メインコンテンツへスキップ
  1. すべての記事/

ASMR向け防音室ガイド|無音レベルを実現する方法

·5038 文字·11 分
配信・クリエイター向け ASMR 無音 防音室 高品質録音
sasisi344
著者
sasisi344
外の音が気になったりマイクの音質とかを気にするようになったので、防音に関する総合的な情報を集めているうちに、このサイトが生まれました。
目次

ASMRコンテンツを作りたいけど、生活音や環境音が入ってしまって困っていませんか?

ASMR配信・収録では、他のジャンルとは違う「極限の静寂さ」が求められます。わずかな環境音も、繊細な音を邪魔してしまうからです。

この記事では、ASMR制作に必要な防音環境の作り方を、初心者からプロレベルまで段階的に解説します。

ASMRに必要な「静寂レベル」とは
#

まず、ASMRに必要な静寂性がどれほどのものか理解しましょう。

一般的な配信とASMRの違い
#

通常の配信では「声が漏れない」ことが重要ですが、ASMRでは「外の音が入らない」ことが重要です。

一般的な配信

  • 目的:声・音を外に漏らさない
  • 必要性能:D-45〜55程度
  • 対策:音を遮断する(遮音)

ASMR配信・収録

  • 目的:外の音を入れない+微細な音を拾う
  • 必要性能:D-60以上(理想はD-70以上)
  • 対策:音を遮断+反響を抑える(遮音+吸音)

つまり、ASMRは通常の配信より1ランク以上高い防音性能が必要なのです。

ASMRジャンル別の必要静寂レベル
#

ASMRにも種類があり、必要な静寂レベルは異なります。

ASMRタイプ必要D値静寂性具体例
囁き声・トークD-55〜60ささやきASMR、ロールプレイ
タッピング・スクラッチD-60〜65超高様々な素材をタッピング
イヤークリーニングD-65〜70超高綿棒・ブラシ音
環境音・自然音D-60〜70超高雨音、焚き火音など
咀嚼音D-60〜65食べ物を食べる音
バイノーラル収録D-70以上最高3Dマイクでの立体音響

バイノーラル収録のような高品質ASMRでは、無響室に近い環境が理想です。

避けるべき環境音
#

ASMR収録で特に問題になる音を知っておきましょう。

室外からの音

  • 交通音(車、電車、飛行機)
  • 人の話し声・足音
  • 工事音
  • 動物の鳴き声
  • 風の音

室内の音

  • エアコン・換気扇のファン音
  • PCのファン音
  • 冷蔵庫のコンプレッサー音
  • 時計の秒針音
  • 蛍光灯のノイズ
  • 自分の呼吸音・衣擦れ音

これらを徹底的に排除する必要があります。

ASMR向け防音対策:4つのレベル
#

予算と目指すクオリティに合わせて、4段階のレベルを紹介します。

レベル1:入門対策(予算5〜15万円)
#

向いている人

  • ASMRを始めたばかり
  • 趣味レベルの収録
  • まずは試してみたい

対策内容

だんぼっち(6〜15万円)

  • 簡易的な防音ブース
  • 防音性能は限定的
  • 短時間収録向き

追加対策

  • 防音カーテン厚手タイプ(15,000円)
  • 吸音パネル8枚セット(15,000円)
  • 防音マット(20,000円)
  • 隙間テープ(3,000円)

環境整備

  • PCは収録ブースの外に出す
  • エアコンは収録中OFF
  • 深夜の静かな時間帯に収録

期待できる静寂レベル

  • 外部騒音:10〜20dB軽減
  • 室内機材音:配置で対応
  • 品質:入門〜初級レベル

メリット

  • 低予算で始められる
  • 賃貸でも設置可能
  • ASMRの雰囲気は出せる

デメリット

  • 本格的な静寂は難しい
  • 環境音が入りやすい
  • 長時間収録は厳しい
  • 時間帯が限定される

レベル2:中級対策(予算50〜100万円)
#

向いている人

  • 定期的に投稿している
  • 収益化できている
  • 品質を上げたい

対策内容

簡易防音室+強化(50〜80万円)

