゃない。用途に合ったサイズを選ぶのが正解。
失敗3:外寸を考えずに購入#
ケース
- カタログで「2畳」を確認
- 部屋の3畳スペースに設置計画
結果
- 実際は外寸で4畳必要
- 搬入できず返品・キャンセル料発生
教訓 必ず「外寸」を確認。室内寸法より1〜2畳大きいのが普通です。
失敗4:換気・空調を考えなかった#
ケース
- 1.5畳の防音室を購入
- エアコンなしで使用
結果
- 夏場は40℃超え
- 30分で汗だく、使えない
- 後付けでエアコン工事(追加30万円)
教訓 換気・空調は必須。購入時に一緒に検討すべきです。
賃貸での設置注意点#
賃貸物件に防音室を設置する場合の注意事項です。
必ず確認すべきこと#
確認項目 | 確認方法 | 失敗例 |
---|---|---|
設置許可 | 大家・管理会社に書面で確認 | 無断設置で契約違反 |
床の耐荷重 | 築年数・構造を確認 | 床が沈んで賠償請求 |
搬入経路 | ドア幅・廊下・エレベーター測定 | 搬入不可で返品費用発生 |
原状回復 | 退去時の条件を明文化 | 撤去費用50万円請求された |
騒音基準 | 契約書の楽器演奏条項確認 | 防音室でも苦情がきた |
賃貸向けおすすめサイズ#
- ワンルーム・1K:0.8〜1畳まで
- 1LDK・2DK:1〜1.5畳まで
- 2LDK以上:1.5〜2畳まで
賃貸では「引っ越す可能性」を考えて、あまり大きすぎないサイズがおすすめです。
購入前の最終チェックリスト#
契約する前に、このチェックリストを確認しましょう。
設置環境チェック#
- 外寸で設置スペースが確保できる
- 搬入経路(玄関・廊下・エレベーター)がクリア
- 床の耐荷重が十分(木造2階は要注意)
- 電源コンセントが近くにある
- 換気・空調設備を設置できる
- 賃貸の場合、大家の許可を書面で取得
用途・サイズチェック#
- 演奏する楽器に必要なサイズを満たしている
- 楽譜・楽器ケースを置くスペースがある
- 立って演奏する場合、動けるスペースがある
- 長時間いても圧迫感がない
- 将来的に他の楽器を置く可能性を考慮
予算・契約チェック#
- 本体価格だけでなく、設置費用も確認
- 換気・空調設備の追加費用を計算
- 搬入費用・組立費用を確認
- 保証内容・期間を確認
- 中古・レンタルとも比較検討した
まとめ:サイズ選びの結論#
最後に、サイズ選びの結論をまとめます。
【迷ったらコレ】1.5畳が正解#
防音室選びで迷ったら、1.5畳を選べば間違いありません。
理由
- ピアノ・管楽器・弦楽器すべてに対応
- 価格も100万円前後でギリ手が届く
- 圧迫感と余裕のバランスが良い
- 売れ筋No.1で実績が豊富
- 中古市場も活発で売りやすい
予算で選ぶなら#
- 10万円:だんぼっち(配信・通話専用)
- 100万円:カワイ ナサール 1.5畳(コスパ最強)
- 150万円:ヤマハ セフィーネNS 2畳(ゆったり快適)
- 200万円以上:プロ仕様(仕事で使うなら)
楽器で選ぶなら#
- 弦楽器:1畳でもOK、1.5畳が理想
- ピアノ:1.5畳必須、2畳あれば快適
- 管楽器(小型):1.5畳で十分
- 管楽器(大型):2畳推奨
- 声楽・歌:2畳以上
- グランドピアノ:3畳以上
最終アドバイス#
防音室は高い買い物なので、ショールームで実物を見るのが必須です。カタログの数字だけじゃわからない「体感の広さ」「圧迫感」を、必ず自分の体で確認してください。
1.5畳と2畳で迷ったら、両方入ってみて「この差に30万円払う価値があるか?」を考えましょう。理想のサイズを見つけて、思いっきり音楽を楽しんでください!