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ベーストラップ導入ガイド|低音こもりの改善術

·3250 文字·7 分
防音の実用ガイド ベーストラップ 低音 音響補正 吸音 防音室
sasisi344
著者
sasisi344
外の音が気になったりマイクの音質とかを気にするようになったので、防音に関する総合的な情報を集めているうちに、このサイトが生まれました。
目次

防音室を作ったけど、「低音がこもっている」「ベースが濁っている」と感じたことはありませんか?

その原因は、低音域(60Hz以下)が適切に吸収されていないからです。通常の吸音材では低音を十分に制御できないため、**ベーストラップ(低音トラップ)**という特殊な吸音装置が必要になります。

この記事では、ベーストラップの仕組み、最適な配置方法、導入効果を詳しく解説します。

ベーストラップとは
#

低音吸収の仕組みをご紹介します。

ベーストラップの役割
#

ベーストラップ = 低音域(20Hz~200Hz)を専門に吸収する装置

周波数帯従来の吸音材ベーストラップ
20~60Hz(低音)△(効果限定)◎◎◎(高効果)
60~500Hz(中低音)
500Hz~(中高音)◎◎△(不要)

なぜ低音は難しいのか

  • 波長が長い(60Hzで約5.7m)
  • 通常の吸音材では厚さ不足
  • コーナーに音が溜まりやすい

低音こもりの実害
#

音質への影響

症状原因結果
ベースが濁っている低音定在波が重複音の解像度低下
低音がボワボワ特定周波数の強調バランス崩壊
キックが不鮮明低音の混濁リズム感喪失

ビジネスへの影響

  • 音楽制作の品質低下
  • 配信音声の質感低下
  • リスナー満足度低減

ベーストラップの種類と特性
#

導入可能なベーストラップをご紹介します。

タイプ①:コーナー設置型(最一般的)
#

構成

  • 大型吸音材(200L以上)
  • 内部にロックウール・グラスウール
  • 外部にファブリック(通気性)

寸法の目安

サイズ寸法吸収周波数
S60cm立方体80Hz~
M90cm立方体60Hz~
L120cm立方体40Hz~

特徴

  • コーナーに配置(定在波対策)
  • 複数個配置で効果UP
  • 比較的安価

費用:1個¥3万~8万


タイプ②:壁面設置型(薄型)
#

特徴

  • 壁に沿って設置
  • 厚さ15~30cm(省スペース)
  • 低音吸収はコーナー型より劣る

メリット

  • スペース効率が良い
  • 見た目がすっきり
  • 移動が容易

デメリット

  • 低音吸収効果が限定的
  • 広い面積が必要
  • 初期投資増加

費用:1㎡あたり¥2万~4万


タイプ③:Helmholtz共鳴器型(DIY)
#

特徴

  • 空洞を利用した低音吸収
  • 自分で制作可能
  • 非常に経済的

構造

【Helmholtz共鳴器】

┌─────────────┐
│  空洞部分   │
│  600L程度   │
│             │
│  ┌─────┐   │
│  │  穴 │   │
│  │ 直径│   │
│  │ 8cm│   │
│  └─────┘   │
└─────────────┘

穴のサイズで吸収周波数が決定

費用:1個¥5,000~15,000(材料費)

メリット

  • 最も安い
  • カスタマイズ可能
  • 学習効果あり

デメリット

  • 制作に手間
  • 精度が重要
  • 効果にばらつき

ベーストラップの最適配置
#

効果的な配置方法をご紹介します。

配置方法①:四隅コーナー配置(推奨)
#

配置図

【俯瞰図】

┌─────────────┐
│ BT   +   BT │  ← BT = ベーストラップ
│             │
│      M      │  ← M = マイク位置
│             │
│ BT   +   BT │
└─────────────┘

メリット

  • 定在波を効果的に制御
  • 周波数バランスが取れる
  • 標準的な対策

配置数

  • 小さい部屋(8㎡以下):4個
  • 中程度(8~16㎡):6~8個
  • 大きい部屋(16㎡以上):8個以上

配置方法②:背面壁配置(補助的)
#

配置

  • 背面の壁全体に薄型トラップを配置
  • 高さ:床から150cm~天井

メリット

  • 低音反射を制御
  • 背後からの音を吸収

デメリット

  • コーナー配置より効果限定
  • スペース消費が多い

配置方法③:天井配置(オプション)
#

配置

  • 天井角(4箇所)に小型トラップ
  • または天井面全体に分散配置

効果

  • 頭上からの反射音制御
  • 音の浮遊感を低減

デメリット

  • 設置工事が複雑
  • 落下のリスク

ベーストラップ導入の効果測定
#

導入前後での変化をご紹介します。

測定方法①:周波数特性測定(REW使用)
#

測定ソフト:REW(無料)

測定手順

  1. 低音トラップ設置前に測定
  2. スウィープ信号を再生
  3. マイクで受信、グラフ化
  4. 周波数別の音圧レベルを確認
  5. 設置後に再測定し比較

効果の目安

周波数帯設置前設置後改善度
40Hz105dB95dB-10dB
60Hz100dB90dB-10dB
80Hz98dB85dB-13dB
100Hz95dB88dB-7dB