  • 海外製高性能ブース(30〜50万円)
  • 内部に吸音材を追加貼り(10〜15万円)
  • 換気・空調設備改善(10〜15万円)

または

ユニット型防音室 小型(80〜120万円)

  • ヤマハ セフィーネNS 1.5畳
  • カワイ ナサール 1.5畳
  • 防音性能:Dr-40

追加投資

  • 高品質マイク(30,000〜100,000円)
  • オーディオインターフェース(20,000〜50,000円)
  • 吸音材追加(30,000円)
  • 防振マット(10,000円)

環境管理

  • 温湿度計設置
  • 小型除湿器
  • 静音サーキュレーター
  • LED照明(ノイズレス)

期待できる静寂レベル

  • 外部騒音:20〜30dB軽減
  • 室内反響:大幅改善
  • 品質:中級〜中上級レベル

メリット

  • かなり静かな環境
  • 時間帯の制約が減る
  • 音質が向上
  • 長時間収録も可能

デメリット

  • それなりの初期投資
  • 設置スペース必要
  • 完全な静寂ではない
  • 深夜は環境音が入る場合も

レベル3:上級対策(予算150〜300万円)
#

向いている人

  • ASMRが主な収入源
  • プロレベルの品質を目指す
  • バイノーラル収録もする

対策内容

ユニット型防音室 高性能(150〜250万円)

  • ヤマハ セフィーネNS 2畳以上
  • 防音性能:Dr-40
  • 内部カスタマイズ

または

現場施工型 部分改修(200〜300万円)

  • 1室を完全防音化
  • 防音性能:D-60〜65
  • 吸音・音響設計込み

音響環境の徹底整備

  • 全面吸音パネル(100,000円)
  • バスラップ(低音対策)(50,000円)
  • ディフューザー(音響調整)(80,000円)
  • 無響室に近い環境づくり

機材の完全防音化

  • PCは完全に別室
  • 防音ボックス内設置
  • 無音冷却システム
  • バッテリー駆動の機材優先

期待できる静寂レベル

  • 外部騒音:30〜40dB軽減
  • 室内機材音:ほぼゼロ
  • 品質:プロレベル

メリット

  • 24時間いつでも収録可能
  • 極めて高い静寂性
  • プロ品質の音質
  • バイノーラル収録もOK

デメリット

  • 高額な投資
  • 持ち家推奨
  • 専門知識必要
  • 維持費もかかる

レベル4:プロ仕様(予算500万円以上)
#

向いている人

  • ASMR専門スタジオ
  • 企業・法人
  • 最高品質を追求

対策内容

完全防音スタジオ施工(500万円〜)

  • 浮床・浮壁・浮天井構造
  • 防音性能:D-70〜75
  • 無響室仕様
  • 完全な空調・換気システム

プロ仕様音響設計

  • 音響コンサルタント監修
  • 残響時間の精密調整
  • 周波数特性の最適化
  • 防振床の徹底施工

最高級機材環境

  • バイノーラルマイク(500,000円〜)
  • プロ用オーディオIF(200,000円〜)
  • 無音PC・冷却システム
  • スタジオモニター

期待できる静寂レベル

  • 外部騒音:40dB以上軽減
  • NC-15〜20(無響室レベル)
  • 品質:業界最高レベル

メリット

  • 完璧な静寂環境
  • あらゆるASMR収録可能
  • 商業レベルの品質
  • 資産価値あり

デメリット

  • 非常に高額
  • 持ち家限定
  • 専門業者必須
  • 個人には過剰

静寂環境を作る具体的テクニック
#

防音室を導入したら、さらに静寂性を高める工夫をしましょう。

吸音材の戦略的配置
#

ASMRでは、遮音だけでなく吸音が非常に重要です。

吸音材の配置優先順位

1. 正面の壁(最優先)

  • マイクが向いている壁
  • 音の反射を最小限に
  • 厚さ50mm以上推奨

2. 天井

  • 上からの反響を抑える
  • 特に囁き声ASMRで重要
  • 軽量な吸音材を選択

3. 背面の壁

  • 後ろからの反響対策
  • マイクが拾う残響を減らす

4. 左右の壁

  • 音の広がりをコントロール
  • バイノーラル収録では特に重要

5. コーナー部分

  • 低音がこもりやすい
  • バストラップで対策

吸音材の種類と特性

素材吸音性価格見た目おすすめ度
ウレタンスポンジ★★★★☆
グラスウール◎◎★★★★★
布製パネル★★★★☆
木製ディフューザー◎◎★★★☆☆
吸音カーテン★★★☆☆

