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2025/11/13 JA

防音市場にESGの波|省エネ構造・循環素材がもたらす新トレンド

断熱材と吸音材は同じ多孔質素材を使うことが多く、省エネ基準の強化は防音性能にも波及します。グラスウール等のリサイクル素材の特性とCASBEEとの関係を整理します。

「防音材」と「断熱材」は、実は同じ素材が使われていることが多いのをご存知でしょうか。グラスウールやウレタンフォームは、住宅の省エネ性能を支える断熱材であると同時に、音を吸収する吸音材としても使われています。

つまり、建築の省エネ化が進むほど、副次的に防音材市場にも影響が及ぶという関係があります。本記事では、この「省エネ×防音」の接点を、素材の特性・建築基準・建物評価制度の3つの観点から整理します。

断熱材と吸音材は「同じ多孔質素材」であることが多い

グラスウール・ロックウール・ウレタンフォームといった素材は、内部に無数の小さな空隙を持つ「多孔質構造」です。この構造は、

  • 断熱材として : 空隙の中の空気の動きを抑え、熱の伝わりを遅くする
  • 吸音材として : 音波が空隙内を通る際の摩擦で、音エネルギーを熱に変える

という、性質の異なる2つの役割を同時に果たします。吸音のメカニズムについては、吸音材か遮音材か迷う人へ|あなたの環境で“必要なのはどっち?”徹底ガイドで詳しく解説しています。

このため、「断熱リフォーム」として壁の中に断熱材を充填する工事は、副次的に室内の遮音・吸音性能を底上げする効果も期待できます。防音目的でなくても、断熱改修のタイミングは防音性能を見直す機会にもなります。

リサイクル素材との親和性が高い理由

グラスウール・ロックウールは、もともと廃ガラスや製鉄の副産物(高炉スラグ)といったリサイクル原料との親和性が高い建材として知られています。また、ペットボトル由来の再生ポリエステル繊維を使ったフェルト系の吸音材も市販されており、軽量で施工しやすいことから、DIY向けの吸音パネルにも使われています。

一方、ウレタンフォーム系の吸音材は石油由来の原料が中心で、リサイクル原料の比率は他素材と比べて低い傾向にあります。「吸音性能」だけでなく「原料の由来」も含めて素材を選ぶという視点は、今後の建材選定で増えていくと考えられます。

建築物省エネ法の改正が防音材市場に与える影響

2025年4月から、改正建築物省エネ法により原則すべての新築住宅・建築物に省エネ基準への適合が義務化されました。これにより、新築住宅の壁・床・天井に使用される断熱材の量・性能基準が底上げされています。

防音の観点で見ると、これは「断熱材として標準的に使われる多孔質素材の厚み・密度が増える」ことを意味します。直接的に「防音性能」を目的とした規制ではありませんが、結果として住宅の遮音・吸音環境が底上げされる可能性がある、という間接的な関係として捉えるのが実態に近いでしょう。

CASBEEと「音環境」の位置づけ

日本国内で建物の環境性能を評価する代表的な仕組みに「CASBEE(建築環境総合性能評価システム)」があります。CASBEEは、省エネルギー性能だけでなく、室内環境の質(温熱環境・空気環境・音環境・光環境など)も評価項目に含まれています。

ただし、現状では「防音性能」そのものに特化した公的なグリーン認証制度は確立されていません。CASBEEのような総合評価制度の中で、音環境が一要素として考慮されている、という位置づけにとどまっている点は、誠実に押さえておくべきポイントです。

「環境性能と家賃」の関係はまだ発展途上

「環境性能の高い物件は家賃が高くなる」という傾向は、省エネ性能(断熱等級・一次エネルギー消費量等級など)に関しては議論が進んでいます。しかし、「防音性能」単体が家賃にどの程度のプレミアムをもたらすかを定量化した公的な統計データは、現時点では限定的です。

防音賃貸市場の需給・家賃相場については、【2025年最新】防音賃貸の家賃相場とトレンド|需要30倍の衝撃と狙い目エリアで具体的なデータを紹介しています。

まとめ:今は「素材の特性」から理解するのが現実的

  • 断熱材と吸音材は同じ多孔質素材であることが多い : 省エネ化の流れは間接的に防音材の使用量・性能にも影響する
  • グラスウール・ロックウールはリサイクル原料との親和性が高い : ウレタン系は相対的に低い
  • 2025年4月の省エネ基準義務化 : 直接の防音規制ではないが、住宅の遮音・吸音環境を底上げする方向に作用する
  • CASBEEには音環境の評価項目があるが、防音特化の認証制度はまだない
  • 「防音性能と家賃プレミアム」の関係は、現時点では公的データが少なく発展途上

「防音×ESG」をうたう個別企業の取り組みを追いかけるよりも、断熱と防音が素材レベルでつながっているという基本構造を理解しておく方が、今後の建材選定や物件選びにおいて実用的な判断材料になります。

KEYWORDS
#ESG#省エネ#循環素材#防音市場#サステナビリティ
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