結果の解釈

  • 改善度5dB以上:効果あり
  • 改善度10dB以上:大きな改善
  • 周波数ごとに効果にばらつきあり

測定方法②:聴感テスト(主観評価)
#

チェック項目

  • ベースが明確になったか
  • 低音がすっきりしたか
  • 全体的にクリアになったか
  • 悪い周波数特性は改善したか

A/Bテスト

  • 設置前の音源を保存
  • 設置後と比較再生
  • 違いを実感

ベーストラップ導入の総費用
#

実装に必要な投資額です。

コーナー設置型の場合
#

基本セット(4個コーナー)

項目費用
M型ベーストラップ¥6万×4個 = ¥24万
設置用スタンド¥1万×4個 = ¥4万
合計¥28万

フル装備(8個配置)

項目費用
M型ベーストラップ¥6万×8個 = ¥48万
設置用スタンド¥1万×8個 = ¥8万
合計¥56万

薄型壁面設置型の場合
#

壁面カバー(20㎡)

項目費用
薄型ベーストラップ¥3万/㎡×20㎡ = ¥60万
設置工事¥5万~10万
合計¥65万~70万

DIY製作の場合
#

Helmholtz共鳴器×4個

項目費用
材料費(木材、吸音材)¥15,000×4個 = ¥60,000
工具レンタル¥3,000
合計¥63,000

ベーストラップの実装事例
#

実際の導入ケースをご紹介します。

事例①:DTM制作スタジオ(個人)
#

状況

  • 部屋の大きさ:10㎡
  • 問題:60Hzが強調されている
  • 用途:楽曲制作

導入内容

  • M型ベーストラップ×4個(コーナー配置)
  • 設置期間:1日

費用:¥28万

効果

  • 60Hzの音圧:100dB→90dB(-10dB)
  • ベースの濁りが解消
  • 聴き比べで大きな改善を実感

利用者の評価

「低音がすっきりした。ミックスの精度が向上した」


事例②:音楽制作・配信スタジオ(法人)
#

状況

  • 部屋の大きさ:20㎡
  • 問題:複数周波数が共鳴
  • 用途:ボーカル、楽器録音

導入内容

  • L型ベーストラップ×8個(全コーナー+壁)
  • 薄型トラップ×12㎡(背面壁)
  • 設置期間:1週間

費用:¥80万

効果

  • 全周波数で改善
  • RT60が均一化
  • プロレベルの音響環境実現

利用者の評価

「施設の音響レベルが劇的に向上した。クライアント満足度が上がった」


事例③:ホームスタジオ(教育用)
#

状況

  • 部屋の大きさ:12㎡
  • 問題:基本的な低音制御がない
  • 用途:オンラインレッスン

導入内容

  • DIY Helmholtz共鳴器×4個
  • 自分で制作・設置
  • 設置期間:3日

費用:¥6.3万

効果

  • 実装の学習になった
  • 基本的な低音制御は実現
  • 専門型には及ばないが実用的

利用者の評価

「コスト重視の選択だったが、効果は十分」

ベーストラップ導入のチェックリスト
#

実装前の確認事項です。

購入前チェック
#

  • 部屋の大きさを測定した
  • 低音の問題を特定した(何Hz?)
  • 予算を決定した
  • 設置スペースを確認した
  • 複数メーカーの見積もりを取得した

設置前チェック
#

  • 設置位置を決定した
  • 配置図を作成した
  • 設置工事の段取りをした
  • 必要な工具を確認した
  • 設置前の音源を記録した

設置後チェック
#

  • 効果を測定した(REWで周波数測定)
  • 聴感テストを実施した
  • 問題周波数の改善を確認した
  • 微調整が必要かチェック
  • 必要に応じて追加設置を検討

ベーストラップの選定ポイント
#

購入時の判断基準です。

判定①:コーナー型 vs 薄型
#

コーナー型を選ぶべき場合

  • 低音制御が最優先
  • スペースに余裕がある
  • 予算がある程度ある

薄型を選ぶべき場合

  • スペースが限定的
  • 見た目を重視
  • 低中音域の制御でよい

判定②:購入 vs DIY
#

購入を選ぶべき場合

  • 時間がない
  • 精度を重視
  • すぐに効果が欲しい

DIYを選ぶべき場合

  • 勉強したい
  • 予算を最小化したい
  • カスタマイズしたい

まとめ:ベーストラップは「低音制御の必須アイテム」
#

重要ポイント

  • ✓ 低音こもりは定在波が原因
  • ✓ 通常の吸音材では対応不可
  • ✓ コーナー配置が最も効果的
  • ✓ 4個で基本的な制御、8個で高度な制御
  • ✓ 効果は測定で実証可能

導入が向いている人

  • 音楽制作者(ミックス精度向上)
  • 配信・配信者(音質向上)
  • 音響に興味がある人

導入が不要な人

  • 短時間利用のみ
  • 低音制御にこだわらない
  • 予算が限定的

ベーストラップの導入は、防音室の音響環境を劇的に改善します。

低音のこもりにお悩みでしたら、導入を強くお勧めします。

計画的にベーストラップを選定・設置して、プロレベルの低音制御を実現しましょう。

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