理想的な吸音率

  • 中高音域:80〜90%吸音
  • 低音域:60〜70%吸音
  • 残響時間:0.2〜0.3秒

機材の無音化徹底
#

ASMR収録では、わずかな機材音も許されません。

PC・録音機材の対策

①PCは別室に設置

  • 最も効果的な方法
  • HDMIケーブル・USBケーブルで延長
  • 10m程度の延長が可能

②防音ボックスに格納

  • PCを防音ボックス内に
  • 冷却との両立が課題
  • 市販品または自作

③ノートPC + バッテリー駆動

  • ファンレスノートPC
  • バッテリーで駆動(電源ノイズなし)
  • ただし性能は限定的

④フィールドレコーダー使用

  • ZOOM、TASCAM等
  • PC不要で収録
  • 後からPCで編集

空調・換気の対策

収録時は完全停止

  • エアコンOFF
  • 換気扇OFF
  • すべての音源を停止

収録前後の換気徹底

  • 収録前:10分間換気
  • 収録後:15分間換気
  • 温湿度を適正範囲に

夏場・冬場の工夫

  • 収録前に部屋を冷やす/温める
  • 収録中は空調停止
  • 短時間収録を複数回に分ける
  • サーマルウェアで体温調整

その他の音源対策

  • 照明:LED化(ノイズレス)
  • 時計:アナログ時計は撤去
  • 冷蔵庫音:別の部屋か電源OFF
  • スマホ:機内モード+電源OFF
  • エレベーター:避けられない場合は時間帯調整

マイク・録音技術
#

静寂環境を活かすには、マイク選びと録音技術も重要です。

ASMR向けマイクの選択

コンデンサーマイク(標準)

  • 感度が高く繊細な音を拾える
  • 環境音も拾いやすい(防音必須)
  • 価格:30,000〜100,000円

バイノーラルマイク(上級)

  • 3D音響の収録が可能
  • 高い臨場感
  • 価格:80,000〜500,000円以上

おすすめマイク

  • Blue Yeti(入門):15,000円前後
  • Audio-Technica AT2020(定番):10,000円
  • RODE NT1-A(中級):30,000円
  • Neumann U87(プロ):400,000円以上
  • 3Dio Free Space Pro(バイノーラル):500,000円

録音時の注意点

ゲイン設定

  • 高感度に設定
  • ただしノイズに注意
  • テスト録音で最適化

マイク位置

  • 口元から5〜15cm
  • 角度は少し下から
  • ポップガードは必須

呼吸音対策

  • マイクを口の真正面に置かない
  • わずかに横にずらす
  • 呼吸法の練習

収録タイミングの最適化
#

完璧な防音室でも、外部環境の影響は避けられません。

最適な収録時間帯

深夜(22:00〜5:00)

  • メリット:最も静か、交通量少ない
  • デメリット:近隣への配慮必要、生活リズム崩れる

早朝(5:00〜7:00)

  • メリット:静か、爽やか
  • デメリット:通勤時間帯と被る

平日昼間(10:00〜16:00)

  • メリット:生活リズムに優しい
  • デメリット:生活音・工事音あり

週末・祝日

  • 工事音が少ない
  • ただし人の活動音は増える

避けるべき時間帯

  • 通勤時間(7:00〜9:00、18:00〜20:00)
  • 昼休み(12:00〜13:00)
  • ゴミ収集車の時間
  • 近隣の生活音が多い時間

天候・気象条件

  • 雨の日:交通音が減る(車が少ない)
  • 風の強い日:避ける(風切り音)
  • 雪の日:理想的(音が吸収される)

予算別:実現可能なASMRレベル
#

あなたの予算で、どのレベルのASMRが作れるかまとめます。

予算10万円:入門ASMR
#

投資配分

  • だんぼっち:80,000円
  • 吸音パネル:10,000円
  • 防音グッズ:10,000円

実現可能なASMR

  • 囁き声ASMR
  • 簡単なタッピング
  • ロールプレイ(静かめ)

制約

  • 深夜収録必須
  • 環境音は入りやすい
  • 短時間収録のみ
  • 音質は入門レベル

向いている人

  • ASMRを試してみたい
  • 趣味レベル
  • まずは雰囲気づくりから

予算100万円:中級ASMR
#

投資配分

  • ユニット型防音室:900,000円
  • 吸音材追加:50,000円
  • マイク・機材:50,000円

実現可能なASMR

  • ほぼすべてのASMRジャンル
  • 囁き声、タッピング、イヤクリ
  • 咀嚼音、環境音
  • 音質は中級〜中上級

制約

  • バイノーラルは厳しい場合も
  • 完全な静寂ではない
  • 時間帯はやや選ぶ

向いている人

  • 定期的に投稿
  • 収益化できている
  • 品質を上げたい

予算300万円:上級ASMR
#

投資配分

  • 現場施工型防音:2,500,000円
  • 音響設計:300,000円
  • 高級機材:200,000円

実現可能なASMR

  • すべてのASMRジャンル
  • バイノーラル収録
  • プロレベルの音質
  • 24時間収録可能

制約

  • 持ち家または長期賃貸
  • 初期投資が大きい
  • 専門知識やや必要

向いている人

  • ASMRが主な収入源
  • プロレベル志向
  • 長期的に活動

予算500万円以上:プロASMR
#

投資配分

  • 完全防音スタジオ:4,000,000円〜
  • プロ音響設計:500,000円
  • 最高級機材:500,000円

実現可能なASMR

  • 商業レベルの品質
  • スタジオ貸出も可能
  • 企業案件対応
  • 業界最高峰

向いている人

  • ASMR専門事業
  • 法人・スタジオ運営
  • 複数人での使用

まとめ:段階的にステップアップしよう
#

ASMR向けの防音対策、いかがでしたか?

ASMRの防音は特殊

通常の配信とは異なり、ASMRでは:

  • より高い防音性能(D-60以上)
  • 吸音対策が非常に重要
  • 機材の無音化が必須
  • 収録タイミングの最適化

これらすべてを考慮する必要があります。

おすすめのステップ

STEP1:まずは体験(予算10万円)

  • だんぼっち+簡易対策
  • ASMRの雰囲気を掴む
  • 自分に向いているか確認

STEP2:本格化(予算100万円)

  • ユニット型防音室導入
  • 定期投稿できる環境
  • 収益化を目指す

STEP3:プロ化(予算300万円)

  • 現場施工型で完璧な環境
  • ASMRを主な収入源に
  • 企業案件も対応可能

最も大切なこと

ASMRは「音」が命です。しかし、完璧な環境でなければ始められないわけではありません。

  • 予算に合わせて段階的に
  • 環境音を活かす発想も
  • 自分のスタイルを見つける
  • 試行錯誤を楽しむ

最初は不完全でも、続けていくうちに環境もスキルも向上していきます。焦らず、楽しみながら、あなたらしいASMRを作っていってください。

静寂の中で生まれる、心地よい音の世界を!

関連記事

賃貸での防音室運用|許可取得・特約・原状回復対策
·5276 文字·11 分
防音の実用ガイド 賃貸 防音室 許可 原状回復
配信者の防音賃貸選び|「配信可」物件の見極め方
·1899 文字·4 分
配信・クリエイター向け 防音賃貸 配信可 物件選び 見極め方
配信音質を上げる遮音と吸音|反響・こもりの解消術
·2801 文字·6 分
配信・クリエイター向け 音質改善 遮音 吸音 反響対策
防音と冷却の両立|エアコン・換気で静音を保つコツ
·3010 文字·7 分
配信・クリエイター向け エアコン 換気 静音 温度管理
マイク選びと配信防音|ダイナミックvsコンデンサー
·2957 文字·6 分
配信・クリエイター向け マイク選び ダイナミックマイク コンデンサーマイク 音質
防音室価格ニュース2025|材料高騰とコスト最適化の今
·4067 文字·9 分
市場・ニュース 防音室 価格動向 2025年 材料費 コスト